昨年来話題をさらったキーワード「テスラ」「ビットコイン」「アーク」、そしてこの3者それぞれ絡み合っている。
日興アセットマネジメントが4月26日に運用を始めた投資信託「グローバル・エクスポネンシャル・イノベーション・ファンド」は、当初設定額で2860億円を集めた。今年最大かつ歴代でも3番目の大きさと報道された。この投信は「世界の株式のうち地球規模での社会課題解決に寄与すると期待されるイノベーション関連企業に投資する。21年1月末時点のモデル・ポートフォリオでは、自動運転を手掛ける米テスラや米決済サービスのスクエアなど73銘柄を組み入れ、銘柄選定には、米運用会社アーク・インベストメント・マネジメント(アーク社)の調査力を活用する」としている。
4月だけでなく本年にはいっての投信流入合計額でもトップだ。設定日までの申込期間はみずほ証券1社で販売し、4月26日からはみずほ銀行がインターネット専用で取り扱いを始めたというのだから大半は対面販売だ。おそらく時代の寵児グロース米株に顧客は魅力を感じたのだろう。
ところが、破壊的イノベーションをテーマとするアークの米ETFは4月末に入り急落、「グローバル・エクスポネンシャル・イノベーション・ファンド」も運用開始してから急落、1万円の基準価格が半月で8500円になってしまった。代表するテスラ株も年初来18%も下落している。
イーロン・マスクCEOがテスラ車購入代金のビットコインでの支払い中止のツイートで、4月に6万3000ドル台まで上昇したビットコイン価格は昨日4万3000ドル台まで下落した。4月にはいり、マスクCEOはビットコインはその採掘過程で石炭火力の電力を大量消費しているので環境に良くないとコメントしたが、そんなことは最初から判っていたのではと批判を受け、テスラ社の統治能力に疑問を持たれ始め、株価は低迷している。
いずれにせよ,テーマを追う投信にはリスクが有ることを再認識させられる事例だ。もちろん中長期的にはアークに代表されるグロース米株投信やETFは有望だが時間のない年金生活者にはリスキーだ。