東向島のタイル張り住居
所在地:墨田区東向島1-22
構造・階数:木・2F
解体年:不明、大幅な改築のみの可能性もあり
Photo 1993.8.11
『昭和二十年東京地図』西井一夫・平嶋彰彦 著、筑摩書房 刊、によると「鳩の街」の建物だったとされる。鳩の街は戦後にできた私娼街で、小さな飲み屋の業態で営業していた。近辺には今も当時の建物が数軒残るが、現在は静かな住宅地。
最近はあまり見かけなくなったが、2cm角程度の小さなタイルを柱に貼り付け、玄関脇の丸柱や角柱を飾り付けるなどし、裏通りにしては凝った建物になっている。また、コーナー部が丸かったり左右対称で出入口が複数ある、などの特色を持つ。
撮影時、東向島1丁目とだけ記憶していたのだが、その後この建物が、取り壊されたもしくは大幅に改築されて姿を変えたため、場所が分からなくなってしまった。上記の本にも詳細な場所の表記がなく、他の書籍にも示されていなかったため、後になってどこで撮ったのか気になる状態が長いあいだ続いた。
写真中央の建物が既にないことは諸々の情報で知っていたので、最近になって写真内の他の建物と道路形状から所在地を探してみた。Google Street Viewで探しても一致する場所がないことから、Street Viewには載っていない場所で、かつ小路がT字に交わる場所を見つけ、現場へ行ったところ、左右の建物と交差点内のマンホールの位置が一致。約25年前に撮った写真の場所がようやく分かったのだった(町・番地より細かな部分は表記しない。)。
ファサードの様子は全く異なるが、建物規模はさほど変わっていない。道路ぎわまで建っていた建物が若干後退したような感じなのは、看板建築状だった前面を取り払ったためかもしれない。だとすると完全な建て替えではなく大幅な改築だったのかもしれないが、当時の街並みは消失したと言って差し支えないだろう。
2022.12.20追記
戦後のいわゆる赤線だった時代の詳細な地図がないので、当時の屋号などは不明。また、赤線廃止後は商事会社、呑み屋、一般住宅などいくつかの状態に変化しており、当時の人が住み続けたわけでもないのかもしれない。
Tokyo Lost Architecture
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