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『大江健三郎全小説8』完読

2024-10-26 | 大江健三郎

 



大江健三郎全小説8

 

2019年4月10日 第一刷発行
株式会社講談社

 

--------(抜粋)

 

「古代から現代にいたる神話と歴史を、ひとつの夢の環にとじこめるように描く。場所は大きい森のなかの村だが、そこは国家でもあり、それを超えて小宇宙でもある。創造者であり破壊者である巨人が、あらゆる局面に立ちあっている。語り手がそれを妹に書く手紙の、語りの情熱のみをリアリティーの保障とする。僕はそういう方法的な意図からはじめたが、しかしもっと懐かしい小説になったと思う(著者・『同時代ゲーム』)

【収録作品】
M/Tと森のフシギの物語
同時代ゲーム

──森の神話

 

著書について

大江健三郎
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞、94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。
 

--------

 

・同時代ゲーム

再読してみて、さすがにこれだけ大江さんを読み込んできたこともあり難なく読めた。
理解出来たか出来ないかは別として、最初読んだ時の難解さは解消され、パターンも読めてきたところもある。

「壊す人」

「村=国家=少宇宙」

 

 

 

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大江健三郎『同時代ゲーム』???読書会課題本ある意味ホットな作家さんなのでチョイス大江健三郎と言えば、ノーベル文学賞作家です。大江健三郎-Wikipedia--------(抜粋...

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超ハードカバーをバッグに入れて通勤読書で読む。
本当は家で集中して読みたいんだけど・・時間に追われている。
本編は結構前に完読していても、巻末の解説に苦戦


クリストファー・ラムズホトム-イシャウッド
・境界線を越える作家:大江健三郎の『同時代ゲーム』とポストコロニカル日本

---

このような「第三空間」について書くマジック・リアリスト作家たちは、植民地支配者の文化の均一性に抵抗するために、第三空間に生ずる「リミナリティ」、「ハイブリディティ」という手法をたびたび使っている。文化的差異は、文化の豊富な多種多様性から生じる意味や価値観の「不統一性」に対面しているからこそ、文化の「調和した」全体性は消却せざるえない。

---

こんな文面が永遠・・・(^▽^;)
日本人より難しい日本語を知っていて、全く持って意味不
もっとやさしく解説して?

それでも読み進めてゆくと、登場人物達の名前の由来が紐解かれている。
『古事記』『日本書紀』との繋がり

マジカルな出来事ね。




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『大江健三郎全小説8』

2024-09-21 | 大江健三郎

 



大江健三郎全小説8

 

2019年4月10日 第一刷発行
株式会社講談社

 

--------(抜粋)

 

「古代から現代にいたる神話と歴史を、ひとつの夢の環にとじこめるように描く。場所は大きい森のなかの村だが、そこは国家でもあり、それを超えて小宇宙でもある。創造者であり破壊者である巨人が、あらゆる局面に立ちあっている。語り手がそれを妹に書く手紙の、語りの情熱のみをリアリティーの保障とする。僕はそういう方法的な意図からはじめたが、しかしもっと懐かしい小説になったと思う(著者・『同時代ゲーム』)

【収録作品】
M/Tと森のフシギの物語
同時代ゲーム

──森の神話

 

著書について

大江健三郎
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞、94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。
 

--------

 

・M/Tと森のフシギの物語

生まれ育った四国の谷間の村の神話と伝承
それを日々祖母から聞かされていた僕が大人になって綴った物語

M/TのMとは?Tとは?

---


M/T。このアルファベットふたつの組合せが、僕にとって特別な意味を持つようになって、もう永い時がたちました。ある人間の生涯を考えるとして、その誕生の時から始めるのじゃなく、そこよりはるか前までさかのぼり、またかれが死んだ日でしめくくのでなしに、さらに先へ延ばす仕方で、見取図を書くことは必要です。あるひとりの人間がこの世に生れ出ることは、単にかれひとりの生と死ということにとどまらないはずです。かれがふくみこまれている人びとの輪の、大きな翳のなかに生まれてきて、そして死んだあともなんらかの、続いてゆくものがあるはずだからです。

 

---

Mとは英語のmatriarchの頭文字
女家長といった意味を持ち、谷間の村の神話を象徴する「オシコメ」(大醜女)がその存在を代表する。

Tとは英語のtricksterの頭文字
〈手ぎわのいいやつ〉賢くすばしこい「童子」たちを指す。
谷間の村の史料に残る「亀井銘助」(メイスケサン)
何度も村の危機を救った特別な童子である。

