ここのところ、7年ぶりに求人倍率が1.08倍と高水準で人手不足の状態となっている。経済界からは,外国人労働者の受け入れをすべきという声も強くなり、法務大臣の諮問機関で外国人研修生の制度拡大について「現在最長で3年となっている実習期間を優秀な実習生で、適正な監理を行う企業が受け入れる場合は、2年程度延長するほか、いったん帰国した実習生でも、再び入国して2年程度の再実習を認めるべき」との報告書が出された。また、現在68となっている対象職種に「介護」や「林業」、「自動車整備業」などを加えることを検討すべきとしている。一方、行政機関による立ち入り調査を行うなど受け入れ先の監視体制を強化すべきとしている。
外国人研修制度は元来、途上国の人材育成でその国の発展を後押しするというのが目的であったが日本の中小企業における労働力の主な担い手という趣旨に変質してきて、外国人研修生なしでは企業が成り立たないという水産加工のような業界も出てきた。オリンピックや復興事業で建設土木業界の人手不足もあり、成長戦略に影響することから外国人研修生を増やそうとする泥縄式の感もする。
長期的に労働力不足は充分わかっていながら、これまで①女性の活用、②出生率の向上、③年金の支給年齢を引き上げて定年の延長などの策しか取ってこなかった。しかも①と②は思ったように進んでない。政治家は外国人労働者問題を避けてきたきらいがあるが、国民はこのままでは人口減少で衰退することは認識してきている。グローバルに企業が投資をする時代、人も国をまたいで行き来する。外国企業に買収される日本企業もあれば、日本企業が外国企業を買収するケースも多くなる。単一民族国家を押し通すことは難しい時代で、事実これまでも偉大な日本人で王貞治選手、ソフトバンクの孫正義社長のような方々もいる。短期的な視点で研修制度を利用する策でなく、長期的な視点で外国人に来てもらう制度を考える時期ではないか
欧州や東南アジアでは外国人労働者問題がいまホットな話題となっているので他山の石はたくさんある。