植民地経営はポルトガルに物心両面で莫大な利益をもたらした。前回書いた金を例にとると、世界遺産の建造物だけでなく当時建てられたナザレの教会の祭壇やコインブラ大学図書館には天井まで金が塗られている。その金の量たるや想像できない。日本だと秀吉の黄金の茶室や 文化遺産の仏像が残されているが、金箔を貼ったものだ。金箔は金沢で見られるように極薄に加工したもので、奈良、平安時代の 仏像の金箔は殆んど現代無くなっている。ポルトガルの場合、金を溶かして指で塗るという贅沢な手法なため、時代が経ってもさんぜんと輝いている。
大航海時代はポルトガルだけでなく、欧州全体に果実をもたらした。ジャガイモ、トウモロコシ、トマト、コーヒー、砂糖、きりがないほどで、シントラの王宮の各部屋を飾るアズレージョ(陶板)にはそれらの食物をモチーフにしたものが見られた。
アズレージョはポルトガルの何処にでも見られる。当初はチェコのコバルトを中国に持ち込み、焼いてポルトガルに運んだ。今ではこの国の陶器産業に発展している。
ナザレの絶景