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カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

物語その74・科学者と人造人間は身内に持つな

2020-03-10 22:58:22 | 不等号の関係性
たかあきは、優等生と人造人間に関する非日常の物語を創作してください。

 科学者の父が実は人造人間なんだと言って何の前触れもなく連れてきた少年は、彼と殆ど変わらぬ外見をしていた。そのままなし崩しに一緒に暮らすことになった人造人間によって優等生だった彼の学園内での立場は極めて危ういものとなったが、数日も経つと執拗に現れる追手のせいでそれさえも些細な問題となった。
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物語その73・美しき檻で嘘を重ね

2020-03-09 21:08:28 | 不等号の関係性
たかあきは、精霊王と詐欺師に関する退屈の物語を創作してください。

 精霊界の花園王宮内でしか生きられない王に対し、詐欺師は求められるまま情熱を込めて外の世界について語って聞かせる。
 詐欺師自身の経験と絵空事を織り交ぜた様々な趣向の物語は常に王を喜ばせたが、実は詐欺師が語る世界が本当はこの世界の何処にも存在しないことを王は最初から十分に承知していた。
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物語その72・赤き魔導士の伝承歌

2020-03-08 23:09:47 | 不等号の関係性
たかあきは、赤の魔道士と貧乏楽師に関する愛憎の物語を創作してください。

 赤の魔導士と呼ばれ国を救った偉大な父親から、彼はその魔力を殆ど受け継がなかった。そして魔導士として生きることを選ばなかった彼は貧乏な楽師として生涯を終えた。やがて伝説となった赤の魔導士の偉業を讃える作者不明の歌は、今でも祭りの季節になるとその国の広場や大通りに満ち溢れるのだった。
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敵の敵は仇でも味方・魔王と宰相と小姓

2020-03-08 19:17:36 | 不等号の関係性

 魔界の歴史に於いても後々まで狂気の沙汰でしかなかったと称される宰相の反逆行為は、周囲に夢見がちな盆暗だとしか思われていなかった魔王と、その従兄弟である大公家若殿の采配で極めて短期間に決着が付いた。戦後処理は苛烈を極め、首謀者だった当時の宰相は元よりその一族郎党は悉くが処刑されることになった。
 ただ一人の幼児を除いて。

*    *   *

宰相から内密の呼び出しを受けて執務室を訪れた魔王の
小姓は、人払いされた室内を一瞥すると軽く俯いてから顔を上げ、普段通りの口調で口上を述べる。
「お召しにより参上しました」
 それ以上何も言わないのは、余計な事を言うと事態がややこしくなることを予見しての事だろうと、宰相は自分から話を振る。
「ひょっとしたら既にお前の耳にも届いているかもしれないが、最近どうも不穏な噂が囁かれていてな」
「やはりその件ですか」
 一瞬だけ露骨に表情を歪めてから感情のない口調で呟く小姓。一瞥するだけで巷に流れる噂の真偽は明らかだったが、宰相は敢えて続ける。
「世間の口は無責任と相場が決まっているが、火の無い所に煙は立たないと邪推する輩も少なくないのでな」
「それで、自分はお役御免ですか?」
 的確に痛い所を突いてくる小姓の言葉に、宰相は右角の根元である蟀谷(こめかみ)辺りに指をやりながら答える。
「お前は魔王陛下のお気に入りだし、何より私の妹の子供だ。無下に扱うつもりはない」
 ただ、そういう噂が囁かれている事だけは頭に入れておいて行動してくれと続ける以外に掛ける言葉のない宰相。

*    *   *
小姓の母親は現宰相の腹違いの妹で平民出の妾腹だった
とは言え、正妻が早逝したので迫害されることも殆ど無く、現宰相と妹は常の兄妹と変わらず育てられ、従兄弟だった皇太子とも仲良く幼少時代を過ごした。
妹は翼や爪など魔族特有の獣相や魔力を殆ど持たなかったが母親似の元気者で恐ろしく利発な頭脳の持ち主だった為、年頃になると縁談が降るように持ち込まれ、それに関しての騒動も少なからず発生したが、結局、魔王に即位することが決まっていた皇太子が生涯の伴侶として名乗りを上げるに至って終息した。
だが、その日の晩から妹は館から姿を消し、どれだけ探しても見付からない中で周囲は無責任な憶測を垂れ流した。盆暗な皇太子との婚姻を厭って出奔した、或いは他に好きな男がいて駆け落ちしたなどと現宰相や皇太子の心を抉る噂が流れる中、突然当時の宰相が叛意を示して当時の魔王、つまり現魔王の父親を弑した。

その後、周囲に盆暗だと思われていた皇太子は周囲が唖然とする程の手際の良さで謀反を征し、宰相の一族を残らず自領から引き摺り出した際に身重の身体で死にかけていた現宰相の妹を発見した。その後、宰相の一族が赤子も残らず処刑され、皇太子が正式に魔王として即位した頃に妹は死に、赤子が一人残されたのだ。

