東芝がパソコン事業を分離し、富士通のパソコン事業、ソニーから独立したVAIO(バイオ)との統合を検討しているという。統合が実現すれば国内シェア1位のメーカーが誕生するが世界でのシェアは6%そこそこだ。東芝のノートパソコンはかつて世界でトップシェアを占めていた。1990年前後、日本のエレクトロニクス製品はFAX,VTR,カラーテレビなど世界生産で9割以上のシェアを持っていた。どこの国にも手土産でVTRを持って行けば喜ばれた。ラップトップと呼ばれたノートパソコンも日本の特産品であった。どこでどう間違いたのであろうか、コンピュータメーカーの巨人IBMがそのノートパソコン部門を中国メーカーのレノボに売却した時、3社合併が実現していれば、米国のHpやデルのように生き残れたかもしれない。しかし、今や世界2位Hpでさえパソコン事業は苦しく、リストラを迫られている。この3社統合が実現しても、未来志向でなく当面の対策で惰性の改革としか考えられない。
液晶にも同じことが言え、シャープの液晶部門をジャパンディスプレイ(JDI)に統合するこを産業革新機構が検討しているという報道がある。革新機構は、日立製作所、東芝、ソニーの中小型液晶事業を統合し、2012年4月にジャパンディスプレイを発足させ、14年3月のJDI上場後も35%の株式を握る。シャープの亀山工場の技術を国外に流出させたくないという経産省の思惑とのことだが、日々発展しているこの業界、有機液晶が次世代液晶と見え始め、アップルもiPhoneに採用を検討している。既存の液晶も中国では大規模な国家を背景とした投資が計画されており、日の丸液晶統合も当面の惰性の改革で、どこまで持ちこたえられるのか、木を見て森を見ない状態ではないのか。現在の鉄鋼のように中国が採算を考えずに投資をして、価格が大きく下がり、蟻地獄状態になるのでは。