都市徘徊blog

徒然まちあるき日記

北京市都市計画学会訪問

1995-09-04 | 中国   

9:00 北京市都市計画学会を訪問
 東安閑?というところにあるオフィスで北京市都市計画学会代表の方などと懇談し、北京市の現況と都市計画の概要、問題点について伺う。
 部屋には北京市の都市計画図が貼ってあり、スライド式で引っ張り出すと別の図も見られる。以下は、北京市都市計画学会の方による説明。


 北京市都市計画学会にて


 北京市150km圏の図で、北京の北西・北東、60〜70km付近のダムから水を得、二つの川の間にあるのが北京市だという。北京市内は海抜50m程度。南部は比較的平坦で、周囲の山には標高1,200m程度のものもある。

 ニュータウンが14、普通の街が140、衛星都市も10〜30万人規模のものがいくつかあるという。農民の流入も多い。万里の長城のある八達嶺方面は、沿道も賑わっているという。郊外との間はバイパス道路で繋げている。中心都市から郊外へは高速道路を全て造る予定。環状道路も10km、30km、60kmエリアで造り始めている。

 郊外の森林等は自然環境保護地区とされ、10カ所程度ある。市内にも点々と保存地区がある。また、北京市は首都として800年の歴史があり、中国の歴史文化都市に指定されている。城壁は最近は取り壊され、今は高速道路とされている。1945年の建国当時は、城壁の外にはほとんど建物はなかったが、その後、都市計画方針が考えられ、昔の旧市街地のグリッドを拡大継承することが考えられている。ただし周囲は放射道路にしている。

 北京から南東への道は天津に至り、その先まで続き、京津道特別地区になっている。北東は空港に繋がる道。南西への道は香港、広州へ至る道である。

 全体計画は分散集団式と言われている。中心区は300km2、周囲にはグリーンベルト、その外側に10ヶ所のベッドタウンが計画されている。鉄道は将来的には東西南北、4つのターミナルを作るという。外側には環状鉄道が走り、上海へは新幹線を作る予定。さらに南東にはコンピューター等の工業開発地区を作るという。

 北京の都市計画区域は1,040km2。北京市は政治・文化の中心であるだけでなく、経済的中心地でもある。しかし市内の重工業等は外へ徐々に移転していく予定。騒音や汚染が少なく、水電力を大量には使わず、生産性の良い工場を内部に入れる。土地利用は重要なことである。人口が多い一方で利用可能な土地はそれほど多くない。北京市域の人口は農業等の18区県を合わせると1,000万人。現在、市区の人口は500万人で、最大でも600万以内に規制する方針で、周辺からの流入規制を厳しくしている。また、北京でも高齢化は進んでいる。

 タクシーは約6万台。自動車は90年代に入って相当増えている。大気汚染、渋滞問題が深刻。第2環状道路はメインと側道で二重になっている。この道は昔の城壁の跡を活用しているが、ところどころには城門が残り、濠も一部残されている。この第2環状道路内は、面積63km2、人口174万人、オフィスの床面積は3,000万m2。

 職住近接が政策的に行われているので、日本のような遠距離通勤はあまりない。従って、昼間・夜間人口の差はあまりない。土地が国家所有なので道路などは通しやすい。土地収用はかなり強制的に可能である。1年で1,300万m2の床面積の建設が行われている。半分以上が住宅で、200ヶ所程度の住宅建設を国が同時に行っている。インフラサービス施設の建設も同時に行っている。

 市区内では高さ制限がある。故宮の周囲では6m以内。外側に向かって、6、9、12mと徐々に高くなっていく。第2環状道路の外では20m以上の高さ、第3環状道路の外では60m以上の超高層も建設可能。景観として高層と低層を組み合わせてリズムを作ることを考えている。

 高層はオフィスが多く、住宅は5、6階が多い。1階の階高は約2.7m、6階で約18m。6階建てまではエレベーターなしでも良い。日当たりはやはり結構気になる。人口密度は、600〜800人/ha である。1人あたり1m2の緑地を確保しようと考えており、緑の確保のために9階建てを進める案もある。そうする方がエレベーター付きになって良い面もある。現在、ほとんどの住宅は18階建て以下。住宅は50〜60m2。目標としては1人あたり18m2にするつもりだが、会社や所属によって異なり、5m2以下の人もいたりするから、その解決が先である。現在はほとんどの人が借家で、国か会社から家を借りている。長く住んでいると国から安く買うことができるが、買ってから5年以内は売ったり貸したりしてはいけない。

 新しい建物はほとんどが水洗トイレである。古い建物の中にはそうでないものもあるが、改善が進んでいる。日本の保存地区での改造(水洗化など)も参考にしている。故宮周辺など、密集地では一部住民を移転させて人口を減らしてから改造を行ったりしている。景観を守りながら住環境を向上させることが課題。ヨーロッパ式の現代的都市にするつもりはない。北京らしさを守り、特徴を持つべきだと考えている。

 故宮前には軸線があるが、これを南北にも伸ばしていくつもりである。大規模な建物の設計を審査する際には、伝統、多民族、時代の特徴、新しさを考慮する。北京市では147の建物についてアンケート調査を行った。認められているのは50程度である。

 民族文化宮は最も評判が良い。2番目は国会議事堂、3番目は天安門前の人民大会堂、4番目は五輪ホテル、5番目は毛沢東記念館、6番は昔の四合院を改造したもの、7番は中国美術館、8番が大観園。

 ゴミ処理は、いちど市内の集積場へ集めそれを郊外の処理場へ持っていく。やはりゴミ処理は問題になっている。



 北京市都市計画学会から


 北京市都市計画学会そばのアパートメント


11:10 マイクロバスで、第2環状線(長さ28km)を左回りに一周しながら街の説明を受ける。この道が旧市街と新市街の境なので、道の左右の景色が全く異なる。


 第2環状線から旧市街を囲む濠


 第2環状線

12:00〜13:10 市街西側の住宅街の中にあるレストランで懇親昼食会(北京ダック)。

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