---


祖母が昔話を始めようとしてこう言います。——昔のことなれば無かった事もあったにして聴かねばならぬ。そして僕が力をこめて―—うん!と誓言することで、知らぬうちになにか恐ろしい事態に巻きこまれていっているのではないか?そのように子供の僕が恐れた心の動きの、確かな筋みち。

 

---

 

第一章 「壊す人」

海から川をさかのぼって、森に囲まれた水甕のかたちをした盆地に到り、新しい村を創設したリーダーだった若者
本来の名を忘れられてしまい、伝説的な人物なのに「壊す人」
幾度も大規模な壊すことを行なったが所以
壊す人を巡っては村の創設から現在に至るまでの旧い歴史に刻まれている。
不死であり、巨大化したりと人を翻弄する人でもある。
聖なる「死人の道」創設にも関わっている。


第二章 オシコメ、「復古運動」

大女の「オシコメ」
「押し込められた人」と勘違いしていた僕は、大学生の時に見た絵巻にある一節から醜い女ということを考え、そこではじめて「オシコメ」とは「大醜女」だったのではないかと思い到った。
「オシコメ」と若い衆が指導した「復古運動」それははっきりとした目的を持ち、大恐音時代の期間を通して、住みかえという仕方で谷間と「在」の社会を造りかえた。それは森のなかの盆地の人びとの暮らしを、「壊す人」にひきいられて新天地を創造した時代のやり方に戻す、という運動であった。


第三章 「自由時代」の終わり

「オシコメ」を森のきわの穴に幽閉した後、若者たちと長老とで村を運営してゆくことになり、自由時代の到来という本当の平和で安穏の日々を指す。
しかし幕末が近づき一揆が起り、平和な「自由時代」は終焉を迎える。
そこに登場するのが「亀井銘助」(メイスケサン)である。
銘助が獄中で命を落とし、銘助母が励まし二重戸籍を村に提案、実行に移された。


第四章 五十日戦争

昭和に入り、太平洋戦争を控えた頃、森の中の小さな村の軍隊が氾濫を起こした出来事
それは二重戸籍のカラクリを正すためにやって来た、大日本帝国軍隊との紛争である。
「壊す人」が村の老人たちの夢に現れ指令を出す。
五十日戦争は村側の無条件降伏により終結となる。


第五章 「森のフシギ」の音楽

---


広大な森のなかの谷間と「在」について、その言いつたえをひとり記憶し・やがて書く―—考えてみれば、この書くという着想は僕ひとりのもので、祖母も長老たちも、ただ僕に話を聞かせ・記憶させようとしただけじゃなかったか、ともあらためて気がつくのですが――

---

息子のイーヨー(光さん)が後頭部に大きな瘤を持って生まれたことと、
地元の川で溺れて岩礁で頭を挟まれて傷を持つ「僕」
そして、頭に刀傷があった盆地の英雄「亀井銘助」(メイスケサン)

 


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『大江健三郎全小説9』完読

2024-07-07 | 大江健三郎





大江健三郎全小説9


2019年5月10日 第一刷発行
株式会社講談社

--------(抜粋)

 

危機にある男を励ます女―『「雨の木(レイン・ツリー)を聴く女たち』
大きな悲哀を負った女性の再生―『人生の親戚』
障害を持った兄との生活を通して家族・社会・時代、人間の未来を考える妹―『静かな生活』
美しい国際派女優をめぐる過去の事件と新たなもくろみ―『臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』
女性的なるものの力に宿る希望と再生を主題にした4つの傑作長編小説

【収録作品】
 「雨の木(レイン・ツリー)」を聴く女たち
 人生の親戚
 静かな生活
 臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ


──女性的なるものの力

 

著書について

大江健三郎
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞、94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。
 


--------

抜粋した最後の『臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』
こちらは改題され『美しいアナベル・リイ』となっている。

・美しいアナベル・リイ
(文庫化に伴い『﨟たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』より改題)

「新潮」新潮社 2007年6月1日

 

『人生の親戚』から約20年を経た2007年
大江小説に2人目の主人公「サクラさん」=「サクラ・オギ・マガーシャック」
高齢なアメリカ国籍を持つ俳優
主人公「私」=「長江古義人」

