
’08/05/10の朝刊記事から
鳥インフル 韓国全土に
初動遅れ 1ケ月で拡大
【ソウル9日共同】韓国で鳥インフルエンザの感染拡大が止まらず、9日までに全国26地域の農場など35カ所で鶏やアヒルへの感染が確認された。
4月に今年最初の感染が確認されてわずか1ケ月余りで済州島を除くほぼ全土に広がった状況で、韓国農林水産食品省によると、件数としては過去最悪。
李明博大統領は関係閣僚による対策会議を10日に開くことを決めた。

650万羽以上殺処分 沈静化見通せず
軍も動員し、これまでに650万羽以上を殺処分したが沈静化の見通しは立っていない。
政府などの初動対応の遅れが拡大に拍車をかけたとの見方が強く「官災」との批判が高まっている。
日本でも強毒性のウイルスが各地で検出されているが、環境省などは韓国の大流行との関連を調べるため比較分析を急いでいる。

韓国では発症を伴う人への感染は報告されていないが、6日には首都ソウルで初めて強毒性のH5N1型ウイルスの感染を確認。
風邪を鳥インフルエンザ感染と疑い相談するケースが相次ぐなど国民の間で不安が急速に広がり、動物園の鳥類コーナーが閉鎖される騒ぎになっている。
専門家は感染拡大の主な原因として①行政当局が「季節外れ」と油断し、殺処分の範囲を狭く設定するなど防疫対策が徹底されなかった②流通業者が移動制限を無視して感染した農場から家禽類を不法搬出していた――の2点を指摘。
食用アヒルや放し飼いの鶏を扱う仲買業者が小型トラックで農家や庶民向けの在来市場を行き来する流通形態も背景にある。

韓国では過去、12月から3月ごろにかけて鳥インフルエンザが流行。
しかしこの冬は発生がなく、4月3日に南西部全羅北道金堤市で最初のH5N1型の感染を確認。
その後、黄海側を中心に首都圏に北上、下旬には日本海側にも広がった。
一部メディアは、鳥インフルエンザが年中発生する「風土病となりつつある」などと報道。
ソウルでの発生確認後、大型スーパーなどでの鶏肉の販売量は5割以上落ち込み、販売を中断する業者も現れた。

陸続きの北朝鮮も警戒を強めており、4月下旬には韓国企業が操業する開城工業団地への家禽類や鶏卵の搬入を全面禁止した。
日本は昨年11月から韓国からの家禽類輸入を停止している。