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あるBOX(改)

ボクシング、70年代ロック、ヲタ系、日々の出来事などをウダウダと・・・

「渡辺宙明トークライブPart10」に行った(4)

2017年03月12日 | アニメ・特撮
ラテン音楽と関連して松岡直也さんの紹介は続きます。

「野球狂の詩」初期OPイントロのポロンポロンという
導入は、松岡さんのアドリブだそうで、宙明先生曰く
「あれは作曲家じゃ書けません。松岡さんらしく演って
もらった」とコメント。
その信頼度が押して知れるというモノです。



なお、その音色はクラヴィネットによる物だそうで。
楽器の特質にあった素晴らしい演奏だと感じ入りました。

クラヴィネットといえば、
スティーヴィー・ワンダーの「迷信」や
ELPの「ナットロッカー」、レッド・ツェッペリンの
「トランプルド・アンダーフット」などが浮かびます。



電子ハープシコード(?)とも言える、その楽器を使い
こなすには、かなりのセンスが必要と思うのですが、
渡辺さんは手癖っぽい演奏で見事に聴かせてくれてます。

そしてラテン楽器。
宙明先生はラテン楽器も相当に所有されているようで、
アニメや特撮曲で使われた物が紹介されていきました。

有名なギロは勿論、アクマイザー3のOP冒頭に鳴る金属音
「キラリラリーン」は、フレクサトーンという楽器の音だ
そうで、不破氏が実演されてビックリ。
※私ゃてっきりシンセによる物だと思っていた!

または気を付けなければハイハット音と同じに聴こえる
楽器とかをリズム楽器に使われていて、その細やかさも
特筆モノでした。



さらに宙明先生作曲のレア物紹介も行なわれ、非売品の
ソノシート「なにわや」のCMソングが流されました。
歌っているのが、なんとザ・ピーナッツ!

双子の歌姫は収録後に「イイ歌ね」と語り合っていたとか。
古い劇伴も「全力で作りました」と仰る宙明先生だけに、
CMソングも素晴らしいメロディです。

ソノシートが元だけに、未CD化の曲。「求む音源!」の
ノリでした。

いよいよ終盤、腹巻猫さんから「最近印象に残った事」を
尋ねられた宙明先生、そこで「君の名は。」「シン・ゴジラ」
「この世界の片隅に」を観た事を挙げてらっしゃいました!



しかも一番は「君の名は。」だとか、なんとお若い!!

なお、アニメ「けものフレンズ」もご覧になったそうだが、
これは「よくわからなかった」そうです。
※ていうか誰が勧めるんだ!?お孫さんか!?



今後のお仕事の紹介もありまして。
(しょこたんが出演している)NHKアニソンアカデミー校歌の
作曲や、まだ公表ができない仕事…などがあるそうです。

さらに発表されたばかりの「ギャバンVSデカレンジャー」の
主題歌を聴いて、「ああ、やっぱり安定の宙明節」とトロけ
そうになり、いよいよエンディング間際と思いきや。

宙明先生が再度ラテンのリズムに言及され始め、不破氏が
「さっき端折ってしまいましたが…」と改めて動画付きで
紹介するシーンも。

サルサなどで用いられるラテン音楽特有のリズムパターン、
クラーベ。
「2(ドス)、3(トレス)」や「3(トレス)、2(ドス)」を
基本に発展する多彩な物があるとの事。



これなんて発展させたら「ジャングル・ビート」になるなぁ
…なんて事を思っていたら
宙明先生が「ラテンアメリカ音楽もアフリカから来た黒人が
リズムを伝えた」ような話を始められ

「黒人がいなかったら、世界中の音楽は今のようにはなって
いません!」と断言なさったのです!

※確かにそうだけど、まずクラシック畑で勉強なさった渡辺
 宙明先生から、ここまで高らかに黒人賛歌が飛び出すなんて
 感激です!



 私はパーカッションで「悪魔を憐れむ歌」、ジャングル・
 ビートで「ノット・フェイドアウェイ」を思い出す、R・
 ストーンズ・ファンでもあるんですから!

ブルースの事にも言及され、「次回のテーマはこれですか!」
みたいなムードのなか、イベントは終了。



いやぁ、今回も濃かった。
「また次回、開催あったらお会いしましょう」で閉幕の拍手。

先生は席を立つ時、そして袖にハケる時、それぞれ我々に
両手を上げて挨拶されました。

その度に大きな拍手。物販の「日活映画CD集」は売り切れに
なったそうで、先生人気は益々健在!

今後も期待で御座います。ありがとうございました!

