都市徘徊blog

徒然まちあるき日記

安積疎水土地改良区事務所 別館

2023-05-12 | 宮城県・福島県
安積疏水土地改良区事務所 別館
所在地:郡山市 開成2-22-2
構造・階数:木・2
建設年:1937(昭和12)
解体年:2011(平成23)
Photo 2000.9.8

 安積疏水は、年間雨量が少ない郡山周辺に猪苗代湖から水を引いたもので、農業、工業、飲用などに使われている。疏水じたいは明治の中頃にできて灌漑が始められたが、この事務所の建物は昭和12年に建てられたものだったそうだ。

 郡山で建築学会の大会があった際に訪れたのだが、夕方になってしまい外の門が閉じられていて、内部や近くでの見学は叶わず。この写真は敷地の外から望遠で撮った一枚。薄暗くなってからISO400のフィルムで望遠で撮ったため、若干手ブレしてしまっている。

 記念館的な建物だったので、壊されることなく残っていると思っていたのだが、不運にも2011.3.11の東日本大震災で損壊してしまったそうで、残念ながらその後、取り壊されたのだという。

安積疏水土地改良区
安積疏水 - Wikipedia
福島県の町並みと歴史建築 - 安積疎水事務所(郡山市)

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妻入りの洋館・M邸

2023-05-09 | 宮城県・福島県
妻入りの洋館・M邸
所在地:宮城県亘理郡 亘理町 五日町28
構造・階数:木・2
解体年:2015〜19(平成27〜31)
Photo 1991.9.14

 宮城県南部の亘理町にある五日町商店街にあった妻入りの洋館。いつ頃の建物か知らないままに終わったが、そこそこ古かったのではないかと思う。

 亘理町を訪れたのは、都市計画系研究室に在籍していたときに研究室が五日町商店街の街並み調査などを受託したため。写真に写っているのは大学院時代の研究室の同級生で、一緒に図面作成をした友人。ただ、この写真は調査時ではなく報告書作成の半年ほど後で、しかも私も同級生も亘理町を訪れたのはこの時が初めて。報告書には街並みの連続立面図が載っているが、私たちはその図面を実は町を訪れずに描いてしまった。

 90年代初めは、所属していた研究室への委託調査研究が多かった。ひとつ上の先輩達が現地調査を行って街並みの連続写真を撮影したが、その先輩達は別の調査でも忙しく、連続立面図などを作成する時間が無かった。そのため後輩の私たちが現地へ行ってないのに資料を元に連続立面図を作成した。

 そんなわけなので、機会があったら実際に訪れてみたいと考えていたところ、たまたまその年の建築学会の大会が仙台市で行われたので、学会参加のついでに見に行ったのだった。

 初めて訪れる商店街なのに、通り沿いの建物立面についてはデザインの詳細まで知っているので、既視感の強い妙な体験だった。写真には、図面作成担当者が「私がこの建物の立面図を描きました」という体で記念に写っている。

 1991年に撮影した時はM邸だったが、その後、空き家になったようだ。建物としては存続していたが2015年の住宅地図には住人の名がない。Google ストリートビューでは2019年6月時点で更地になっている。

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パレット玩具店

2023-05-06 | 宮城県・福島県
パレット玩具店
所在地:宮城県柴田町 西船迫2-2-2
構造・階数:S・1
設計 :石山修武+ダムダン空間工作室
建設年:1988(昭和63)
解体年:2021(令和3)
Photo 1991.9.14

 宮城県南部の柴田町、国道4号線バイパス沿いにあったおもちゃ店。早大の教授だった石山修武先生が設計したもの。学生時代に石山先生の講義も受けていたので、学会の帰りに研究室のメンバーと訪れた。

 入口の前にドーナツ型の庇があり、その中を貫いて鉄骨製の斜めな塔が建っているのが目を引く。
 塔やドーナツ型の庇は、おもちゃを売ることにはほぼ関係がなく、幹線道路沿いで目立つための広告塔的なもの。ただ、それを普通の広告塔にはしなかったところがミソで、通り掛かる人々にあれはなんだ?と思わせる仕掛け。子供だけでなく大人もなんだろう?と思ってしまい、おもちゃ店として記憶に残るものになっていた。

 塔を思いきり斜めにしたことで、見る向きによってかなり印象が変わるあたりもおもしろい。

 内部は一転して簡素で倉庫のようなつくりだが、天窓があって明るい。天井が高いので開放感があり、空中に吊り物を出すこともできるようになっていた。
 通路もゆったりして気持ちよい空間。ただ、大量のおもちゃが所狭しと並んでいてどれにしようか迷うという、おもちゃ店にありがちな迷宮的な感じではなかった。妙に見通しがよいので、少し歩き回ると全体像が把握できてしまう。それが良いことだったのかどうかは、ちょっと微妙な感じではあった。

 その後、ここを訪れたことはない。最近になってネットで調べたところ、2002時点ではカラオケ店になっていたという。Googleストリートビューでも、2019年6月時点でカラオケ店だったことが確認できるが、ドーナツ型の庇や斜めの塔はなくなっており、その外観はかなり替えられていた(もう一つの塔は残っていた)。この内部空間をどうやってカラオケボックス化していたのかも気になるところではあったが。。

 更にその後、2021年4月のストリートビュー画像では解体中で、2022年3月時点では更地になっていた。いわゆるポストモダン建築と称されるタイプの建物は短命なものが残念ながら多いが、この建物も築30年あまりで失われてしまったのだった。

PALETTE TOYSHOP
新建築1989年1月号
パレット玩具店-石山修武
パレット玩具店 宮城県柴田郡柴田町 | 文献情報 | J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター

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農林中央金庫 仙台支店

2023-05-03 | 宮城県・福島県
農林中央金庫 仙台支店
所在地:仙台市青葉区 中央3-4-7
構造・階数:RC・3
建設年:1938(昭和13)
解体年:2006(平成18)
Photo 1999.8.20

 大学の研究室に在籍していた頃、夏合宿で宮城県内へ行き、その帰途に撮ったもの。夜になって仙台市内をぶらぶら歩いていてたまたま見掛けて撮ったため、夜景の写真のみ。
 撮影後、仙台を訪れる機会がなく、その後の状況を知らずにいたが、今回改めて調べてみたら十数年前に既に解体されていた。

 コリント式の柱だったのだろうか? ファサードに並ぶ付柱の柱頭はやや簡略化されていて、さほど大きな建物でもなかった。ただ石張りの外観にはやはり重厚感があった。

 解体後の跡地にはメットライフ仙台ビルが2007年3月に竣工している。現在の建物はいまどきのきれいなガラス張りで軽快だが、周辺の他の建物とあまり違わない感じで、個性的とは言い難い。写真の建物も昔はこのようなものが多かったので、その意味では当時は普通だったのだろうが、現代的なビルが建ち並ぶ中では異彩を放っており、クラシックで目立ち、つい写真に撮っておきたくなるものだった。
 かつては地方都市にも様式的な銀行建築が多く建っていたが、残念ながらやはり次第に失われているようだ。

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