前回の階段(高田坂)は、元町百段公園の方に上る階段ではあるが、いわゆる「元町百段」ではない。元町百段は関東大震災で崩れてしまって現存せず、現在は往時の様子を記念した静かな見晴台小公園があるだけだ。
元町百段公園
所在地:横浜市中区山手町56-1
公園の入口には公園名の由来である元町百段についての解説板が設置されている。以下はパネル写真とそこに書かれている文章。
元町百段
この地は、横浜の開港時から大正期にかけて、浅間山の見晴台と呼ばれ、たいへん眺望のよいところでした。
右の写真は、当時前田橋から「元町の百段」を撮影した貴重なものです。元町二丁目から急な石段が百一段あったのですが、市民は「百段」と呼んで親しんだものです。
この場所には、元町の鎮守厳島神社の末社の「浅間神社」が祭られ、小さな茶屋があり、外人の観光客もよくここを訪れています。浅間神社は、もと横浜村にありましたが、万延元年(一八六〇年)に横浜の村人が元町へ立ち退いたとき、いっしょに移されました。
昔は、ここから港の出船入船や関内地区が手に取るように見え、遠く神奈川宿の旅篭や茶屋までが見渡せました。
この公園は、関東大震災で崩れて、今はない「百段」の歴史をここにとどめるように造られたものです。
横浜市 緑政局 中区役所
陶板にプリントされた写真には、丘を一直線に登る石段が道の正面に見え、その段々を上りきった右側には見晴台のようなものも見えている。細長く急な階段のようで、なかなか印象的な石段だ。確かにこれは地域のランドマークとして親しまれたに違いない。
公園からは現在も元町近辺の街並みがよく見える。ビルが建って中華街や関内はほとんど見えないが、遠くにはランドマークタワーなど、みなとみらい21の超高層建物群も見えている。
ところで、最初にも書いたように、この元町百段公園は高田坂の階段を上った先にある。段数は94段で、場所も昔の元町百段とは異なるが、私などはつい、これが100段ならちょうどよいのになと思う。
今回、段数を数えながら歩く際、80段を超えたあたりから、もしかしてこれ、実は密かにぴったり100段なんじゃないだろうかと、私なんかはちょっと期待したわけで、それが結局94段どまりだったというのは、なんだか残念だった。
昔の元町百段と混同されては困る、という意見もあるかもしれない。でも実際は既に、高田坂は百段坂とも呼ばれているようだし、百段公園があるのだから、現在の94段に6段をうまいこと付け足して、ちゃんと新しい元町百段にすればいいのになぁと思う。
横浜元町ヒストリー > 06 百段坂と前田橋
飴色金魚 * ameiro-kingyo > 横浜 元町百段公園
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