---


《私は十七歳の時、創元選書『ポオ詩集』でこの詩を発見し〈実在する、私にとってはまさにそのような少女に会うことがなかったとはいわない〉、占領軍のアメリカ文化センターの図書館で原詩を写した。日夏耿之介訳は次のようである。「わたの水阿のうらかげや/二なくめでしれいつくしぶ/アナベル・リイとわが身こそ/もとよりともにうなゐなれど/帝鄕羽衣の天人ども/ものうらやみのたねなりかし。」》


---

「アナベル・リイ」とはエドガー・アラン・ポーの詩の中の永遠の少女の名である。

 


子役の幼女を盗撮してチャイルド・ポルノにしていることが発覚、警察沙汰になり消滅した一本の映画企画があった。
その映画に携わった仲間と美しき国際女優が30年の時を経て再び、私の前に現れた。
老作家である「私」に、頓挫した映画の企画を再度復活させようとシナリオの依頼をしてきた仲間「木守」
国際女優「サクラ」を主人公にしてクライストの『ミヒャエル・コールハースの運命』を原案として、映画の企画が進む中、「私」の故郷である四国の山奥で起こった一揆の指導者メイスケ母とが重なり、それを知ったサクラは大いに乗り気になり、「私」の妹で四国の村に住む「アサ」とコンタクトを取り、伝承を取材しながら役作りを進めてゆく。
子役の幼女が「サクラ」であり、映画を成功させようとする彼女の再生の物語
ポオの美しい詩篇、枕草子、農民蜂起の伝承が破天荒なドラマを彩る。

---


ビデオ・カメラは、紅葉の色濃く照り映える林に囲まれた、女たちの群集に分け入る。サクラさんの嘆きと怒りの「口説き」は高まって、囃しに呼応する人々は波をなして揺れる。その声と動きの頂点で、沈黙と静止が来る。「小さなアリア」がしっかりそこを満たすなかに、サクラさんの叫び声が起り、音のないコダマとして、スクリーンに星輝く‥‥‥


---

ラスト

 


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『大江健三郎全小説9』

2024-06-17 | 大江健三郎

 



大江健三郎全小説9


2019年5月10日 第一刷発行
株式会社講談社

--------(抜粋)

 

危機にある男を励ます女―『「雨の木(レイン・ツリー)を聴く女たち』
大きな悲哀を負った女性の再生―『人生の親戚』
障害を持った兄との生活を通して家族・社会・時代、人間の未来を考える妹―『静かな生活』
美しい国際派女優をめぐる過去の事件と新たなもくろみ―『臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』
女性的なるものの力に宿る希望と再生を主題にした4つの傑作長編小説

【収録作品】
 「雨の木(レイン・ツリー)」を聴く女たち
 人生の親戚
 静かな生活
 臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ


──女性的なるものの力

 

著書について

大江健三郎
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞、94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。
 


--------

抜粋した最後の『臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』
こちらは改題され『美しいアナベル・リイ』となっている。



・静かな生活

ノンフィクションのようなイーヨー物語
大学三年生の「私」こと妹の「マーちゃん」
その弟の「オーちゃん」 架空の人物と言っているけどそうとは思えないエピソード

注意深く兄のイーヨーを支える妹のマーちゃんの語り。
家族の絆、兄弟姉妹の繋がり。

イーヨーあっての大江家って感じがする。


--------(抜粋)


困難な現実を乗り越え希望される「静かな生活」
家族と人生の、そして人間の真実を描く純文学連作小説。
障害を持った兄との関係を通して、家族と社会、現代という時代、人間の未来に切実に対峙していく女子大生のマーちゃん。現実の困難さの向こう側に希望される、穏やかで静かな生活
現代人の魂の行方を人間の優しさとともに描く純文学連作小説



精神に機器を感じて外国滞在を決意した作家の父に、妻が同行する。残された三人の兄弟妹の日常
脳に障害を持った長男のイーヨーは”ある性的事件”に巻き込まれるが、女子大生の妹の機転でピンチを脱出、心の平穏が甦る。家族の絆とはなんだろうかーーー。
<妹>の視点で綴られた「家としての日記」の顛末に、静謐なユーモアーが漂う。大江文学の深い祈り。


--------


静かな生活

この惑星の棄て子

案内人(ストーカー)

自動人間の悪夢

小説の悲しみ

家としての日記


全6話構成(標題と同タイトル有)



