アーク・フィールドブック

四万十フィールドガイド・ARK(アーク)のブログ

星降る川から(気まぐれダイアリー)2月23日

2025-02-23 | 星降る川から(気まぐれダイアリー)2025

 おはようございます。四万十は、晴れ。

(昨日の大風も止んだ)朝の川は、ベタ凪。

キリッと冷えた空気のなかを、のっぺらな水面を見せてのったり流れています。

透明度のよい青空と川をながめながら耳をすます。

いまだ、ウグイスやカジカガエルの春の歌は、聞こえてきません。まだ、ひやいからなぁ・・・

でも、岸辺の大きく膨らんだハクモクレンの蕾が、もうぐ春だよ!と教えてれます。

さぁ、大きく深呼吸して —この空と川のように— ココロも澄ませて今日をはじめよう。

今日の最低気温は、-3、5度。

 

 最高気温10、7度。午後も晴れ。

陽射しがたっぷりなわりには、空気はヒンヤリ、

(風裏の日なた以外は)肌寒くかんじる昼下がりです。

「静けさや 寒波のなかに 声ひそめ」。マタユキ二ナラナキャイイケド。

それでも、来週中頃からは、一気に春めいてきて気温も平年並みに。

寒暖差がとても大きい季節の変わり目です。皆さんも体調管理にはくれぐれもお気をつけて。

 

2月28日(金)は、新月です。

人少なく灯り少ない四万十川の川原は、星を見るにもよいところ。

焚き火にあたりお酒でも飲みながら、のんびり秋の星空をながめてみてはいかが。

♪流れ星 流れ星 すぐに消えちゃう君が好きで♪

ごろた石の川原キャンプは、コットを使うと快適ですよ。

 

焚き火も心地よい、秋~春の四万十川の川原。

そんな焚き火には、「焚き火マジック」があるのをご存知ですか。

いつもは無口なヤツが饒舌に語りだしたり、いつもはおしゃべりなヤツが黙り込んだり、

とても大切なハナシをいきなりぶっちゃけたり、

焚き火を見つめていると、ときどき人は、ゆらめく火の魔法にかかってしまうコトがあるのです。

 

「実はなぁ、オレ、あいつと別れたよ」

「ん?」

「離婚したんだ。子供は向こうについていった」

「そうか・・・」焚き火の向こうにいる友人Kのトートツな打ち明けバナシに、

僕は、なにを言っていいのかわからず、相槌をうつしかなかった。

 

それは、ある春の夜。

カナディアンカヌーで四万十川をくだり、川原で焚き火キャンプをしていた時のコト。

焚き火マジックにかかったKは、苦しい胸のうちを訥々と語りはじめた。

独り暮らしの寂しさのコト、子供のコト、うまくいかない仕事のコト、不安な将来のコト。

それまで僕らは、バカ話をしながら陽気に飲んでいたので、

不意の打ち明けバナシに不意をつかれ困惑した僕は、ただただ黙って彼のハナシを聞いた。

 

ひととおりハナシおえると彼は黙りこんでしまった。

ふと見あげた頭上には、たくさんの星が瞬いていた。明日は、新月だ。

「なぁ、星降る川に、カヌーでくりだしてみようぜ!」と僕は言った。

ほとんど流れてない長いトロ場に、カヌーをうかべ、星々の饗宴に酔いしれた。バーボン片手に。

「すげえなぁ・・・。うつむいてばかりいたら、このステキな星空に気がつかなかったかもな。

なぁ、この宇宙の膨大な時間のなかでは、人の一生なんて、ほんの一瞬の光りの輝きなんだろうな・・・」

「そうだなぁ。過去も未来もなく、今、俺たちはサイコーな星空にしびれている。それでよくね?」

「これから独りどうやって生きていこうか・・・」

「・・・旅にでて、新しい世界にふれてみては?」

テント場にもどった僕らは、消えかかっていた火を復活させた。

Kは、だまって夜更けまでギターを弾いた。

 

それから数カ月後。我が家に、エベレストが写ったポストカードがとどいた。

そこには、短い文章が書かれていた。

「よう、元気か?俺は、あれから旅にでたよ。おっさんバックパッカーさ。

香港からはいって、タイ、インドネシアなど東南アジアをまわり、インド、ネパールへ。

そこからヨーロッパまで。あと2か月ほど旅をして日本へ帰る。

やっかいなことに巻きこまれたり、

あぶない目に会ったりもするけど、今をとても楽しんで旅をしているよ。世界は広いな!

帰ったら、また星空の川原で、焚き火をかこんで一杯やろうぜ!!」



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