あるBOX(改)

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思い出の好試合:西川浩二vs風来ゆうと

2002年01月25日 | ボクシング
西川浩二vs風来ゆうと

1984年4月26日 後楽園ホール 

フライ級10回戦
素質あるアマ転向ホープとして期待された風来(ワタナベ)だったが、
協栄トーレスにKOされ連勝ストップ。穂積秀一の日本タイトル挑戦も
失敗と、壁に突き当たっていた。

再度浮上を賭けて、6位の新鋭・西川浩二(三迫)との対戦となった。

日本1位らしく、シャープなジャブとキレのあるワンツーを飛ばす風来。
サウスポースタイルからジワジワと相手を追って、ボディを狙う西川。

好対照の組み合わせだ。
いきなりの右をストレート、アッパーで放つ風来、セミクラウチで
ガードを固める西川の真ん中から鋭いパンチをヒットさせる。
センスの違いは明かだ。

8勝(4KO)2敗ながら当時7連勝中の西川も、リズミカルな
ボディワークがある訳でもなく、パンチのキレも無く、どちらかと言うと
ドン臭いタイプ。
風来に いなされながらも辛抱強く前進を続ける。

3Rには右ストレートから右アッパーで風来がチャンスを掴み、
後退する西川を連打。
しかし西川のタフさと自身のスタミナ不足から詰めに至らず。

試合はウサギと亀の運動会の様相を呈してきた。
亀はノロイ動きながら、コツコツとパンチを積み重ねる。そのパンチが重い。
ウサギは速いが気まぐれだ。

5Rには右目をカット。ウサギの白い顔が赤く染まった。
中盤を過ぎてウサギのスタミナに翳りが見え始め、足が止まりロープを
背負うシーンも増える。そこへ亀の重いボディブロー。

6R遂にウサギ、ボディを打たれてダウン。
7Rにもカウントされるハメに。ここでウサギなりの意地を見せ、カサに
かかって攻めて来る相手に右強打!

西川棒立ち!
逆転KOを狙って風来が連打!

しかし西川のスタミナとタフネスの前に息切れ。
普段の積み重ねの差が如実に現れている。西川は本当に良く走りこんでる感じだ。

9Rには再び西川のボディブロー、右フック、左ストレートで風来はメロメロ。
イヤ倒れのような形でキャンバスに沈み、レースは終わった。

西川の大殊勲だった。
風来のホープ寿命は実質この試合で尽きた
※その後ホープの大鵬健文と引き分けと意地を見せたが、喜友名と吉本勝に
 連続KO負け

台頭時には
「トップ選手とはスパーで手合わせしたが、負ける気はしない」
「酒も飲みます。カラオケも好き」
「キャンプなんてヤル気ない。ゴルフ場で皆で走るなんてバカみたい」
「サラ金にも慣れ親しんでいます」・・・等と言うアンチ優等生なユニーク発言で
ドギモ抜かされてた私としては、逆に応援していたのだが(笑)。

同時期の世界王者に対し
「渡嘉敷は最近なにかイイ気になってるので やっつけてやりたい」みたいな
・・・“どっちがイイ気になってんだ”発言もあって最高に笑わせてくれた風来ゆうと、
私は一生忘れない。
※ある意味、アマ同期の赤井英和よりヒョウヒョウとして面白いキャラクターだった

一方トップランカーを降して急浮上の西川だったが、次の打越芳幸(斉田)戦で黒星。
再び中堅ランカーへ逆戻り。
さらに榊原隆史にも判定負け、船木和良と負傷ドロー。

白星と苦闘を繰り返しながらもジワジワと地力を付け、遂に打越に雪辱して空位の
日本フライ級タイトルを奪取。

田中正人、仲里輝明らの しぶとい挑戦者達を退け、レパード玉熊に敗れるまで
堂々たる日本王者としてベルトを守ったのである。

特に不利を予想されながら、逆に一方的な判定勝ちを収めた内田好之(上福岡)戦は
ベストファイトと言っても良い防衛戦で

連続KOを続ける強敵相手に右アッパーを打ちこんでダウンを奪ったシーンは、彼の
「ドン亀」キャリアが最高に輝いた瞬間だった。

今は自分をドン亀と命名した三迫会長の下、トレーナーとして働いている西川氏。
白星に恵まれぬ選手にも親身で教える事の出来る、素晴らしいトレーナに違いないと
勝手に思ってる次第です。