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’08/03/04の朝刊記事から
裁判員制度 新潟弁護士会が反対決議
「導入延期を」全国に波及か
来年から始まる裁判員制度に対し、新潟県弁護士会(藤田善六会長)は3日までに「重大な欠陥が多く、実施の強行は暴挙」などとして、数年間延期した上、市民から意見を聞いて裁判員法の抜本的改正を図ることなどを求める決議をした。今後、国会や政府、最高裁などに提言する方針。
裁判員制度の開始に異議を唱える決議は全国の弁護士会で初めてとみられ、ほかの弁護士会などへの影響も予想される。
関係者によると、決議は2月29日に開かれた新潟県弁護士会の総会で可決された。
決議は制度の問題点として①世論調査で8割が「裁判員になりたくない」と答え、国民の理解、賛同がない②「人を裁きたくない」という思想・良心が十分保護されない③死刑判決に関与することや一生負わされる守秘義務は精神的負担が大きい④冤罪を生んだり重罰化傾向が助長されたりする虞がある―などの点を挙げている。
また、「最高裁などは通常3日程度が審理期間とPRしているが、粗雑な司法となり、適正な手続きを保障した憲法に反する」とし、被告に裁判員が加わった裁判を受けるか否かの選択権を与えるよう提案している。
事件報道に対する規制論議なども含めて「枚挙にいとまがない問題がある」と指摘。元裁判官や学者、弁護士、ジャーナリストらから相次いでいる反対論を踏まえた内容となっている。
裁判員制度
有権者から無作為に選ばれた裁判員6人と裁判官3人が原則審理し、殺人など重大事件の有罪・無罪を判断した上、有罪の場合は刑も決める制度。政府の司法制度改革審議会が導入を提言し、来年5月までに全国の地裁60カ所(支部含む)で実施される。今年夏から裁判員候補者名簿作りが始まり、11-12月に名簿登載通知などが候補者に届く。審理事件は年約3千件で、約4千人に1人が裁判員になると想定されている。最高裁によると、審理は7割が3日以内、2割が5日以内で終わるという。