先日のブログで「日本の上場企業の手元現金は506兆4000億円と、ブルームバーグのデータによれば過去最高。安倍晋三首相が企業の現金保有を減らすと公約し第2次政権を発足させた数カ月後の2013年3月に比べ、3倍余りに膨らんでいる」と書いたが、今日の日経では「世界の上場企業は手元資金が8兆ドル(808兆円)を超え、株式発行による調達を減らす一方、市場から株式を買い上げる自社株買いを増やしている。自社株買いから株式調達額を差し引いた買い戻し額は過去5年の累計で約1兆8000億ドル(約200兆円)にのぼる」と報じ、日本の上場企業の自社株買いは加速し、2019年度は年度として初めて10兆円を突破する勢いとしている。
株主総会では米国並みに自社株買いをして、発行株数を減らし株価を上げろという株主が多い。会社が株を買うとかつては株券を金庫にしまっていたので金庫株という。何故こんな現象が世界的に起きているのか①本来なら手元資金が余っているのなら設備投資に使うべきだが、ハードからソフトに大きく経済構造が変化をしているので、自動車とか電機、半導体以外は実物投資が小型になっている。②日本みたいに賃金増を抑えている。ソフト構造なら優秀な人材を雇い育てるのに人件費は設備投資なのだが長期的な人材育成に目が向いてない。③ヘリコプターマネーで金融が緩みぱなしで社債はいつでも発行でき、トヨタは金利ゼロの社債発行を考えているくらいだ。社債で調達した金で自社株買いをする企業も米国では出てきた。
金庫株で他社を買収するM&Aをすれば生きてくるが、ただ買って償却するだけなら短期的に株価が上がる効果はあり、株主は喜ぶが上場企業が全て自社株買いをすると株の流動性がなくなることになる。株式市場では最も怖い話だ。自社株買いをするには肝心の業績が伸びていることが重要で、業績が伸びもしないのに自社株買いをするのはタコ配と同じことだ。