今年のシングル売り上げチャート上位はAKBと嵐が独占したのだとか。嵐は元々ファンが多いのでしょうから曲がはまればこうなるのでしょうが、AKBの方は握手券目当てに一人で20枚もCDを買うファンがいるのだそうです。それも当然のごとく。
売る側も買う側もそれで楽しんでるのならいいのですが、元々アイドルおたくだった身からすると虚しさを感じるのも事実。ふと目が覚めた時にファンもアーティストも心の傷にならないといいのですが。
大人になると世の中のいろんなことが見えてきます。そして余計なことが気になるので、最近AKBを見ると「マイクいっぱいで音声さんが大変そう」とか「採寸のときより太っちゃって衣装が着れなくなった子もいるんじゃないかなあ」とか「練習のスタジオはどんな広いとこ使ってるんだろう」とかそんなことばっかり考えてしまいます。でも一番気になるのは「誰がどんだけ儲けてるんだろう」ということ。
大人になると世の中の大体のことがわかるようになるので、大概のことは許せます。私も昔はいろんなことにすぐカッカしたものですが、今では嫌われ松子に出てくる神父ばりに「すべて許します」と言えるようになりました。
具体的には、三田寛子がアイドル時代にバラエティでわざとらしく京都弁でしゃべってたのも、アグネスチャンの日本語が上達しないのも、アントニオ猪木があんななのも(?)、昔は大嫌いで許せなかったのですが今はなんとも思いません。(いえ、別に今も好きじゃないですけど…。)
AKBのファンがどういう年代なのか詳しくは知りませんが、高校生くらいだとCD20枚も買おうと思うとそれはそれは大変なことでしょう。それがブームに乗って熱に浮かされたように「AKBのファンならこれくらいやって当たり前」と思ってつぎ込んでる姿はキャバ嬢に入れあげて貢ぎまくってるオヤジを見るようで、なんか哀れだなあと思ったりします。
AKBの場合は彼女達が貢がせようとしてるわけじゃなくて、仕掛けてる人がバックにいるわけですが、後になってそっちの人達の方がメンバーより儲けてたとかいうのが見えてきたときにファンがどう思うか、ですね。
もし当のファンである若者が「秋元康が儲けてるのは知ってるがそれも含めてこのムーブメントを楽しんでる」というのなら、それはそれで尊敬してあげましょう。ただし「いくらアイドルに詳しくても、その道を突き詰めるほど段々もてなくなるよ」という言葉も添えてですが。
ということで、これが元アイドルおたくとして一番言いたいことかもしれません。「それでもいい」という人もいるかもしれませんが、高校生くらいじゃまだわからんでしょうなあ。なお、これについて「レコード業界の活性化」とか「経済効果はいくらいくら」とか言い出す人は嫌いです。お友達にはなれません。「あんたがもてなかったのは、アイドルおたくとは別の問題でしょう」という人はお友達になってあげてもいいです。すべて許します。