デフレの予感
今、政府・日銀はデフレからの脱却を主要政策として、この1年それなりの努力をしてきたが、円安と株価、雇用に成果は有ったが、次のニュースはデフレ脱却どころか来年もデフレの予感がする。
1,さえぬ消費、暖冬が追い打ち 雇用改善も波及せず 家計支出3カ月連続減
家計調査では2人以上の世帯の消費支出は物価変動の影響を除いた実質で前年同月比2.9%減少した。落ち込みは市場の想定と比べて大きくなり、個人消費の勢いの鈍さを映し出した。
食品や日用品の値上げで家計に節約志向が広がるなかで記録的な暖冬となり、コートや暖房器具を「不要不急のもの」として購入を控える動きが出ている。雇用情勢は改善しても消費に波及しない構図が続いている。
2,来年度年金額据え置き
消費者物価の伸び悩みで年金額の伸びを物価の上昇分よりも抑える「マクロ経済スライド」を完全実施しない公算大とのニュース。年金額を決める基準は消費者物価で、今年1~10月の物価は単純平均で前年同期比0.9%上昇した。一方賃金の上昇率はマイナスなので、現役の負担が増えないように物価上昇率が1%をこえないと物価上昇率に年金額をスライドしないで据え置く見通しとなった。
3,パナソニック、中国に車載電池工場 500億円投資
パナソニックは中国で電気自動車(EV)など向けの電池工場を建設する。総投資額は500億円。現地企業と合弁を組み、2017年の稼働を目指す。パナソニックは米国でも電池工場の建設を進めており、相次ぐ投資で今後成長が見込める米中の2大市場で事業基盤を固める。
手元に日本の基幹産業を組織する電機連合の組合員生活実態調査があるが、生活を圧迫する要素として、消費税増税と物価の上昇を挙げている。2であげた消費者物価の上昇率0.9%と矛盾するが、円安で毎日の食料品が上昇(11月は生鮮食品6.3%増)していることが原因だし、これを基にした年金据え置きはデフレを改善する方向とは真逆となる。
安倍政権が必死に企業に設備投資を要請しているが、パナソニックを代表するグローバル企業は国内投資より、成長力のある地域での投資を選択する。その結果需要は国内より国外で発生し、デフレ改善には寄与しない。
これからの望みは、春闘で大幅な賃金改善がなされ、それが賃金労働者の75%を占める中小企業や4割を占める非正規労働者にどう波及させるかにかかっている。今春闘では電機連合のような大企業主体の組合員でも、3割は賃上げが不充分だと答えている。デフレ脱却は政労使の一致した努力にかかっている。
最近の株価を見ていると、12月に入って東証の7割近い外国株主が売り越しに入り、日本経済の先行きに見切りをつけだした。多くの専門家の株価予想年末2万円は難しくなり、為替も円高にふれる可能性も出てきて、デフレの予感がする。