ねじれ国会の民主・共和両党の妥協で暫定予算が成立し、米国国債デフォルト寸前で何とか自由の女神やグランドキャニオンに入れることが可能となった。予算がないと、政府機能はすぐ停止となる米国の不自由さが証明された。日本でも4月の新年度に入って予算も暫定予算も成立しないと、政府からの補助金や給付金が支払い延期となることは過去何回かあったが、公務員が自宅待機となり、国立劇場が閉鎖されたり、国立公園に入場停止等ということはない。
また、今日の日経に報道されてるが米国南部では労働組合の結成も自由でない。州によっては労組がないことがメリットだから外国からの投資や労組の強い州から工場が移ってくる。といったことが公然と共和党の知事や経営者が言っている。かつて、1980年頃だったか、テネシー州の東芝の工場やアーカンソーの三洋の工場を訪れ、その時初めて「働く権利法」の存在を知った。名前は当たり前で、労働権のことかなと思うが、中身は全く異なり、労働者が、労働組合に入らない権利とか、チェックオフ(給料天引きの組合費徴収)を禁じるとか要は労組結成をさせない州法で、南部の各州が制定していた。最近はミシガンのような中西部までが制定した。
日経が報じているUAW(全米自動車労組)が続々と誕生している南部各州の外資自動車工場に組合を結成しようという動きは、注目される。現在焦点となっているのは、テネシー州VW(フォルクスワーゲン)のチャタヌーガ工場の組合組織化だが、上院議員や知事(いずれも共和党)の強力な反対にあい、UAWは立ち往生している。そこで、VWをドイツで組織しているIGM(ドイル金属労組)はUAWの要請もあり、ワークカウンシル(労使協議会)導入で妥協を試みている。こんなことまでしなければいけないとは不自由な国だ。
ワークカウンシルは賃金以外の工場の労働条件や、経営事項を労使双方が出席して決定し、生産性の向上をはかる。ドイツでは労使共同決定の長い歴史があるが、米国では団交以外労使がテーブルにつくことはない。風土の違う米国南部で成功するか今後の展開が注目される。