’08/02/08の朝刊記事から
プーチン氏 原則を保持
【モスクワ7日藤盛一朗】ロシアが日本との平和条約交渉に前向きな姿勢を見せているのは、プーチン大統領が就任以来、領土問題解決に強い意欲を示してきたためだ。ロシアは、四島返還要求に全面的には応じないとの原則を崩さないが、日本の主張にも配慮し日ソ共同宣言に基づく歯舞、色丹両島の引き渡し問題と、国後、択捉両島の帰属問題を並行して話し合う並行協議に応じる可能性を示唆している。
プーチン大統領は昨年末の森喜朗元首相との会談で、日ロ経済関係の発展を高く評価。「経済交流の進展は(領土問題を)解決する基礎となる。問題は解決できると確信している」と語った。3月の大統領選では後継のメドベージェフ第一副首相の当選が確実視されており、同市はプーチン氏を新首相に起用する意向だ。
ロシュコフ外務次官は、並行協議について「交渉のカバンに入っている」と述べ、ロシア側が2002年春に拒否した交渉に立ち戻るのは可能との認識を示した。
同次官ら知日派は、歯舞、色丹を引き渡しても、国後、択捉のロシアへの帰属については譲らず、日本国民の訪問自由化、日ロ共同開発などを実施する「2+α(アルファ)」方式の解決を図りたい考えとみられる。
ただ、ロシア側は、福田政権の安定度を注視しており、領土問題の本格的な交渉相手になりうるか、慎重に見極めようとしている。