中国東北部のハルビンで、大気汚染物質PM2.5の濃度が正確に計測できないほど高いレベルに達し、地元政府はほとんどの学校を休校にしたのをはじめ、バスの運行を取りやめるなど生活への影響が広がっている。との報道、北京だけでなく地方都市も今後相次いで起きてくると予想される。
ハルビンのPM2.5の24時間当たりの平均濃度は1立方メートル当たり800マイクログラムに達し、日本の暫定基準、1日の平均濃度が70マイクログラムを超えると健康に影響を及ぼすおそれがあるとして外出を控えるよう注意を呼びかけるが、ハルビンの濃度は、その10倍以上となっている。
かつて、1952年のロンドンでは,12月に寒い日が続き、暖房用の石炭が大量に使われ,霧のロンドンが二酸化硫黄ガスから生成する硫酸と煙からなるスモッグとなり、約1週間に数千人の死者が出た。中国のPM2.5はこれにさらに自動車からの排ガスも加わるという複合的な汚染状況と考えられ、何が起こるのか不気味だ。
1960年代、社会主義の中国では、貧しくとも空気は綺麗で、食糧も安心して食べられた。経済学者の故大内兵衛先生が「中国の卵は資本主義の日本の卵よりはるかに美味しい。それは人間を大切にしているからだ」と何かの雑誌で言っていた記憶がある。1989年初めて私が中国を訪問したときは、各地の料理は旨く、大内先生の言うとおりだと感じた。
その後、中国は共産党が支配する国だが、改革開放で市場主義を取り入れ、金を儲ける方法を日本や欧米が教えたが、資本主義を制御することは教えなかった。ロンドンのスモッグ、日本の大気汚染、水俣病など、高度成長の負の側面を教えなかった。社会主義市場経済と称して高度経済を競わせ、不動産投資、金融の過剰、国営企業という怪物を生み出した。自動車の排ガスは国営企業支配下の石油会社が粗悪なガソリンを生産していることが原因だが、判っていても改善できない。
とりあえず自動車の台数規制をするらしいが、PM2.5で多くの死者が出なければ利権がからみ根本的な対策は出ないだろう。