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📚読書備忘録📚
(自己評価★★★★★)+泣ける物語
たまに山ブログ
         

T

2015-08-23 | 村上春樹(翻訳物)

 



ティム・オブライエン
訳 村上春樹
『世界のすべての七月』★★★

 

題名の如く七月になるのを待って再読(以前途中挫折)
結構な長丁場


『ニュークリア・エイジ』然りおもしろい。
特に暴走している会話に惹き込まれる。


『本当の戦争の話をしよう』読んでみたい。



P70



「きっとつらいことだろうね――なんていうか――だからもし、君の気持ちが確かじゃないのなら……」
「確かなものなんてどこかにあるんですか?」
相手は首を振った。「私にもわからんね」



「彼女は今、休暇を取っているんだと思う。脳味噌休暇村で」



今では薄暗い日々が戻ってきていた。絶望の日々というわけではない。不幸というのですらない。ただ、昔からのおなじみの、無気力の日々である。冷淡で物憂げな、どちらにも傾かない精神。何ひとつとして、彼女の心を動かすものはなかった。何ひとつとして彼女を傷つけるものもなかった。彼女は外界から封印されて隔てられてしまったような気がした。痛みからも、喜びからも、自分自身の感情からも。そこには高揚もなければ、惨めな落ち込みもない。ときどき自分が、何かの強力なドラッグを目いっぱい注入されてしまったような気がした。ヴァリウムとか、一発でころりと眠ってしまう新種の睡眠薬みたいなものを一つかみ。彼女はただ一度も笑うことなく、一日に、あるいはときには一週間過ごすことができた。セックスは悪くなかった。でもそれはただ「悪くない」という程度のものでしかない。人生はまず良好だったが、「まず良好」という以上のものではない。それでもなお、あたかもものごとのバランスをとるみたいに、彼女の日常生活はぜいたくなまでの静謐さを保っていた。

「あまりにも幸福で、どこかに吹き飛ばされてしまいそう」




























胸が締めつけられる感じで苦しくひたすら「無」になろうと歩く。
よく分からなくなってきた。
最終段階クリアしたばずなんだけど。。


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J

2015-07-25 | 村上春樹(翻訳物)

 



J.D.サリンジャー
訳 村上春樹
『フラニーとズーイ』★★


Franny

Zooey

長期戦だった
かならず眠くなった うとうと


http://www.shinchosha.co.jp/fz/fz_murakami.html


かたつぶりそろそろ登れ富士の山
               ―― 一茶



「しかし急いでとりかかった方がいいぜ。砂時計の砂は、君が向きを変えるごとにどんどんこぼれ落ちていく。嘘じゃない。このろくでもない現象界で、もし君がくしゃみをする時間でも見つけられたら、それはまさに幸運というものだ」

「以前の僕はそのことで気をもんだものだ。でも今ではそれほど気をもんだりはしない。少なくとも僕はまだヨリックの頭蓋骨に夢中になっている。少なくとも僕にはいつだって、ヨリックの頭蓋骨を持ちたいものだ。僕はヨリックくんみたいな麗しい頭蓋骨を渇望している。そして君だって僕と同じ気持ちのはずだ、フラニー・グラス。きっとそうだ。そうに決まっている。……ああ、まったく、なんでこんな話をしているんだろう?君は僕と寸分変わらないろくでもないフリークっぽい教育を受けている。もし君が今でもまだ、自分が死んだときにどんな頭蓋骨を持ちたいかわかってないとしたら、そしてそれを手に入れるためにどんなことをしなくてはならないかわかってないとしたら――つまり俳優である限り君は演技することを要求されているんだという事実すら、君がいまだにわかっていないのだとしたら、こんなことを話しまくって、いったい
何の意味があるっていうんだ?」




























この3日は何?どうなっちゃってるの?

「ワトソン …… その男と寝ることだ」
観察眼とリスク

また再起動で消滅 イラッ

どうすればよいわけ?


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J

2015-06-18 | 村上春樹(翻訳物)

 



J.D.サリンジャー
訳 村上春樹
『キャッチャー・イン・ザ・ライ』★★★★


以前は野崎さん訳で何度か読んでいたけど、どこか違和感を感じていた。
例えば「アクリー坊や」そんな表現など。
正直名作と言われていることが理解出来ていなかった。
おもしろみも特に感じられず。

それが今読むとクスッと笑える箇所が何度もあり、
あ やっとおもしろみを理解できるようになったんだなぁって。
この歳にして?(笑)
春樹の訳だと違和感も特に感じずするすると読み進めてしまった。

集中しちゃって電車で下車するのを危うく忘れるところだった。
読ませる新訳



http://www.hakusuisha.co.jp/topics/rye1.php




 

 


現実逃避?で秩父小旅行☆
その温泉でもぱらっと読んだ。



自然消滅かと思いきやキターーー!


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C

2015-06-09 | 村上春樹(翻訳物)



C・D・B・ブライアン
訳 村上春樹
『偉大なるデスリフ』★★★★


結構なが~くゆっくり読む2
春樹が好きなのが何とな~く分かるような気がする。
どうしてもギャツビーに重ねてしまう。

私はハワイの場面が好き。
とくにココ↓



「なあ、おい、お前が来てくれてすごく嬉しいよ」
「まったくの話、僕も嬉しいよ」と僕は言う。「この二年っていうのもずっと会いたかった」
「俺もさ、兄弟」
 そして僕らはホノルルの話をする。南国の楽園という風に頭の中で想像していたものと、その街の第一印象との落差について。「どうしてお前、『まったくの話』って言いつづけてるんだよ?」と兄は言う。
「兄貴だって『なあ、おい』って言いつづけてるよ」と僕は言った。
「そうだな、まったくの話」
「本当だよ、なあ、おい」




























こちら発行が古いからなのか(平成2年8月15日印刷、25日発行)
装丁画像がないのでリアル写メ☆










「人間ですから絶対はありえませんよ」

あぁ苦しい。。


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M

2014-05-31 | 村上春樹(翻訳物)

 



マーク・ストランド
訳 村上春樹
『犬の人生』★★★


「実を言うとね、僕は以前は犬だったんだよ」
「犬ですって」
「うん、コリーだったんだ」

このユーモアと言うか、ウィットにとんでいる内容にクスッとしてしまう。
さすが春樹が見出して翻訳しただけある。
たまに翻訳本を読むとおもしろい発見がある。
アメリカドラマをみたくなる時があるように。








バリから買い付けしたシルバーのピアスがよい感じ。
この夏はおもしろい本に出逢えるかな。








わたしはしばしば思うのだが、我々が自分たちのために選んだ世界の裏側には、もうひとつべつの、選ばれなかった、説明のつかない世界が存在し、それが我々を選ぶことになる。それは偶然の世界であり、出会いがしらの世界であり、そこでは願いが叶えられることになる。ただそれはきわめて希にしか我々の前に姿を現さないし、姿を現したときには、否応なしに我々をまるごと呑み込んでしまう。普通の場合それは我々をおびやかし、心を激しく震わせ、通常の選択によって成り立った世界の安全から、遥か遠く離れたところまで我々を引っぱり上げてしまう。


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T

2013-08-21 | 村上春樹(翻訳物)

 



ティム・オブライエン
訳 村上春樹
『ニュークリア・エイジ』★★★



結構な長編だったけど一気に読破!
清々しいほどに。
60年代のアメリカ
訳注が結構な量で笑えたけど、分かりやすく時代背景が理解出来た。


---


「でもね、いい?問題は人生が残念ながら短いってことなのよ。行くべき場所がいっぱいあり、心をときめかせるものがいっぱいあるのよ。私が求めているものは愛なのよ。崇拝」





僕は雲を見つめていた。
海辺の風景。僕らは並んでビーチに寝転んでいた。青ははっとするぐらい鮮やかだった。それは休息の午後だった。がらんと開けた成層圏、そしてゆっくりと韻を刻む水と光の波長。その他には何もなかった。





彼女は砂の上に寝転び、人型を作り、それから体をこわばらせて両腕を折り重ねた。
「さあ、私を埋めて」と彼女は言った。
「深く?」
「自分で判断しなさいよ」





「くだらないことだと思う。でも、約束してほしいの」と彼女は言った。「私にいくつかの約束をしてちょうだい」
「どんなこと?」
彼女は肩をすくめた。「可能だと思えることならなんでも。未来のこと。私たちはこのわけのわからないダンスを一緒に踊り続けている。あれこれとややこしいステップを踏みつづけている。でもね、一度でいいからこのワルツをストップさせたいのよ。ただの一度でいいから。私たちに未来があると言って。そう約束してほしいの」





