’08/10/22の朝刊記事から
タイ最高裁 タクシン氏に禁固2年
首相在任中 国有地取得で汚職
【シンガポール21日斎藤正明】タイ最高裁は21日、首都バンコク中心部の国有地取得をめぐり、汚職防止法違反の罪に問われたタクシン元首相に対し、禁固2年の実刑判決を言い渡した。
複数の不正疑惑で訴追された同氏への判決は初めて。
元首相の影響下にあるソムチャイ政権にとって大きな打撃となった。
同じ罪に問われていたポッチャマン夫人は無罪となった。
公判で無罪を主張したタクシン夫妻は裁判の不当性を訴え、8月に英国に逃亡しており被告人欠席のまま判決は言い渡された。
タクシン氏は判決後、外国メディアの取材に対し、「判決は政治的な動機に基づくものだ」などと話した。
判決によると、タクシン氏は首相在任中の2003年、夫人がバンコクの一等地を市場価格の3分の1の7億7千2百万バーツ(約23億円)で国から購入した際、政治的地位を利用して便宜を図り、政府当局者の関与を禁じる汚職防止法に違反した。
夫人は公職に就いていなかったため無罪となった。
首相府を占拠し続ける反政府団体「民主市民連合」の抗議行動は、タクシン氏への反発に端を発しており、今回の判決で活動は勢いづくとみられる。
ソムチャイ首相はタクシン氏の義弟で、主要閣僚はタクシン直系とされる。
首相は、市民連合への対応の不手際で軍からも退陣圧力にさらされており、今後、一層厳しい局面に追い込まれそうだ。