おはようございます。四万十は、晴れ。
(昨日の大風も止んだ)朝の川は、ベタ凪。
キリッと冷えた空気のなかを、のっぺらな水面を見せてのったり流れています。
透明度のよい青空と川をながめながら耳をすます。
いまだ、ウグイスやカジカガエルの春の歌は、聞こえてきません。まだ、ひやいからなぁ・・・。
でも、岸辺の大きく膨らんだハクモクレンの蕾が、もうぐ春だよ!と教えてれます。
さぁ、大きく深呼吸して —この空と川のように— ココロも澄ませて今日をはじめよう。
今日の最低気温は、-3、5度。
最高気温10、7度。午後も晴れ。
陽射しがたっぷりなわりには、空気はヒンヤリ、
(風裏の日なた以外は)肌寒くかんじる昼下がりです。
「静けさや 寒波のなかに 声ひそめ」。マタユキ二ナラナキャイイケド。
それでも、来週中頃からは、一気に春めいてきて気温も平年並みに。
寒暖差がとても大きい季節の変わり目です。皆さんも体調管理にはくれぐれもお気をつけて。
2月28日(金)は、新月です。
人少なく灯り少ない四万十川の川原は、星を見るにもよいところ。
焚き火にあたりお酒でも飲みながら、のんびり秋の星空をながめてみてはいかが。
♪流れ星 流れ星 すぐに消えちゃう君が好きで♪
ごろた石の川原キャンプは、コットを使うと快適ですよ。
焚き火も心地よい、秋~春の四万十川の川原。
そんな焚き火には、「焚き火マジック」があるのをご存知ですか。
いつもは無口なヤツが饒舌に語りだしたり、いつもはおしゃべりなヤツが黙り込んだり、
とても大切なハナシをいきなりぶっちゃけたり、
焚き火を見つめていると、ときどき人は、ゆらめく火の魔法にかかってしまうコトがあるのです。
「実はなぁ、オレ、あいつと別れたよ」
「ん?」
「離婚したんだ。子供は向こうについていった」
「そうか・・・」焚き火の向こうにいる友人Kのトートツな打ち明けバナシに、
僕は、なにを言っていいのかわからず、相槌をうつしかなかった。
それは、ある春の夜。
カナディアンカヌーで四万十川をくだり、川原で焚き火キャンプをしていた時のコト。
焚き火マジックにかかったKは、苦しい胸のうちを訥々と語りはじめた。
独り暮らしの寂しさのコト、子供のコト、うまくいかない仕事のコト、不安な将来のコト。
それまで僕らは、バカ話をしながら陽気に飲んでいたので、
不意の打ち明けバナシに不意をつかれ困惑した僕は、ただただ黙って彼のハナシを聞いた。
ひととおりハナシおえると彼は黙りこんでしまった。
ふと見あげた頭上には、たくさんの星が瞬いていた。明日は、新月だ。
「なぁ、星降る川に、カヌーでくりだしてみようぜ!」と僕は言った。
ほとんど流れてない長いトロ場に、カヌーをうかべ、星々の饗宴に酔いしれた。バーボン片手に。
「すげえなぁ・・・。うつむいてばかりいたら、このステキな星空に気がつかなかったかもな。
なぁ、この宇宙の膨大な時間のなかでは、人の一生なんて、ほんの一瞬の光りの輝きなんだろうな・・・」
「そうだなぁ。過去も未来もなく、今、俺たちはサイコーな星空にしびれている。それでよくね?」
「これから独りどうやって生きていこうか・・・」
「・・・旅にでて、新しい世界にふれてみては?」
テント場にもどった僕らは、消えかかっていた火を復活させた。
Kは、だまって夜更けまでギターを弾いた。
それから数カ月後。我が家に、エベレストが写ったポストカードがとどいた。
そこには、短い文章が書かれていた。
「よう、元気か?俺は、あれから旅にでたよ。おっさんバックパッカーさ。
香港からはいって、タイ、インドネシアなど東南アジアをまわり、インド、ネパールへ。
そこからヨーロッパまで。あと2か月ほど旅をして日本へ帰る。
やっかいなことに巻きこまれたり、
あぶない目に会ったりもするけど、今をとても楽しんで旅をしているよ。世界は広いな!
帰ったら、また星空の川原で、焚き火をかこんで一杯やろうぜ!!」
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