
’08/03/01の朝刊記事から
暴行米兵を釈放
被害者が告訴取り下げ 沖縄
沖縄の女子中学生暴行事件で、那覇地検は29日、女性暴行容疑で沖縄県警に逮捕され、取り調べを受けていた在沖縄米海兵隊のタイロン・ハドナット二等軍曹(38)を不起訴処分とし、釈放した。被害者の中学生が告訴を取り下げ、起訴の要件を欠いたことが理由という。
女性暴行罪は被害者の告訴がなければ起訴できない「親告罪」と刑法に規定されている。記者会見した那覇地検の山舗弥一郎検事正は「被害を受けた中学生が『もう、そっとしてほしい』と思っている。親告罪以外の罪を適用して起訴することも、被害者の感情を考えれば適当ではないと判断した」と述べた。
二等軍曹の身柄は29日夜、米軍側へ引き渡された。米海兵隊の広報担当者は「基地内であらためて身柄を拘束し、米軍としても調べている」と語った。在沖縄米総領事館も「日本側が第一次裁判権を放棄するのであれば、米軍当局が証拠を精査し、独自の捜査を継続することになる」と声明を出した。
二等軍曹は2月10日午後10時半ごろ、沖縄北谷町北前の公園前路上に止めた車の中で、中学3年の女子生徒に暴行したとして11日に逮捕された。調べに対し、体の接触などを認めたが、暴行に関しては「やっていない」と否認していた。
事件をめぐっては、沖縄県の仲井真弘多知事が日米地位協定見直しに言及しているほか、沖縄県内の全41市町村議会と県議会が抗議の決議をした。米軍側は沖縄や岩国基地(山口県)の軍人、軍属を無期限外出禁止にするなど反響が広がった。