子供の頃、縁日で買ったヒヨコを庭に出して歩かせていたら猫が疾風のように駆け抜け、甲高い一瞬の鳴き声と共に眼前のヒヨコが連れ去られた。泣きながら追い掛けて猫が潜り込んだ狭い縁の下を覗き込んだ後からよく覚えていないのだが、家の軒下で気絶していた私は何故か無傷のまま、それなのに血まみれで発見されたそうだ。ひょっとしたら当時の現場には他にも色々と何かが散らばっていたような記憶が薄らと残っているのだが、それを確認する前に全部親が水で洗い流してしまった。
それ以来、生き物は何も飼っていない。
それ以来、生き物は何も飼っていない。