じゅらくビル(京成聚楽ビル)
所在地:台東区上野4-10
建設年:1936(昭和11)、1F・B1F・連絡通路は1935.12に完成。
構造・階数:SRC・7F(当初は5F、戦後増築)
備考 :2005~06にかけて解体。
Photo 1998.5.16
上野の駅前、アメ横の入口わきにあった建物。アメ横と中央通りの角地に立っていて、細長いくさび形をした建物だった。上階がセットバックしており艦橋のようなバルコニー部分があることもあって「軍艦ビル」などとも呼ばれていた。最後の頃には外壁のモルタル剥落防止のために緑色のネットが全体に掛けられ、駅前で怪しい雰囲気の姿を見せていた。低層部に店舗やレストランが入居していたが、上の方の階はあまり使われていなかったようだった。
京成電車(現 京成電鉄)は1933(昭和8)年12月に日暮里~上野公園(現 京成上野)間が開業。その京成電鉄の駅ビル(京成上野公園駅 本屋)として、電車開通の約2年後にできたもので、全階に飲食店があったとのこと。ホームは道路反対側の地下なので、改札やホームと駅ビルは長い地下道で結ばれていた。京成電鉄の本社が置かれていたが、1969~77年には上野京成ホテルだったという。
Photo 2008.10.12
建て替え後はヨドバシカメラになったが、敷地形状が変わっていないのでこの建物もかなり薄い。
廃景録 > じゅらくビル(ネットが掛かる前、1993年の写真)
収蔵庫・壱號館 > 京成電鉄ビル(じゅらくビル)(1992頃の写真)
東京浪漫劇場 > モダン建築逍遥 > じゅらくビル(内部写真あり)
福山アパート
所在地:文京区白山1-4
構造・階数:木・2
建設年:東棟 戦後/西棟 関東大震災後
解体年:東棟 2009年前半/西棟 2009〜11
Photo 2008.3.28 写真は北東側から。
西片の住宅地から曙坂を下りたそばにあった木造アパート。全体は二棟からなり、現在も西側の一棟(上写真奥)は残っているが、一年ほど前に東側の建物が解体された。近辺の旧町名は丸山福山町。アパート名も恐らく昔の町名から来ている。
masaさんの「Kai-Wai 散策」内の記事によれば、残っている西側の建物は関東大震災後の建物だそうで、築80年近いものらしい。一方、解体された方の建物には数年前から人が住んでおらず、倉庫となっていたそうだ。こちらはそれまでの建物が戦災で焼けたため、戦後に建て直したそうだが、それでも築60年ぐらいはあったようだ。
壁面と1階の屋根はトタン貼り。何度も改修されたのか、いろいろな窓サッシが使われていた。
南側から。テレビアンテナは倒れてしまっていた。左端の建物は現存。 Photo 2008.6.4
玄関部分の庇と柱。 Photo 2007.11.4
全体としてはデザインに凝ったところはほとんどなく、単なる木造賃貸アパートなのだが、玄関部分にモルタルで形作られたドリス式っぽい柱頭を持つ柱があり、そこだけ妙な違和感が漂っていた。
講談社別館(旧三井高陽邸)
所在地:文京区目白台3-29
建設年:1936(昭和11)
構造・階数:RC2
解体年:2006(平成18)
Photo 1997.6.1
音羽通りから東大病院分院へ向かって上る三丁目坂の入口近くに建っていた洋館。三井家の邸宅として建てられたもので、戦後は米軍に接収され、返還後の昭和28年に講談社が入手して利用していたのだという。門が閉ざされていて内部の様子は分からなかったが、門が立派でかなりのお屋敷なのだろうとは容易に想像された。
原稿を書いて貰うために作家を缶詰にしたりした建物だともいうが、内部写真を見ると立派な邸宅で、私がもしこんな場所に缶詰になったら毎日楽しくて逆に全然書けそうにない。まあそんなことは絶対無いので杞憂なんだけど・・・。
下記のブログ記事(夏の記憶)には、解体直前に行われた見学会の折に撮影された内部写真がある。見学会をするくらいなら壊さなければいいのにと思うのは私だけだろうか。開発をする人たちの考えは理解しがたい。
この建物の少し西側から北へ入ったところには、野間道場という木造の剣道場があったそうだが、こちらも2007年に解体されている。
都市風景への旅 > 東京都文京区目白台2・3丁目
喫茶店で瞑想して、 銭湯で元気になる > 夏の記憶 1、2、3、4、5
まちかど逍遥 > 講談社旧館(東京歩き)
のりみ通信 > 講談社第一別館(旧三井邸)解体 ―手塚治虫ゆかりの地がまたひとつ…
月刊旧建築 > 講談社所有の野間道場、解体へ
おかげさまで、「東京の階段」3刷となりました。
お買い求め頂きました皆様、有難うございます。
それで、1・2刷を購入頂いた方には申し訳ないのですが、3刷では、いくつか訂正をしております。
東京の階段・訂正など以前にも、間違っていた箇所や変化のあった場所をこのブログ上でご連絡してきましたが、3刷では間違っていた箇所を中心に訂正を致しました。
特に、六本木・不動坂としていたページ(p.28)は、文章自体を差し替えております。
先週末あたりから、店頭に並び始めているようです。
引き続き、よろしくお願い致します。
松本泰生(asabata)
#階段・坂
NTT茅場兜電話局(旧東京中央電話局茅場分局)
所在地:中央区日本橋富沢町1
建設年:1925(大正14)
構造・階数:RC・3F
解体年:2000(平成12)頃?
Photo 1996.10.6
2000年の住宅地図には載っていたが、下記のサイトの記事などによると2000年頃に解体され建て替えられたようだ。
アールデコ系の外観と言ったらよいのだろうか。柱や方立に垂直の刻みが入っていて、縦方向のラインを強調している。ただ、屋上階の腰壁がぐるりと回されているので、全体はそのフレームの中に収まった感じになり、垂直線の装飾も個々の壁面内に収まり、全体としてはやや地味な感じで、かつやや重厚な印象だった。
ぼくの近代建築コレクション > 茅場兜電話局、創生社印刷所/富沢町
廃景録 > NTT茅場兜ビル
ニイミ書房
所在地:文京区本郷6-17
建設年:1938(昭和13)
構造・階数:木2
2000年閉店、2002.11解体。
Photo 1994.11.28
本郷通り沿いに建っていた本屋さん。独特のファサードデザインを持つ印象的な看板建築だった。山型の形で中央に縦に店名が書かれている結構大胆で珍しいデザイン。また、白黒写真なので判りづらいが、黒っぽく写った部分は部材が赤色に塗られていた。
本郷界隈にしばしば行くわけではないので、思い出深い建物というわけではないのだが、雑誌などでもときどき紹介された気になる建物だった。
本郷まちづくり協議会 > 歴史的建築物 > ニイミ書店
ぼくの近代建築コレクション > ニイミ書房/本郷6丁目