カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

旅路その92・溶ける花

2019-10-22 18:52:05 | 旅人の記録
たかあきは雪月のド辺境に辿り着きました。名所は花畑、名物は砂糖菓子だそうです。

 一年に一度、この季節でないと見る事が出来ないと言う花畑を見る為には激烈に接続の悪いバスか車を使うしかない。何とか辿り着いた村でお客さんギリギリだったねと案内された花畑の美しさは格別だったし、花をモチーフに造られた砂糖菓子の造形や実際に食した時の口溶け感覚も素晴らしいものだった。
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旅路その91・連休二日目

2019-10-21 18:15:33 | 旅人の記録
たかあきは台風一過の観光地に辿り着きました。名所は花畑、名物は果物だそうです。

 凄まじい荒天の合間を文字通りにすり抜けてやって来た観光地は愕然とするほどに人影が少なかった。まあ崖は崩れるわ川は氾濫するわで道が寸断された以上、そもそも遠方からは辿り着く事さえ困難だから仕方ない。だから私は普段以上に生鮮食品や果実、それに並んでいた花を山ほど買い込んで家に帰った。
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骨董品に関する物語・クリスタルガラスの香水瓶

2019-10-20 22:52:17 | 突発お題

 彼女は常に爽やかな香りを纏っていたが、どんな香水を使っているのかについては内緒だと教えてくれなかった。だから悪いとは思ったがこっそり彼女の香水瓶の蓋を開けた途端、瓶の中から何かが飛び出していき、戻ってきた彼女は残念そうに、また集めないといけないわねと呟いた。
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骨董品に関する物語・珍しい色彩の義眼

2019-10-20 22:50:59 | 突発お題

 義眼職人として最高の技術を持つ奴は、昔見た化け物の瞳の再現を試みているのだが足元にも及ばないものしか作れないと仕事以外でも義眼を作っては叩き壊していた。やがて奴は仕事場で骸と化しているのを発見されたが、眼窩には眼球の代わりに化け物じみた外観の義眼が嵌っていた。
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骨董品に関する物語・メンソール吸入器

2019-10-20 22:49:54 | 突発お題

 外国製の古いメンソール吸入器に精油を垂らそうとショッピングモールの店内を見ていたら、片言の日本語でコレなんの香りですかと歯磨き粉を差し出された。何も考えずにミントだと答えたら相手がメンタ?と訊ね返してきたので今度はメンタと言い直したら物凄く感謝され握手で別れた。
引用ツイート
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骨董品に関する物語・月のガラスオブジェ

2019-10-20 22:48:35 | 突発お題

 本来は禁制の品なのですがと彼が鞄から取り出したのは、くすんだ金色をした半透明の丸いオブジェだった。夜空に浮かぶ星を秘伝の技術で圧縮して光だけになったものを加工して作ったと言う。ちなみに光とはその星の生命そのもので、故にこれほどまでに美しく罪深い輝きを放つのだ。
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骨董品に関する物語・占いカード

2019-10-20 22:47:30 | 突発お題

「手相と言うとオリエンタルなイメージがあるんだが」
「意外かもしれんが嘗てジプシーと呼ばれた連中の占いは手相が主だったという説がある。まあ、連中の出自自体がエジプトではなくインドだしな」
「なるほど、それでお前はこのカードで占いが出来るのか?」
「いや全然」
 
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骨董品に関する物語・青いケースに入った真珠貝の十字架

2019-10-20 22:46:06 | 突発お題

 彼は私の犯した罪を赦さずに去って行った。最後に残されたのは青いケースに収められた真珠貝の十字架。そしてその十字架で世界が終わるまで磔刑を受け続けるであろう神の子と呼ばれる哀れで偉大な救世主は、これが私の背負ったお前の罪であると絶え間なく囁きかけてくるのだ。
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骨董品に関する物語・スリーピングドールの目

2019-10-20 22:44:23 | 突発お題

 蚤の市で買った人形が泣くからどうにかしてくれと言われたので見に行ったら、睫の付いた眼とそれを支える僅かな骨格だけの姿をしていた。話を聞くと一度もまともな人形の姿にして貰えなかったのが悲しいらしく、とりあえずは物好きな人形職人を奴に紹介することで事態は解決した。
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骨董品に関する物語・深いブルーの祈祷書

2019-10-20 22:42:35 | 突発お題

 ものに宿る思いは必ずしも劇的ではなく、例えば生涯生まれ故郷の田舎町で平穏無事な日常を暮らした人間の遺品などに宿る思いは当然のように地味で平凡なものだったりする。見せ場がない訳ではないが、そこに至るまでの時間が長すぎて全部の話に付き合うのは不可能だと彼は言った。
引用ツイート
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