巻末に伊丹十三の一文が掲載
「静かな生活」映画化について

!?映画化されているのね。観てみたい。

大江文学を読むまで大江健三郎と伊丹十三が同級生で、
大江さんと伊丹十三の妹が結婚していたことは知らなかった。

---

すでにして村落共同体の土の匂い、大量死のモチーフ、ミソロジカルな時間、グロテスクな哄笑といった、大江文学の特徴が既にして見て取れるのがいかにも興味深い。

---

想像力というのは、何か夢のような幻想的なものを紡ぎ出す力ではなく、惰性化した思考や価値観に一撃を加え、われわれの世界観に罅割れを生じさせるような力であるわけですから、

---

 


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『大江健三郎全小説9』

2024-06-10 | 大江健三郎

 



大江健三郎全小説9


2019年5月10日 第一刷発行
株式会社講談社

--------(抜粋)

 

危機にある男を励ます女―『「雨の木(レイン・ツリー)を聴く女たち』
大きな悲哀を負った女性の再生―『人生の親戚』
障害を持った兄との生活を通して家族・社会・時代、人間の未来を考える妹―『静かな生活』
美しい国際派女優をめぐる過去の事件と新たなもくろみ―『臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』
女性的なるものの力に宿る希望と再生を主題にした4つの傑作長編小説

【収録作品】
 「雨の木(レイン・ツリー)」を聴く女たち
 人生の親戚
 静かな生活
 臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ


──女性的なるものの力

 

著書について

大江健三郎
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞、94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。
 


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抜粋した最後の『臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』
こちらは改題され『美しいアナベル・リイ』となっている。



・人生の親戚



--------(抜粋)


悲しみ、それは人生の親戚
人はいかにその悲しみから駆け出すか
悲哀を負った女性の生涯に魂の救いを探る!

 人生の途上で堪えがたい悲しみに直面したとき、人はその事実をいかに受けとめ、その後の人生をどう生き得るか。 肉体に障害を抱えた長男と精神に障害をもつ次男、二人の息子を同時に自殺によって失った女性が、その悲惨を真正面から引き受け、苦しみの果てにたどりついた生の地平は。


第一回 伊藤整文学賞 小説部門受賞作


--------

主人公である倉木まり恵、まり恵さんの人生について。
知恵遅れの長男と事故で車椅子になった次男、その二人の子供が同時に自殺してしまう・・
救いのない状況から生き残った女性はどのようにして生きてゆくのか。
生きるということはなんと複雑で困難にみちていることか。
最後をメキシコで聖女のように迎えた女性の物語



同じ繰りかえし繰り返し
私的に「つまらない」「退屈」とメンバにメールしていた。。


心に響くか響かないか。


メキシコが舞台だとやはり浮かぶのが『同時代ゲーム』

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大江健三郎『同時代ゲーム』???読書会課題本ある意味ホットな作家さんなのでチョイス大江健三郎と言えば、ノーベル文学賞作家です。大江健三郎-Wikipedia--------(抜粋...

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『大江健三郎全小説9』

2024-05-19 | 大江健三郎

 

大江健三郎全小説9


2019年5月10日 第一刷発行
株式会社講談社

--------(抜粋)

 

危機にある男を励ます女―『「雨の木(レイン・ツリー)を聴く女たち』
大きな悲哀を負った女性の再生―『人生の親戚』
障害を持った兄との生活を通して家族・社会・時代、人間の未来を考える妹―『静かな生活』
美しい国際派女優をめぐる過去の事件と新たなもくろみ―『臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』
女性的なるものの力に宿る希望と再生を主題にした4つの傑作長編小説

【収録作品】
 「雨の木(レイン・ツリー)」を聴く女たち
 人生の親戚
 静かな生活
 臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ


──女性的なるものの力

 

著書について

大江健三郎
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞、94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。
 


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抜粋した最後の『臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』
こちらは改題され『美しいアナベル・リイ』となっている。



・「雨の木(レイン・ツリー)」を聴く女たち

頭のいい「雨の木」

--------(抜粋)


「僕」はハワイで行われた文学シンポジウムに参加した(注:大江は実際に1977年にハワイ大学の東西文化研究所で開かれたセミナー「文学における東西文化の出会い」に参加している)
迎賓のパーティーが民間の精神療養施設で行われた。そこで「僕」はアガーテという女性から庭に立つ「雨の木」を教えてもらう。パーティーは施設の収容者によって開催されていたことが判明する。アガーテも施設の患者であった。


--------



「雨の木」を聴く女たち

--------(抜粋)


