蟻の意地

東日本大震災で被害を受けた東北新幹線が
4月29日、１か月半ぶりに全線で運転を再開した。

余震が続く中、よくぞ復旧したものだ
保線作業、送電線の修復・・・当分は動かないと
思われた大動脈の復活

技術屋さんと現場作業の方々には本当に頭が下がる

首都圏と東北の主要都市を結ぶ新幹線
ビジネスや観光で人の流れが戻り、経済復興が本格化
するには不可欠な鉄道の再始動・・・

震災前の３月デビューの新車両「はやぶさ」も、殆ど
出番なきまま軌道を失っていた

懸命の復旧工事で運転を順次再開し
途中、余震や送電のトラブルなどに見舞われながらも
仙台と岩手県一ノ関の区間が繋がり、遂に全路線復旧
に至ったわけだ。



速度を落としたり本数を減らしたりの運行なれど
飛行機やバスなどを乗り継いでいた被災地へのアクセスは
向上する
あえて被災地の観光エリアに足を運び、東北地方の経済
復活に貢献しようという人々も居ると聞く

津波被害に遭った地域など、まだ瓦礫が残る中
送電線や電柱が次々と林立されている

一種異様な風景だが、
「鉄道とともにライフラインを復旧させて復興の足がかりに
しよう」という強い意思の表れ・・・だな

当初は
「強い余震あったら、また崩れるじゃないか。やめといた方が
イイんじゃないか」とも思ったが
建て直す方は「壊れたらまた造ればイイ」くらいの気概で
やってるんだろう
大した根性だ



少し前、帰郷したとき
上空から飛行機で故郷の山脈を見下ろした

山の峰から漏れた砂ゴミのような茶色い土地に小さな家並みが見えた
「やはり人間は ちっぽけだな。まるで蟻のようだ」と思った

しかし蟻にも意地がある　自らの縄張りを譲らない本能がある

子供の頃、蟻の巣を見つけては踏み潰したり水で流したりしたものだ
しかし、後日 気が付けば蟻は当たり前のように巣を再構築していた

人間も同じだ
たとえ大自然の驚異に敵わなくとも　蟻のように蹴散らされても

大地に杭を打って自らの礎を築いていくんだろう
たとえ時間が掛かっても、小さくて力強い蟻のように