カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

[ 食べる / 杏 / 王国(マルクト) ]より・大きな森の小さな家

2015-06-01 18:57:21 | 三題ランダムキーワード
 森の別荘で台所に現れた小さな妖精(推定)に頼まれ、砂糖や塩を少し分けてやったら、お礼がしたいと豆粒程の果実を食べるように促され、彼らと同じサイズになって村に案内された。
 イメージとしてはまだテレビが普及していない頃の北米の田舎を思わせる、なかなか文化的な暮らしぶりに感心しながらお茶や菓子を頂き、帰る頃に何か欲しいものはないかと聞かれたので小さなティーセットをもらった。
 その後もちょくちょく現れて小麦後や辛子、それに釘や花火といったものまでお願いされ、目的のものを渡すと代わりに彼らが使っている家具をくれた。

 ある日、現れた妖精が一緒に付いて来てくれと言うので言うとおりにしたら、なんとそこには小振りの宇宙船と思しきモノが有った。ようやく修理が終わったので故郷に帰れると喜ぶ妖精(多分)一家は、今まで世話になった礼に、ここで暮らしていた時に住んでいた家は家具も含めて全部差し上げると告げてから去って行った。

 彼らを見送った僕は早速空き家になった彼らの家を、家具も含めて丁寧に梱包してから自宅に戻り……そんなわけで我が家の応接間には驚くほどに精密なドールハウスが飾られることになった。
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