先日チリの軍事クーデターを調べようとWikipediaを見ていたら、「チリクーデターとピノチェト政権を題材にした作品」として「プリンプリン物語」があり驚きました。
「プリンプリン物語」が何か知らない人のために簡単に説明すると、1979年からNHKで放送されていた人形劇ですが、Wikipediaによると「主人公の少女プリンプリンが、まだ見ぬ故郷を探し求めて仲間たちと旅をする、ミュージカル仕立ての物語」ということになります。脚本は石山透さんが担当でしたが、全656回ということはかなり人気があったのでしょう。ちなみに主人公のプリンセス・プリンプリンの声を当時人気アイドルだった石川ひとみさんが担当したことでも話題となりました。
この物語は、プリンプリンが故郷を探して仲間達とあちこちの国を旅するわけですが、当時何気なく見ていた中にかなり風刺の効いた、あるいはパロディというかオマージュというか、そういうものがいろいろ散りばめられているのに最近気づきました。
このチリ軍事クーデターについては、Wikipediaによると「劇中に登場する独裁国家『アクタ共和国』の国名は軍事政権下のチリと『塵芥』をかけたものとされる。」とのことです。「塵芥」は「ちりあくた」と読むわけで、チリ→アクタというパロディなんですね。当時高校生でしたが「塵芥」なんていう言葉は知らず、今は50代ですが自分ではこんな言葉使ったことがないので、今聞かされてもわからない高度なネタです。
この「アクタ共和国」は、「プリンプリンたちがランカーから奪った超音速飛行艇コンコルトン号でタンガラトントンに向かう途中、領空侵犯したとして拿捕・連行された国。」とのこと。領空侵犯とか拿捕・連行とかいうと、子供向けの人形劇としてはかなり攻めてますね。ここはルチ将軍による独裁の国で、国王はクーデター軍の機関銃に倒されました。
実際のチリのクーデターでは、自由選挙で政権を獲得したアジェンデ大統領が僅かな兵と共に宮殿に篭城し、最後のラジオ演説を行った後銃撃戦の末に自決したそうです。プリンプリン物語の放送中は、まだ軍事クーデターにより大統領になったピノチェト政権の時代でしたから、なかなか大胆な話が展開されてたんですね。その辺の事をよく知っていればプリンプリン物語も10倍楽しめたのでしょうが。
なお、プリンプリン物語では不思議な国がいろいろ出てきて、悪魔の子孫が住むラセツの国とか、時の流れのない島とか、惑星直列の影響を受け地球を離れ四次元の世界へと飛ばされた国とかいろいろ出てきます。プリンプリン物語全体は「ラーマーヤナ」の世界を下敷きに展開されたとも言われますが、脚本の石山透さんは本当に凄い人だったと思う次第です。「タイムトラベラー」も「新八犬伝」も大好きでした。
ということで、調べれば調べるほど興味が湧いてくるので「プリンプリン物語」の再放送の再開を望むものであります。
ドラえもんの映画はまだ見てないのでどんな感じかわからないのですが、それを見た子供が「国や考えは違っても…」という風に思い至れるような作品だといいですね。文化や風習が違っても、そういう世界もあるんだと受け入れられることが大事だと思いますので。好きにならなくてもいいけど、むやみに攻撃はしたくないと。
載っていますね。
それにしても「ドラえもん」「プリンプリン物語」とチリの政治情勢が
関連していたとは驚きました。
これは単にネタとして使った訳ではなくて、子供たちへ
「国や考えは違っても、お互い人間どうし仲良くしようよ」
という想いを込めた意味もあったのでしょうね。
映画ドラえもんでは、何処かの異次元の世界の子供がのび太達と
偶然出会い、自分達の困った状況を打ち明けると
「僕達が力になってあげるよ!」と、お決まりの台詞で、
普段はだらしないのび太が、プチヒーローになるのが定番です。
宮崎駿監督も「風の谷のナウシカ」で、「自然と人間の共存」を
うたっています。(最近はプロテスト色がやや強いようですが)
表面的には「子供向け娯楽」であったとしても、薄っぺらなドラマ、
映画、小説などよりずっと深いメッセージがありますね。