行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

上半期最大の貿易赤字、円安効果は裏目に

2013-10-23 18:40:27 | Weblog

新聞報道によれば、4~9月の貿易統計によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は4兆9891億円の赤字となった。赤字額は前年同期比54.2%増え、比較可能な1979年度以降、半期としては過去最大の赤字となった。その原因は4~9月の輸入額は前年同期比13.9%増の40兆3090億円と、7期連続で増えた。原子力発電所の稼働停止で中東からの燃料輸入が増えたことと円安が主な理由だ。輸入数量は1.0%減ったが、この期間の外貨建て取引の基準となる円相場の公示レートが1ドル=98円55銭と、前年より約24%円安・ドル高に振れ、金額が膨らんだ。

と報道されてるが、輸入額の前年同期比を見るとドル建ての中東地区からの分は10.9%と全体の比率13.9%より少ない。むしろ全体の輸入額が増えたのは中国からの増加率18.3%を含むアジア全体からの輸入が14.7%と伸びたことが大きな原因だ。これは過去の円高時代に日本企業がアジアへ生産をシフトしたことがボディブローのように効いてきている。中国からの輸入品は従来からの衣料品だけでなく、半導体や電子部品が急増していることからも判る。

原子力発電所停止による燃料輸入増を強調しすぎている。一方、円安だから輸出が増えるというアベノミクスも上半期の輸出の伸びを見る限り米国だけが17.2%と伸びてるだけで、アジア、EU向けは7~8%と円安効果は全くない。日本の貿易構造は慢性的に赤字構造になりつつあるのではないか

日本企業の海外子会社が発展し、配当収入が日本に送金された結果、所得収支の黒字は増加しており、上期の黒字は7兆円をこえると予想される。今後の課題は貿易赤字を所得収支の黒字範囲に収め、経常収支の赤字を防ぐことだ。
そのためには、少しで国内生産を増やすことと、再生エネルギーの開発で燃料輸入を抑え、海外からの観光客を増やすことに注力を、

13年度上半期の貿易統計の概要(単位億円、カッコ内は前年同期比増減率%、▲は減少または赤字、アジアには中国を含む)
    輸出額    輸入額       貿易収支
総額 353,199 (9.8)  403,090(13.9)     ▲49,891
米国 65,612(17.2)   35,002(12.6)      30,610
EU 34,527(7.7)     38,296 (16.1)     ▲3,768
アジア 193,035(8.8)  178,366(14.7)      14,669
 うち中国64,097(8.3)  88,261(18.3)     ▲24,164
中東 12,105(11.7)    75,115(10.9)      ▲63,010

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする