パリ、音楽家の夫婦。
人生の最終章をともに生きるときめた至高の愛の物語。
カンヌ国際映画祭パルムドール最高賞を受賞した他、数々の賞を受賞。
2013年アカデミー賞外国語映画賞も受賞した作品です。
パリの高級アパルトマンで悠々自適な老後を送る夫婦。
妻の発病で、その満ち足りた生活が暗転、入院治療。
妻の願いで自宅に戻り、夫は献身的に支えます。
寄り添うように共に生きる姿は理想的にも思えるのですが、
来るべき日の現実を突きつけられるようなシーンの数々、
あまりにもリアルで切なくなります。
確かな愛と尊敬、絆で結ばれた長い夫婦としての道のりを
歩いてきたからこそ分かり合えるその生き様。
いわゆる老老介護には限界があり、
助けを求めますが、意に沿うものではありません。
介護のプロと名乗ったところで、介護される側にならなければ、
本当のところは理解できないでしょう。
ストーリー、演出、映像、音楽、キャスト、
そのどれもが素晴らしく、これ以上の作品はできないのではと思います。
それだけに重い、重すぎて…
数々のシーンを思い出し、いたたまれなくなるのです。
もちろん、覚悟して映画館に行きました。
旅行の申し込みをして、ウキウキしながらその足で向かったのです。
帰りは銀座でショッピングをすることがお決まりでしたが、
それはできませんでした。
監督:ミヒャエル・ハネケ
出演:エマニュエル・リヴァ ジャン=ルイ・トランティニャン
2012年フランス・ドイツ・オーストリア 127分
この作品で、最高齢のアカデミー女優賞にノミネートされた
エマニュエル・リヴァは、1927年2月24日生まれ。
元々の素材が違いますから厳しいのですが、
このように年を重ねられた素敵だなと思う女性です。
避けては通れない、頭の片隅に留め置くことになるような問題です。
この映画には、娘も登場します。
同じ立場になる自分自身はどうするだろうか…
両親がどうしたいかですが、話し合っておかなければと思います。
その時点の環境などにもよりますが、
希望は聞いておかなければ後悔します。
銀座テアトルシネマ最後から2番目の作品の最終日でした。
この映画館も5月31日に幕を閉じます。
銀座テアトルシネマ
2013.4.12