「渡辺宙明トークライブPart10」に行った(3)

2017年03月12日 | アニメ・特撮
休憩でドリンクを注文し、2杯目のアルコール。
昼食もここでオーダー。

後半は不破了三さん解説で「宙明サウンド解析・ラテン音楽編」。
まずラテン音楽とは何ぞや、ラテンアメリカとは何処ぞやという
話からスタート。



おもに中南米を中心とした地域で、リズムを強調した音楽という
括りで。
マンボやルンバ、マリアッチ、スカ、レゲエ、サンバにボサノバ、
フォルクローレ等、地域毎に多種多様な音楽あり…と。

特にマンボなどは米レコード会社が売り出しに掛かって大ヒット
した…と。
※皆が知ってるラテン曲として「タブー」が掛けられましたよ。
 私は「ビタースイート・サンバ」かと思ったのですが、演奏が
 米国人で新し目(?)の曲だから仕方ないか…。

ここで世界中に渡ったラテン音楽が各地で独自の発達を遂げて、
日本でも歌謡曲にラテンのリズムを盛り込んだ曲が誕生。

それ以前にもジャズの要素を楽曲に取り入れてた日本の作曲家
たちは、順応していったそうで。その代表が宙明先生というお話。

もともと流行音楽としてのジャズに接していた宙明先生。さらに
ボストン・バークリー音楽院で学んできた渡辺貞夫氏の講義を
聞きに通い、ジャズ理論を吸収したというのは周知の事実。



自分より若いナベサダ氏に教えを乞うた宙明先生も凄いが、
学んだ事を惜しげもなく伝えたナベサダさんも立派というか…。
※ナベサダさんは
 「帰ってきても仕事が無いから糊口を凌ぐために開講した」
 みたいに仰ってるが。それは謙遜なんでしょうね。

結局「バークレーの理論は応用が効いた」と、宙明先生はラテン
リズムや打楽器などを楽曲に取り入れ、それが素晴らしい結果と
なったのも周知の事実。

不破氏は昔流行り、いまも演奏されているボサノバやアフロ・
キューバンのスタンダードナンバーを紹介。

宙明先生は映画の劇中曲(キャバレーでバンドが演奏する曲)を
「あっちの曲を使うと料金が発生する」として、それっぽい曲を
作曲されたんだそうな。

その時々の流行歌の要素が昇華される、劇伴の真髄が分かる話で
ございました。

※日本は微妙に流行に遅れたりするんだけど、宙明先生は敏感で
 いらしたんだなぁ…と、感じ入りましたよ。



ラテン・ピアノというジャンルで活躍されたとして紹介されたのは
松岡直也さん。
ジャズ・ピアノ~ラテン・フュージョン・ミュージシャンとして
宙明先生から信頼された人だったとの事。

演奏シーンも紹介されましたが、
「おおっ!まさにフュージョン!」と叫びたい演奏でした。
パーカッションによるリズムの奔流、マクラフリン的なギター!

ラテンといえば「サンタナ」な私だが、こちらも洗練されてて
カッコイイ!
※いや、サンタナも70年代中期あたりから洗練されるんです
 けどね…

自らバンドを組んでスタジオ・ミュージシャンを卒業なさったと
いう松岡直也さん。
宙明先生は「忙しくなられて呼べなくなりました」と苦笑。

それはそうとして、
松岡さんの楽曲に触れて「お~、また思わぬ収穫だ」と喜んだのは
他ならぬ私なのでした。

(続く)

「渡辺宙明トークライブPart10」に行った(2)

2017年03月12日 | アニメ・特撮
イベントは続く。

次は「おーい!太陽っ子(1973年)」。
ドラマじゃなくてドキュメント番組だったのな。
各地の子供を紹介する・・・みたいな?

でも、やっぱり見た人は会場内に一人もいないという、
これまたレア番組。

主題歌の作詞が中山千夏さん。一瞬、千夏っちゃんが歌って
いるのかと驚いたが…嶋崎由理さんでした。



「みなしごハッチ」を歌った人。
1973年当時は17歳だったというのが凄い。ベテラン並に安定
していて上手いし。

音入れに立ち会ったという宙明先生、印象を聞かれて
「あまり憶えてないですなぁ」と返答。

場内に笑いが・・・。

あまり上手くて、すんなり終わったら逆に印象が薄くなるん
でしょうね。
※物凄いヘタか、子門真人さんみたいに凄まじく上手いか
 だったら記憶に残るのかな

電話インタビューで腹巻猫さんが聞いた話では、島崎さんは
よく覚えてらっしゃるそうで。

壁の薄い学生寮みたいな所で生ギター1本の弾き語りで練習し、
本放送が始まったら周囲から「君が練習してた曲か!」と声を
掛けられたそうな。
※イイ話ですなぁ…

前向きにして大らか、メロディアスな曲。
※宙明先生は「こういうのが自分の本領」とコメントされていた。

「あったこともない友だち」「微笑にふれてみたかい」の2曲は
CD「渡辺宙明 卒寿記念 ~chumei 90 songs~」に収録されてて
印象に残っております。



素敵な歌詞を書かれた中山千夏さん。
その時に会ったのか尋ねられた宙明先生だったが、作曲家と
作詞家が会うことは意外に少ないそうで。
実際に合われたのは随分と後だったとの事。

