あるBOX(改)

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思い出の名勝負:レパード玉熊vsヘスス・ロハス

2002年01月04日 | ボクシング
レパード玉熊vsヘスス・ロハス

1990年12月6日 青森県総合運動公園体育館 
WBA世界フライ級タイトルマッチ

同年獲得した王座の初防衛戦、相手は元王者のへスス・ロハス。
奪取した試合が、相手の失速もあって玉熊の真の評価には繋がらなかったが
実力者ロハス相手の技巧派対決は、王者玉熊の真価を問われる1戦と言えた。

1R左ストレートを突き刺して好調をアピールする玉熊、右の引っ掛けも有効。

2Rはロハス、長身サウスポー攻略を意識してか猛然と接近。
左フックで玉熊の上体を前のめらせ、私に悲鳴を上げさせる(笑)。

そこからはペース争い。
玉熊をロープに詰めてボディから上に左フックを狙うロハス、アッパー・フックで
迎え撃つ玉熊。
ロハスの柔らかい上体は玉熊のストレートを吸収するものの、密着戦ではクロス・
アームのブロックを掻い潜って玉熊は連打をヒット。

一方玉熊のブロッキングの隙間をぬってロハスもアッパー、フック、ボディブロー
(ローブローも多かったが、玉熊は一向に効いた素振りを見せず)をヒット。

一進一退の中盤を経て、慣れない接近戦で疲れたか、ロハスがペースダウン。
玉熊が得意のショート連打で攻めこむ。
しかし、ロハスも曲者。ときにロープを掴み、身体を入れ替えて集中打を許さない。
そして、玉熊得意の相手の首を引っ掛けて回す動きも、腕を差込んでさせず。
この技巧派同士の駆け引きも見応え充分だった。

さらに玉熊は苦手だったミドル~ロングレンジでも堂々と応戦、ジャブ・ストレートの
突き合いで1歩も遅れを取らない!

新人王獲得後、中途半端なアウトボクシングを攻略され連敗。
中堅の正木高浩に足を踏まれてダウン、
喜友名のスピードに完敗(唯一のストップ負け)、
終いにゃ減量苦もあって横沢健二にも苦杯を喫した「あの」頼りないボクサーが・・・。

接近戦に活路を見出し、自分の特性を伸ばし(パワー、スピード、距離カンに恵まれ
なかったが、芯に食わない防御カンとショート連打は利いた)
自信を付け遂には世界レベルの技巧派と1歩も劣らぬボクシングを展開するまでに
なったのだ!!

(この時点で私は感動の絶頂で涙が出かかっていた)!

踊るようなフットワークこそ無いものの、軽量級らしい手数の応酬のまま最終ラウンド終了。

際どいものの玉熊、小差の判定防衛かと思わせたが、結果はドロー!!
玉熊は、金容江戦と同じく「消極的、ロープに詰まり過ぎ」と酷評されたのであった。

しかし、その後も長くトップ選手として戦ったロハスの戦績を見れば、中南米の技巧派と
1歩も譲らぬ戦いを見せた玉熊の技量が推し量れよう。

実際、渡久地や大場、飯田がロハスの技巧に苦杯を喫する度に、玉熊の偉大さがクローズ
アップされたものである。

川島郭志が戦ったブエノやサラサールも技巧で鳴らした選手だが、私にはナマクラの臭いも
感じられた。

私にとって、近年 中南米トップボクサーと技巧で互角以上に戦った選手として最初に名前が
上がるのはレパード玉熊、その人である。