’08/02/04の朝刊記事から
「証拠がない」募る日本不信
ネット通じ中国全土へ
【石家荘(中国河北省)3日佐々木学】中国製ギョーザ中毒事件の発生で製造元「天洋食品」のある中国北部の石家荘市では、住民の間で「証拠もないのに、なぜ中国を悪く言うのか」と日本への反発が広がっている。こうした思いはインターネットを通じ、中国全土に広がりつつある。
「工場は衛生管理がとても厳しかった」。天洋食品で5年前、アルバイト勤務の経験がある張春花さん(39)は、同社製品による中毒発生が信じられない表情で話した。勤務前にシャワーを浴び、作業服のほか帽子やゴーグルを付け、イチゴの洗浄を担当。1時間おきの手洗いも課せられた。
2日の天洋食品と地元検疫当局の記者会見は中国国内でも報道され、事件はようやく広く知られるようになった。地元では工場を擁護する一方、日本が故意に中国の悪いイメージを広めていると疑う住民が少なくない。
天洋食品の工場に近い団地内の青空市場で野菜を売る男性(36)も「中国側の原因とは限らない。証拠を示してほしい」と不快感を隠さない。
インターネット上では「真相がはっきりしてから議論を」と冷静な意見がある一方、「中国をおとしめる日本側の悪意」「原因は日本側にある」との憶測も流れ始めた。
食品の安全をめぐり、日本とは逆に、中国国内では日本への不信感が募っている。