'07/08/01の朝刊記事から
強制に疑問の余地ない
従軍慰安婦問題における日本政府の態度について、オランダ政府による慰安婦調査(1994年)を担当したオランダ戦争資料研究所(アムステルダム)のレムコ・ラーベン調査員(45)に聞いた。
(聞き手・高田昌幸)
慰安婦の「強制性」について言えば、大半のオランダ女性は「強制された」と言える。
彼女らは収容所に入れられ、そこで慰安婦になった。
自発的な慰安婦も確認されたが、完全な自由な下での自主的選択ではなく、収容所を出ることなどが目的だった。
インドネシアでは戦後の戦犯裁判で、慰安婦調達にかかわった旧日本軍兵士が起訴され、彼ら自身が女性の強制連行を認めた。
裁判は戦勝国による報復的要素もあったが、自白は虐待や拷問で得られたものではない。
何点かの証拠書類、慰安婦調達にかかわった多くの人々の調書もある。
資料を正しく読めば、強制に疑問の余地はない。
女性を本国で集め従軍させ、性的奉仕をさせる行為はどの国にもあった。(下線筆者)
ただ、日本の場合、女性を現地で集めた際の強制性と規模の大きさ、それが官僚的に組織化されていた点で、特異な存在だった。
だから、世界中で批判されている。
報道で知る限り、安倍晋三首相は最初、「軍による強制はなかった」と言い、次に「証拠はなかった」と変わり、最後に「河野談話を継承する」となった。
歴史に対する開かれた態度がないから、こうなってしまう。
どんな国にも同じ問題はある。
オランダにも(植民地支配などの)過去があり、悪事は隠された。
いつでも被害者の立場は弱い。
彼らは圧力の下で生き、今も過去の清算を終えていない。
私個人は、謝罪や賠償を求め続ける行為を支持しないが、被害者たちは他に手段がないから、抗議を続けるのは当然なのだ。