カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

第八十九夜・蜜柑と妹

2017-10-06 22:19:46 | 百人一首と色名で百物語
たかあきで『雲の通い路』と『蜜柑色』を使って創作してください。

 外国の丸いみかんも良いけど、やっぱり日本の平たくて柔らかいみかんが好きだなと笑った妹は、その年の蜜柑が獲れる季節になるよりも早く息を引き取った。そして私は今でも一人になると、しばしば蜜柑色の太陽が浮かんだ黄昏時の空を見上げながら、日本の蜜柑のように柔らかくて温かい色彩をした妹の笑顔を思い出すのだ。
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