8日1~3月期GDP統計の確報が発表された。物価の変動をのぞいた実質成長率が、前期(14年10~12月)より1・0%増だった。年率換算では3・9%増。5月20日発表の1次速報では年率2・4%増だったが、企業の設備投資がこのときの想定より大きく伸びたことから、大幅な上方修正となった。
株価も先日12日間連騰という離れ業を演じ、円安も1昨日は1ドル125円をつけ、株式市場は新たな段階に入ったと沸いている。ところがおなじGDP統計で個人消費は0.4%しか伸びてない。企業部門特に上場企業群は増収増益で円安を背景に輸出が伸びるとばかりに設備投資を2.7%も伸ばしている。
世論調査で「景気回復を実感しない」が結構多いのは、この増加数値0.4対2.7が示しているように回復の恩恵がまだ家計部門まで及んでないことに原因がある。家計調査でも4月の二人以上世帯の消費支出は前年同月比で実質1.3%減の30万480円だ。前年の4月は消費税増税があり家計消費はかなり落ち込んでいたので、この4月こそは消費支出が増えると経済学者は予想していたが見事にはずれた。
このミクロの家計調査で消費支出がプラスになって初めて景気が良くなったいえるのでは無いか、ただ、円安が円高に転じたり、2倍になっている中国の株価バブルが弾けることになると企業部門へのマイナスの影響は避けられず設備投資の伸びも縮小し、家計部門に景気回復の実感がないまま後退という事態になる脆弱性はある。