その塔が建てられた頃の周囲一面は見渡す限りの緑野が広がり、季節ごとに様々な彩りの花が人々の目を楽しませてくれた。やがて土地が枯れ、人々が砂漠と化したこの地を去った後にも塔は朽ちかけた姿を晒しながら其処に有り続けた。
ある日のこと、余命幾ばくもない身で先祖が暮らした故郷を一目見ようとこの地を訪れた旅人が這うように塔を昇り、先祖達が見ていた豊かで優しい緑野の代わりに、神聖なまでに美しい黄金の枯れ野を見下ろしながら死んでいった。
最期の瞬間に旅人の唇がどんな言葉を紡いだのか、知るものはない。
ある日のこと、余命幾ばくもない身で先祖が暮らした故郷を一目見ようとこの地を訪れた旅人が這うように塔を昇り、先祖達が見ていた豊かで優しい緑野の代わりに、神聖なまでに美しい黄金の枯れ野を見下ろしながら死んでいった。
最期の瞬間に旅人の唇がどんな言葉を紡いだのか、知るものはない。