*    *   *
  
 結局の処、当時の宰相は何をどう考えて現宰相の妹を拉致しただけでなく弑逆行為まで行ったのかについて一言も語らぬまま処刑されたが、現宰相も魔王もその件について話題にすることは無く、残された赤子は無事に成長した。
 問題はこの小姓が母親に生き写しの外見と頭脳を持ち合わせていること、更に無力な女であるが故に一生を弄ばれた母親の二の舞になりたくないと髪を切り男装のまま出歩くことで、魔王が小姓として側に置いているのも半分は世間からの風当たりを和らげる為だった。しかし当然だが、全ての人間から全く非難を浴びない立場などというものはこの世界に存在しない。故に宰相の悩みが解決される見込みもなかった。
「……とにかく、色々な事は言われるだろうが挑発には乗らずに」
 そこまで言ってから眉を顰める宰相。直後、小姓の傍らに膨れ上がった気配が音を立てて実体化して魔王の姿を取る。
「わたしの小姓に何の用だ」
 返答次第では分かっているだろうなと言わんばかりの態度の魔王に、宰相は一切の遠慮をかなぐり捨てて昔通りの口調に戻る。
「俺の姪であることも忘れないで欲しいんだがな」
「そうです、陛下には関係のない話です」
 幼馴染とお気に入りの小姓の双方から思わぬ反撃を喰らって怯む魔王に、更に畳みかける小姓。
「父を殺された私がいずれ陛下に害をなすと周囲が懸念しているのは存じております。ですがあの男は母の仇です。
 あの男を滅した陛下は自分にとって仇を倒してくれた恩人です。それは確かな事で、だから自分はお許しのある限り陛下に生涯お仕え致します」
 それでは失礼しますと退出していく小姓の背中を見送った後で、魔王はぽつりと呟く。
「あ奴が私に親の仇だと刃を向けてきて、それで気が済むなら刺されるくらいは別に構わんのだがな」
「そう言う事は間違っても俺の前以外で口にするな」

敵の敵は仇でも味方・魔王と宰相と小姓  終
2020/03/08     
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物語その71・貴女と共に立てる日

2020-03-07 19:46:39 | 不等号の関係性
たかあきは、お嬢様と奴隷に関する別離の物語を創作してください。

 小さい頃から一緒だったお嬢様と奴隷はお互いに好意を寄せ合っていた。
 奴隷は生涯お嬢様のモノとして過ごすことを望んだが、お嬢様は奴隷をモノとして所有することを好しとせず、故に奴隷は屋敷から追い出されるようにして外の世界で暮らしていくことになった。そして、二人にとってのの真の物語はそこから始まる。
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物語その70・大妖怪と餌の子供

2020-03-06 21:40:23 | 不等号の関係性
たかあきは、大妖怪と人造人間に関する退屈の物語を創作してください。

 大妖怪が食用目的で人骨を元に霊薬と植物の葉や蔓を使って組み上げた人間は見目の良い姿をしていたが、体が小さく食い出がなさそうだったので少しばかり育ててみることにした。それから人間は小鳥のように賑やかな笑い声を立てて舞い踊っては恐れげもなく大妖怪の毛を指で梳くようになり、小さい体のまま動かなくなるまで随分と長生きした。
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骨董品に関する物語・【イベント延期のお知らせ】

2020-03-06 19:49:41 | 不等号の関係性
 昨今のご時世から楽しみにしていたイベントが延期になり、騒動が収まるまでは仕方ないよなと寂しそうに呟いた従兄は由緒ありげな蝋封が捺された封筒入りの案内状を見せてくれたが、俺にはその字が読めなかった。ただ、全く見覚えのないその文字が何処の国で何時の時代に使われていた言語なのかを確かめる勇気は今の処無い。
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物語その69・敵の敵は仇でも味方

2020-03-04 21:13:10 | 不等号の関係性
たかあきは、大魔王と使用人に関する友愛の物語を創作してください。

 大魔王お気に入りの小姓は、嘗て彼に反旗を翻して一族のほぼ総てを処刑された逆賊の婚外子だ。そのことは周囲も遺児自身も知っていて、もめ事を愛する悪癖を持つ大魔王などは、そのうち小姓が親の敵として自分に対して刃を向ける日がやってくるのではないかと密かに恐れつつも楽しみにしているのだが、幸か不幸か今の処そんな様子は見られない。
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骨董品に関する物語・スイス製の祈祷書

2020-03-04 20:11:33 | 突発お題

 とある作家が自作の後書きで記したように、笑うのも怒るのも他に出来る事がない人間がすることだというのが本当だとしたら、祈るのもまた、それ以外は出来ない人間の救いを求める行為なのだから相応の敬意と儀礼を以て行いたい。
 彼女が特注で作らせた典雅な祈祷書を常に携帯する理由はそういうものだった。
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骨董品に関する物語・星と月のブローチ

2020-03-04 20:08:47 | 突発お題

 世界を構成する物質を知り、その変革を行うのが最終目的である錬金術は哲学と並ぶ博物学であり、故に学生達には通常それぞれの学習課題に露骨なまでの適性不適正が現れる。そして錬成が不得手で素材の細工が得意である者が錬金術師の道を断念すると、概ねは宝石や金銀の細工師として身を立てる事になるのだ。
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