最新鋭のホーイング787ドリームライナーが大ピンチをむかえている。2基のエンジンの中型機でありながらジャンボより航続距離が長く、太平洋も横断できる革新的な飛行機だ。私が初めてドリームライナーのことを聞いたのは1998年、シドニー湾を望むシーフードレストランでボーイング社を組織する全米機械工労組(IAM)会長のビュヘンバーガー氏と会食した時だった。彼はボーイングで開発している新型機ドリームライナーへの期待を熱っぽく語った。
3年ごとの労働協約改定でストライキを必ずする全米機械工労組も、ドリームライナーの生産には特別の関心を払って来た。ストの影響を避けるためボーイング社が米国南部の労組の影響力の弱いサウスカロライナに新工場を建設する時には反対をしたが生産そのもを阻止しようとはしなかった。むしろ日本をはじめ海外での部品の生産や基幹システムの海外メーカー発注を米国内調達に切り替えることを要求した。
今回の事故で判ったが、事故を起こした電機、電子系統のシステムやバッテリーはフランスや日本が、燃料もれの原因のバブルは英国と海外調達のものの不具合のようだ。IAMはボーイングに全面的に協力をしてこの難局を乗り越えるとの報道だが、海外調達にはこだわり内製化を主張することだろう。
検証飛行を2007年からやっているにも拘わらず今年になって事故が起きていることはかなり複雑な原因が予想され、その究明には時間もかかるだろう。自動車だったら「煙が出たので路肩に駐車してJAFを呼ぼう」で済むが太平洋、大西洋を横断するわけだから場合によっては飛ぶことが夢になる可能性すらある。