20兆円の補正予算が成立しそうだ。金融、財政、成長戦略の3本の矢のアベノミックスでデフレ脱却が出来るのかそれを占う補正予算だが、中身は公共投資が中心で新味は裕福な老人が孫に贈与しやすい税制改革ぐらいだ。
何回かこのブログで書いたが、デフレ脱却には個人消費が出て来て、企業が設備投資を国内で展開することが必要条件だ。アベノミックスへの期待から円安や国際的に出遅れていた株価上昇が起きて、資産効果で消費が出て来るというこれまでのセオリーは殆どの資産を円定期にしている個人にとってはつうようしない。日銀がお札を銀行にジャブジャブ預けても企業が借りて設備投資をしなければ銀行に滞留するばかりで、銀行はこれまで国債を買って運用していたが国債の暴落(金利が高くなる)を恐れだしている。
インフレ目標の2%は円安で外国製品特にエネルギー価格が高くなるので達成可能かもしれないが原料高で中小企業の経営を圧迫することで、成長戦略にはマイナスに働く。唯一アベノミックスが成功する細い道は、欧米や新興国の経済が回復して輸出が伸び、企業が投資を行い、賃金を上げる場合だろう。
個人消費刺激についてもこれまでと大きな違いはこの20年間で日本が格差社会になり、贈与税や自動車税の減税や住宅ローン優遇処置などは対象者が限られ効果が薄くなっていることだ。短期的に最も効果があるのは最低生活者に金をばらまくことで、すぐ消費につながる。ところがアベノミックスの中ではむしろ生活保護費を削ることが入っている。3本の矢が放たれ、上昇気流に乗れば良いがブーメランのように帰ってきてアベノミックスが刺されるという危険が一杯だ。