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'07/03/28の朝刊記事から
西山事件訴訟 元記者の請求棄却
東京地裁 沖縄密約触れず
日米の沖縄返還協定をめぐる機密扱いの公電を外務省の女性事務官から入手し、国家公務員法違反の罪で1978年に有罪が確定した元毎日新聞記者西山太吉さん(75)=北九州市=が「協定には違法な密約があったのにもかかわらず、違法な起訴で名誉を傷つけられ、記者活動の停止に追い込まれた」などとして、国に謝罪と3300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、東京地裁(加藤謙一裁判長)であった。
加藤裁判長は、不法行為から20年で損害賠償の求償権が消滅する民法の「除斥期間」を適用し、請求を棄却した。
沖縄返還に際し、日本政府が米国側費用を肩代わりするとした密約の存在については判断しなかった。
原告側は控訴する方針。
「20年経過 権利消滅」
判決理由で、加藤裁判長は西山さんに対する起訴などから今回の訴訟の提訴まで20年以上が経過していることを指摘、「仮に不法行為が成立するとしても、損害賠償請求権は既に消滅した」と述べた。
沖縄返還密約
1971年6月に日米間で調印された沖縄返還協定で、米側負担と定められた軍用地の原状回復補償費400万ドルを日本側が肩代わりする密約があったのではないかと調印直後に毎日新聞政治部記者だった西山太吉さんが記事で指摘。
72年3月、西山さんが外務省の女性職員から入手した極秘電文を基に当時社会党の横路孝弘衆院議員が衆院予算委で密約の存在を追及した。
日本政府は現在も密約を否定しているが、2000-02年、密約を裏付ける米公文書が発見され、昨年、交渉を担当した吉野文六・外務省元局長も密約があったことを認めた。