そして、お題目は「メロディ作りの秘密」へ。
『鋼鉄ジーグ』が流れると、その擬音スキャットの凄さに皆
感激…。

先生仰るに「腕が飛び出す」「足が飛び出す」と来たら、もう
「ババンバン」と続けるしか無いでしょう…と。

作詞の林先生から来た歌詞にも、後は「おまかせ」みたいに
書かれていたそうで、(東映さんが書いたのかな?)後は宙明
先生が勢いで「ダンダダダダン」「バンババン」などの擬音
スキャットを大量に追加したそうな。



増えた部分をプロジェクターで「パッ」と色分け表示されたのだが、
その多さに我々が笑ってしまう程だった!

先生は「いやぁ、これくらいやらないとね」と御満悦なんだから
堪りません。

『ジーグ』に関しては、イタリアでの人気ぶりと(劇中には登場
しないが)ジーグをテーマにした最新実写映画の事も語られて。

『ジーグ』主題歌のイタリア・ヴァ-ジョンも流されました。
※これが別の意味でカッコよかった。歌い上げる国民ですから。

(続く)

「渡辺宙明トークライブPart10」に行った(1)

2017年03月12日 | アニメ・特撮
今度は阿佐ヶ谷のLoft。

劇伴倶楽部presents
「渡辺宙明トークライブPart10~宙明サウンドのディープな世界~」

12時開場で13時スタート。
12時半過ぎに到着したら9割方は席が埋まっていた。



例によってテーブルに対しコップや皿が並べられるスペースが
足りないので、コンパクトに飲み食い。
※最終的にドリンク2杯を飲んでしまったが・・・

出演は、渡辺宙明先生ご本人、司会の腹巻猫さん、
解説と機材操作の不破了三さん。



まずは、3月4日の渡辺宙明コンサートスペシャルについて
「行かれた人はどれくらいですかね?」と尋ねられ、客席の
9割以上が挙手。

今回のイベント内容は、
・新リリースされるCD「渡辺宙明コレクション ガードドッグ/
 おーい!太陽っ子」の紹介
・メロディ作りの秘密
・宙明サウンド解析「ラテン音楽編」

まず、腹巻猫氏の音頭で「乾杯」。



新リリース商品紹介と言っても、貴重な過去作のCD化だけに、
まずは番組の説明から始まる。

「ガードドッグ」については
1970年1月6日~3月31日まで放映された実写ドラマ。30分番組。
宙明先生のキャリアで言うと、「五番目の刑事(1969年)」と、
「人造人間キカイダー(1972年)」の間に位置する作品という
事で、特撮物への転換直前期。

愛玩犬の会社が製作した珍しい番組で、それだけに犬が子供の
仲間として社会悪と対峙するような内容だった模様。

犬の宣伝のために生まれた作品だったが、元の会社が潰れて
幻の作品となってしまったそうだ。
※ちなみに
 腹巻猫さんが「番組見た人いらっしゃいますか?」と尋ねるも
 さすがに手を上げる人は居ない。ホントに幻の番組だ・・・。

よく音源が残ってたなと思ったが、宙明先生の自宅にテープの
コピーがあったとの事。
「後でこういう事があるなら、他の作品も残しておけば良かった。
この作品は珍しく残っていた」と語る宙明先生。



ここで流されたテーマ曲も。少年が歌う当時の主題歌らしい物。
歌詞に「ゴールデンレトリバー」という犬種名があるのには
驚いた。
後に宇宙刑事シリーズで宙明先生とタッグを組む山川啓介先生、
レトリバーの流行りを凄まじく先取りしてらしたのね…。

劇中のBGMはサスペンス調の物も。
その他、ジャズを感じさせる曲ではビッグバンドのニューハードに
いたトランペットに人に直接依頼したんだとか。

腕利きのスタジオ・ミュージシャンに直接頼んで、ある程度の骨子を
伝えて後は任せる・・・それが宙明先生のスタイルだったんだな。

(続く)