明治から昭和にかけて、日本の鉄道をはじめとする
多くの事業を手掛けた実業家、初代根津嘉一郎氏の遺志により、
1941年に現在の地、根津家の私邸内に開館した根津美術館。
2009年に建築家の隈研吾氏設計の新本館が完成。
その際に庭園も歩きやすく整備され、
車椅子が通れる路も設けられています。
実業家として活躍する一方で、
若い頃から古美術を好み、
晩年は茶人としても知られていた
初代根津嘉一郎氏。
明治以降の美術品の海外流出を憂慮し
精力的に蒐集した美術品が、
現在の美術館の基礎となっているとか。
水は、庭に様々な風景を作り出してくれます。
小さな滝から池へと注ぐ流れは、古くから熊野信仰の
シンボルである和歌山県の那智瀧にちなみ、
「東瀧野」と名付けられました。
園内には中国、朝鮮、日本各地から伝わった
150余りの石像や灯篭、道標が佇んでおり、
季節ごとに異なる表情に出会えます。
そして、弘仁亭・無事庵の
満開のカキツバタの姿が見えてきました。
尾形光琳の「燕子花図屏風」に描かれた風景、
カキツバタの鮮烈な色と姿に魅了されます。
カキツバタの開花に合わせて、
国宝「燕子花図屏風」を拝見できる展覧会は、
見事な庭園を持つ美術館ならではの趣向でしょう。
「都会のオアシス」となる根津美術館の庭園、
秋の紅葉、雪景色も楽しみにしています。
東京都港区南青山6-5-1
2019.5.6