「私、死んでる!」とサラが叫ぶ。そいつは本当にあったことだ。





記憶する人間が存在しなければ、記憶だった存在しない。だからそこには歴史はなく、また未来もない。それはゼロの集合である。





人は人生を生きれば生きるほど、人生を失ったいくのだ、幾何級数的に。





「ねぇ、サラ」と僕は言う。でも彼女は何も言わない。
彼女は死んでいるのだ。
僕の父と同じように、他のみんなと同じように、彼女は死んだし、死んでいるし、死につづけているのだ。何度も何度も。あたかもその繰り返しが可能性の新しい組み合わせをもたらすのではないかというような具合に。


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S

2013-07-27 | 村上春樹(翻訳物)

 



スコット・フィッツジェラルド
訳 村上春樹
『グレート・ギャツビー』★★★★★


よく「人の評価は棺桶の蓋を閉めてみないことにはわからない」と言われるが、

--------


僕は内側にいながら、同時に外側にいた。尽きることのない人生の多様性に魅了されつつ、同時にそれに辟易してもいた。



人は誰しも自分のことを、何かひとつくらいは美徳を備えた存在であると考えるものだ。そして僕の場合はこうだ― 世間には正直な人間はほとんど見当たらないが、僕はその数少ないうちの一人だ。



「不注意な運転をする人が安全なのは、もう一人の不注意なドライバーと出会うまでだって。それでどうやら私はもう一人の下手なドライバーに出くわしたみたいね。そう思わない?」



トムとデイジー、彼らは思慮を欠いた人々なのだ。いろんなものごとや、いろんな人々をひっかきまわし、台無しにしておいて、あとは知らん顔をして奥に引っ込んでしまう―




P316 (あえて抜粋省略)
ここでは西部と東部だけど、それを東北と都内に置き換えて 思うところがある。 


満ち満ちた読書時間だった。
もっとフィッツジェラルド(もちろん春樹訳)が読みたい!

映画みてみたい。ディカプリオ。


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S

2013-07-20 | 村上春樹(翻訳物)

 



スコット・フィッツジェラルド
訳 村上春樹
『バビロンに帰る』★★★


全英オープンを横目に読書 これ定番
ミケルソンとマキロイを前に松山くんの存在感!おもしろかった。
しかしプロでもこうなるとは。

とフィッツジェラルド
この短編もやはりお金持ちの転落と苦悩そこからの脱出
彼の私生活が垣間見れてその時代を感じられる。



彼が言うように、賑やかなパレードはもう窓の前を通り過ぎてしまっていたのだ。

まず最初にやったことは、酒を断つことだった。とはいってもアルコール類を一切口にしないというのではなくて、ビールだけは浴びるように飲んだ。「ビールはいくら飲んでもかまわない」と彼は言った。「まずいのはハード・ドリンクを飲むことなんだ」

「ある種の人種は生きるために酒を飲むことを必要としているんだよ」



やっぱり春樹の訳が らしく しっくりくる。


---以下抜粋

『バビロン再訪』
佐伯泰樹 訳

「で、キャンベルさんはどこへ行った?」とチャーリーが訊いた。
「スイスへ行かれましたよ。ご存じなかったんですか、ウェイルズさん。キャンベルさんはご病気が重いんですよ」
「そりゃあ気の毒に。それならジョージ・ハートは?」
「アメリカに戻って、お仕事に就かれました」
「”スノーバード”のやつは?」
「先週ここにみえました。お友だちのシェイファーさんならパリにおいでです」
一年半前はなじみの顔が目白押しだったのに、いまはやっと二人か。チャーリーは手帳に住所を走り書きすると、そのページを破り、
「シェイファーさんを見かけたらこいつを渡してくれないか」と頼んだ。「義兄の住所だ。まだどこのホテルにするか決めてないんでね」
パリが空っぽだとわかっても、そうがっかりはしなかったが、リッツ・ホテルのバーが静まりかえっているのは違和感があって、不吉な印象を受けた。もうここはアメリカ人のためのバーとはいえなかった――ついかしこまってしまって、わが家同然にくつろぐというわけにはいかない。フランス人に返還されたというわけか。タクシーをおりてドアボーイを眼にした刹那に、バーの静寂は予想がついた。この時刻ならいつもは狂ったように動き回っていたのに、いまは従業員通用口あたりで運転手と噂ばなしに興じている始末だったのだ。


