行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

何故米国で民主社会主義が勢いづいているのか?

2019-10-25 22:15:57 | 政治
私が初めて米国に出張したのは1970年代、日米貿易戦争でカラーテレビ輸入規制が持ち上がったときだった。米国で現地生産することで規制はかわしたのだが、出発前の勉強会で言われたのは米国ではリベラルというと急進派と思われるから禁句だと言われた。まして社会主義的なことには触れるなと教わった。
 
それが、前回大統領選挙で民主社会主義を表明するバーニー・サンダース上院議員が出てきて米国の変化に目を剝いた。さすがに民主党も大統領候補にはクリントンを選んだのだが、今回は民主社会主義者とは名のらないがサンダース上院議員と同様に「富裕税」構想を提唱するエリザベス・ウォーレン上院議員が、来年の米大統領選の民主党候補者の最有力候補者に躍り出ている。しかもウォーレン上院議員は巨大化したGAFAについて分割も視野に入れているため、ウォール街は戦々恐々としている。
 
クイニピアック大学が4月に全米で実施した調査によると、5000万ドル超の資産に年率2%の税を課す構想を有権者の約60%が支持している。夏にニューヨーク・タイムズ紙の委託で実施された調査では、大半の共和党支持者を含め、国民の3分の2が構想を支持したと報道されている。
 
その背景は中間層の没落と所得格差の拡大にある。米国では10年以上続く景気拡大、失業率の低下にも拘わらず4000万人から4700万人の生活困窮者がいて、フードセンターに頼って何とか生活している。米国民の8人に1人にのぼる。最大の原因は無年金高齢者とシングルマザーの増加だ。貧困高齢者は650万人、退職高齢者の5人に1人は無年金、無貯蓄、しかし住宅や車を保有しているのだから新貧困物語とも言えよう。こうした貧困高齢者は2030年までに7000万人を超えると予想されている。
銀行口座を持てない貧困層は週に1回賃金を貰っても小切手、銀行の窓口で現金に換える必要がある。銀行は低金利の時代、小切手の換金手数料を高くしており、更に賃金は目減りし、貧困者の怒りはつのる。一方世界の総資産額ベストテン企業はGAFAを筆頭に米国企業が占めているほど繁栄を謳歌している。資本主義の総本山米国でも分配を基本とする民主社会主義が歓迎されるわけだ。ウォーレン大統領の誕生も可能性大だ。
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