カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

骨董品に関する物語・ペリドット色のボンボニエール

2021-05-16 22:22:50 | 突発お題

 これは魔法の菓子器でね、真っ白な砂糖菓子を緑色の宝石に替えてしまうんだよと叔父さんは言った。でも、魔法の効果は砂糖菓子を器に入れている間だけで、蓋を開けて取り出してしまうと元の白い砂糖菓子に戻るのだと。やがて私も大人になり、魔法というものは本質的に、白い砂糖菓子の色を緑色の器の色で染め上げる事なのだと知った。
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名探偵の解答その71・高貴なる幻想

2021-05-16 14:32:57 | 名探偵の解答
街ではよく知られた探偵であるたかあきに、祖母から『高貴なる構図』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に難解のようです。

 うちは没落したとはいえ、元々は高貴な生まれだったと言うのが祖母の口癖で、ある日とうとう僕に一族の系譜を調査するように依頼してきた。確かに一族が今は滅んだ国の重職に就いていたのは確かなのだが、それは首切り役人としての職務を果たし、代々その血筋を存続させて来からであって、高貴と言えるかは相当に微妙だと言える。
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春の創作怪談・笑う妻

2021-05-16 14:21:06 | 突発お題

 妻は常に笑顔を絶やさない、ただし笑顔のままで非常にキツイ事を言ってくる。この間も晩飯は刺身が食べたかったとぼやいたら、うちの家計の食費では無理だけど昇給の見込みは?私も働いてるけど子供が欲しいなら学費も貯めないとねと笑顔で言われた。酷い話だと同僚に愚痴ったらお前も相当に酷いと言われて、何だか物凄く理不尽な想いを味わった。
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