春樹 訳
 

「それでミスタ・キャンベルは何処にいるんだろう?」チャーリーは訊いてみた。
「スイスに行ってしまわれました。ミスタ・キャンベルは具合がおよろしくないんですよ、ミスタ・ウェールズ」
「それはいけないね。じゃあジョージ・ハートは?」チャーリーは尋ねた。
「アメリカに戻られました。お仕事に就かれているようで」
「じゃあスノーバードはどこにいるんだい?」
「先週ここにおみえになりましたよ。ところであの方のお友達のミスタ・シェーファーなら今パリにいらっしゃいますよ」
一年半前の長い友人リストの一角を占めていた二つの聞きなれた名前だった。チャーリーはあるアドレスを手帳にさらさらと書きつけ、そのページをちぎった。
「もしミスタ・シェーファーを見かけたら、これを渡してくれ」と彼は言った。「これは僕の義理の兄の住所なんだ。まだホテルをきちんと決めてないんでね」
パリの街が閑散としているのを見ても、彼はそれほどがっかりはしなかった。しかしリッツ・ホテルのバーの静けさは奇妙だったし、どことなく不吉だった。それはもうアメリカ人のバーではなかった。そこにいるとなんだか改まった気分になった。ここは俺の店だぞという雰囲気はもうそこににはなかった。それは既にフランスの手にもどってしまっていたのだ。 タクシーを下りてドアマンの姿を眼にした瞬間から、その静けさは感じられた。この時間ならいつも目が回るくらい忙しくしているはずのドアマンは、従業員用入口のそばで制服姿のボーイと雑談に興じていた。


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S

2013-07-07 | 村上春樹(翻訳物)

 



スコット・フィッツジェラルド
訳 村上春樹
『マイ・ロスト・シティー』★★★★


「今のあなたを変えてしまいたくはないのよ。今のままのあなたが素敵なの。あなたを駄目にしていくかもしれないあなたの中の何かが私は好きなの。古い思い出の中に生きつづけるあなた、けだるい日々の中のあなた、それに無頓着さや鷹揚なところがね」



「ええ、どうしてもあなたと結婚することはできないんだもの。私の心の中にはあなたのためだけの場所があるし、他の誰もあなたのかわりをつとめることいなんてできない。でもね、この街に縛りつけられることに私は我慢できないの。私はきっと自分が無駄にすり減っていくような気がしちゃうと思うの。私の中には二人の私が棲んでいるの。一人はあなたの好きなものぐさでけだるい私。だけどそれとは別に私の中には一種のエネルギーのようなものがあって、それが私を冒険へと駆りたてるの。そしてそちらのほうの私が役立てるような場所がこの世界のどこかにあるかもしれない。そういう気がするの。もし私が年を取って綺麗じゃなくなったとしても、エネルギッシュな方の私はずっとそのままじゃないだろうかってね」



「よくわかっています。私はあるポイントを越えてしまうと、あとは誰かに何もかも任せてしまいたいというタイプの人間なんです。そしてこれから先、きっとそういう風に生きていくだろうなって気がするんです」


『氷の宮殿』より。
スゴク分かるこの気持ち。

『グレート・ギャツビー』他
春樹が押すのがこの短編から理解出来た。


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M

2013-07-07 | 村上春樹(翻訳物)

 



村上春樹
『ザ・スコットフィッツジェラルド・ブック』★★★★


感慨深い。



このようにして我々は絶え間なく過去へと引き戻されながらも、
寄せくる波に向かって、その舟を力のかぎりに漕ぎ進むのである。

― SO WE BEAT ON BOATS AGAINST THE CURRENT, BORNE BACK CEASELESSLY INTO THE PAST ―



世間は我々の想像力を越えた行為や出来事で充ち充ちているのだ。



一生のうちで真の愛に巡り会うなんて極めて稀なことなのだというのが彼にも分かってきたのだ。



「あなたは身を固めることのできない人なのよ」
そのひと言がアンソンの背中にぐさりと突き刺さった。よりによってそんな咎めを受けるなんて、彼にはとても信じられなかった。



僕は思うのだけど、誰かに愛されていないことには彼は幸せにはなれないのだ。


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