平成30年の源泉徴収から見た給与所得者の実態が国税庁から発表された。労働統計の中で最も信頼できるものだ。
1年を通じて勤務した給与所得者(以下同じ)の1人当たりの平均給与441万円(男性545万円、女性293万円)、内平均給料・手当は371万円(男性455万円、女性252 万円)で、平均賞与は70万円(男性90万円、女性41万円)となっている。
10年前の平成20年の平均給与が430万円だから驚くべきなんと2.6%しか増えてない。企業は使い切れないほど貯め込んだが、残念ながら下には富が下りてこない。(最新の届け出に基づく日本の上場企業の手元現金は506兆4000億円と、ブルームバーグのデータによれば過去最高。安倍晋三首相が企業の現金保有を減らすと公約し第2次政権を発足させた数カ月後の2013年3月に比べ、3倍余りに膨らんでいる)このような結果では消費喚起と躍起になっても難しい。
このうち、正規・非正規で見ると正規505万円(男性560万円、女性386万円)非正規179万円(男性236万円、女性154万円)と格差は2.82倍に達する。貧困で自殺しようと娘を殺した家族が報道されてるが彼らは源泉徴収さえされない非正規だったのだろう。
給与所得者の1人当たりの平均給与を事業所規模別にみると、従事員10人未満の事業所においては358万円(男性447万円、女性252万円)となっているのに対し、従事員5,000人以上の事業所においては511万円(男性682万円、女性281万円)となリ、格差は拡がっている。なお、個人の事業所においては252万円(男性304万円、女性228万円)となっている。
気になる年齢別の給与所得は下図のように50歳~59歳がピークで年功序列が依然として崩れていない。70歳以上の健闘が意外だ。