アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

4手+ときどき足で「春の祭典」

2014年06月25日 | ピアノ
平日の夜に、しかも家から相当遠いところで。ということで私としてはかなり思い切ったお出かけ。

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「アリス=紗良・オット & フランチェスコ・トリスターノ デュオ・リサイタル」
行ってきました~

ピアノ二台で丁々発止。男女ペア二人だけの演奏ですから、ふつーに考えると、女性のほうは華やかなドレスでも着そうなものですけど、全身黒、シンプルなラインのパンツスタイル。背中はめちゃ出してますけど。男性のほうも普段着っぽい黒っぽい服装で。

二台ピアノなので楽譜を置いているのですが、譜めくりもいなくて各自バッとめくっていきます。

つまり、黒いピアノ、黒い服の二人、ただそれだけ、無駄もアソビもないステージの上で、二人のモデルみたいな体だけが印象的という、そういうビジュアルなんです。パンフレットを買ってみますと、これはモードな写真集ですな。

男性側のトリスターノさんというのは、今回初めて認識しましたが、純粋クラシックの人というより、テクノとか(よく知らないで書いてますが)の人らしい。

んで、作曲もするから、今回は
トリスターノさんが丸ごと作曲したのひとつ、
トリスターノさんが編曲したラヴェル「ボレロ」
が入ってます。

ラヴェルのラ・ヴァルスはラヴェルが作曲したもの、ストラヴィンスキーの「春の祭典」はそりゃストラヴィンスキーさんのものなんだけれど、これがまた、この二人で弾くのにものすごく似合ってると思わせる選曲です。

とにかく解像度がすごいのね。すべてクリアで、不必要に濁ってるところがまったくないし、二台分のピアノの音がスパーンとほしいタイミングに入ってくるリズムというかノリの完璧さ。

というか、ボレロなんて、あのリズムがぐらぐらで入ってたら成立しないんだけど、オケでやる場合、小太鼓の人がずっと死守してるんですよね。タッタカタタッタカタタッタッ…ての。私があのリズムを一曲分叩かされたら、リズムがぐだくだなのもさることながら、途中でゲシュタルト崩壊を起こして離脱すること間違いなしなんだけど。

トリスターノさんは、左手で弦を押さえ、右手でキーを叩くという「抑えて叩く小太鼓もどき(?)」で曲を始めます。うわー。。

最初がこの曲だから、もう音の小さいところからどっかんどっかん来るところまで、まんべんなくこの二人のピアノの音色、音のうねりにヤラレちゃって、がっちりつかまれちゃうのね。

それでラ・ヴァルスがまたすごい!! もちろんすごい難しい曲だけど、それをものすごい鮮やかさでキメられて、くらんくらん。みんな休憩時間になるとパッフレットを買いに殺到したというわけ(私も)。

純粋なクラシックピアノを弾く人は、ふつう足で床を踏み鳴らしたりしないと思うけど、トリスターノはそれあり。トリスターノ作曲の「ア・ソフト・シェル・グルーヴ」組曲では、トリスターノの足踏みに合わせて手拍子要求もあったり。それにしても、客席の2000人くらい? の手拍子がみょーに揃ってるんだけど。

「春の祭典」も足踏みあり。ストラヴィンスキーが足踏みを楽譜に記入していたわけではないだろうけど。
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この2台ピアノ版は、ダンサーたちの稽古のために作られたもので、演奏会用作品を意図して書かれたわけではありません。ちょうど、バッハの鍵盤音楽が演奏会のために書かれたものではないのと同じことですね。重要なのは、バッハを解釈していくのと同じように、自分たちで「春の祭典」を演奏会用音楽に仕上げていくことです。楽譜の意味というのは、時代によって変化していくものですから、あまりそれに捕らわれすぎてはいけないと感じています。
---- by トリスターノ

確かに、どこからどこまでもクリアな演奏というのは、「解釈」をしっかり隅々までやっていった結果として、「これでいこう」というものがしっかりあって成り立つんだろうと思います。全体にすごく、わかりやすい印象でした。ここが、こうなっていたのか、というような。オケだと、とにかくすごい人数いますし、音色のバラエティーもものすごく広いですから、いろんなものに気を取られちゃうでしょ。聞いていても。

それが、余分なもの(華やかな衣装とか、譜めくりストとか、脂肪とか-笑)が極限まで削がれているところに、ピアノ二台、人ふたり、手四本、ときどき足、の範囲でダイナミックレンジの広い演奏があって、音楽の進行がまるっと納得できるという「春の祭典」でした。

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コメント (2)
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