東京第一陸軍造兵廠275号棟(北東側から)
所在地:北区十条台1-2
建設年:1919(大正8) 東京第一陸軍造兵廠275号棟として建設
構造 :煉瓦、屋根小屋は鉄骨造
階数 :1F
規模 :54×27m
備考 :現在は北区立中央図書館「赤レンガ図書館」の一部
Photo 2002.9.29
東南側から Photo 2002.9.29
一帯の陸軍施設は組織の改編などに伴い、以下のように名前を変えた。また戦後の一時期は米軍に接収され、返還後は陸上自衛隊の施設等になった。
1923(大正12)陸軍造兵廠火工廠十条兵器製造所
1936(昭和11)陸軍造兵廠東京工廠銃砲製造所
1940(昭和15)東京第一陸軍造兵廠第一製造所
1945(昭和20)終戦
1947(昭和22)米国陸軍に接収され、TOD(Tokyo Ordnance Depot:東京兵器補給廠)第四地区となる。
1958(昭和33)第四地区の一部が日本に返還される。
1959(昭和34)陸上自衛隊武器補給処十条支所となる。また、返還された施設の一部は民間会社に貸し出され、275号棟は東洋ゴムが運営していたタイヤ再生施設として利用された。
1989(平成元) 東洋ゴムのタイヤ再生施設が閉鎖される。
2008(平成20)北区の新中央図書館となる。
再生前の様子 Photo 2002.9.29
この写真を撮影した2002年当時は、何にも使われておらず廃墟状態だった。既に自衛隊の敷地ではなかったようだが、立入禁止で鉄条網や柵越しに眺めるしかなく、遠くからむりやり撮った写真しかない。撮影当時は解体の気配が濃厚だったので、見納めかもしれないと思いつつ、柵越しに一所懸命に撮ったものだ。
だがその後、北区の中央図書館として保存しながら使うという展開になったために、現在は建物の中にさえもあっさり入れるようになっている。
北区立中央図書館 Photo 2011.6.11
赤煉瓦倉庫の本体を残しつつ、上側に被せるように新しい建物を建てている。
東南側から Photo 2002.9.29
図書館になって多くの人が使うようになったのは喜ばしいことで、赤煉瓦建物の歴史を多くの人が知ることになったのも良いことなのだが、個人的には雑草の原の向こうに建っていた廃墟状態の時の景色も懐かしい。明日にも壊されてしまうかもしれないという様子には哀愁が漂う。こんなボロボロの状態だった建物が、再生されてきれいな文化施設になったということも記憶に留めておきたい。
北区立中央図書館 北西側から Photo 2017.1.23
図書館になる前は、近づくことができなかったし、西側からも見ることができなかったので、北西側から見ることができるようになったのは感慨深い。この方向からだと煉瓦倉庫全体を残しながら図書館にしたことがよくわかる。
北区立中央図書館・ホール Photo 2002.9.29
図書館内部では窓などを取り払っており、往時の壁を通り抜けて開架書庫へ向かうことができるようになっている。
北区立中央図書館・カフェテラス Photo 2002.9.29
煉瓦造の倉庫でそのままでは耐震性に問題があるため、内側にRC造の壁をもう一つ建てて建物を支持しており、現在は煉瓦壁には構造的な負荷が掛かっていないのだそうだ。
Photo 2002.9.29
上層に新建物が載っていない場所には、昔からの鉄骨の小屋組が残されている。
関連記事 > 『東京人』都市出版社刊、2008年5月号、p.52
都市徘徊blog > 北区立中央図書館
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