大学時代の旧友の英文学者くずれで虚言癖がある高安カッチャンが、ハワイ滞在中の「僕」を訪ねてくる。重度のアルコール依存で独特のパーソナリティの高安に「僕」は散々に振り回される。帰国後に「僕」は高安の妻の中国系アメリカ人のペネロープ・シャオ=リン・リー(ペニー)から手紙を受け取る。一通目の手紙で、アルコール依存の高安の再生のために、高安の構想をもとにした小説の合作を依頼される。二通目の手紙で高安がアルコール依存の果てに事故死したことを伝えられる。


--------



「雨の木」の首吊り男

--------(抜粋)


「僕」が数年前メキシコの大学で教鞭をとっていたときにアシスタントをしてくれた日本文学研究者のカルロス・ネルヴォが末期癌であると知らされる。知らせに悄然としながらも「僕」はメキシコ時代を回想する(注:大江は1976年、メキシコの国立大学コレヒオ・デ・メヒコで客員講師をつとめている)
カルロスの奇態な人物像、エキゾチックな異国の街での出来事が語られる。帰国の際の送別会の挨拶でカルロスは、自分が病気で痛みに苦しむことになった時は自殺をするのでその手伝いをして欲しいと述べていた。


--------



さかさまに立つ「雨の木」

--------(抜粋)


「僕」は日系人の主宰する反核集会に参加するために再びハワイに出向くが、集会は中止となる。ペニーが「僕」を訪ねてきて高安について話し、成り行きで性交する。帰国後ペニーから手紙が届く。同封された写真には精神病院の火災で焼失した「雨の木」の前に立つペニーとアガーテが写っていた。手紙でペニーは核の大火による先進各国の破滅は避けがたいと述べる。そして彼女とアガーテは大火後の「原水爆荷物カルト運動」に身を投じるためメラネシアに出向くという。


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泳ぐ男――水の中の「雨の木」

--------(抜粋)


「僕」が東京で通っているプールの常連の学生玉利くんはプールのサウナで、やはり常連のOL猪之口さんから性的な挑発を受けている。ある日猪之口さんが強姦されて殺害される。「僕」と同窓の高校の英語教師が犯人で、彼は犯行後すぐに自殺しているが、玉利くんが事件に関与している可能性を「僕」は想像する。


--------



読書会タイムオーバー!








言葉を持たない私・・


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『大江健三郎全小説4』+

2024-05-11 | 大江健三郎

 

 

大江健三郎
『なぜ詩ではなく小説を書くか、というプロローグと四つの詩のごときもの』







『大江健三郎全小説4』収録

初出
『われらの狂気を生き延びる道を教えよ』(1969年4月)巻頭に「第一部」として掲載

 

---


詩には、読みおえるということがない。いったん人間が詩に遭遇すると、その出会いはつねに進行中である。



ぼくの内部における燃えるトゲには二週類があると分類しなければならない。その第一は、ブレイクや、とくに深瀬基寛博士のみちびきによるオーデンの詩である。


---







*二つの中編をむすぶ作家のノート

初出
『みずから我が涙をぬぐいたまう日まで』および『月の男(ムーン・マン)』
巻頭に掲載(1972年10月)

この上記二編のヒーローたちをむすぶ 結ぶ

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考えてみれば、この二夏のあいだ僕は、これらふたりのヒーローと、作者自身との三人で、車座をくみ、あのいつまでもやって来ないゴトーを待ちながら、語りあう者らのように、純粋天皇について繰りかえしまきかえし噂話をしながら、待ちつづけていたような気がする、いつまでもあわられぬ純粋天皇を‥‥‥


---

正気であるか狂気であるか

その当時の大江さんの小説はどれほどの影響力を持っていたのか?知的刺激

沖縄「集団自決」裁判







「戦争とは負けるための戦いである」

 


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『大江健三郎全小説4』完読

2024-04-28 | 大江健三郎

 



『大江健三郎全小説4』

 

2018年12月10日 第一刷発行
株式会社講談社

最後の一編『水死』です。
集大成と言える長編になります。
なんと74歳で生み出されたとは驚き!

フィクションでありながら、現実味がある。
今回の主人公は「娘」目線 そこの意外性もおもしろく。
 
 
--------抜粋
 
 
「今度の中篇集で、癌か狂気してか死の床にある男が、子供のころ父親と加わった、天皇の名のもとの反乱を再現しようとする。また、月への打ち上げを恐怖して、宇宙船基地を逃げた男が、現人神(アラヒトガミ)に救われることを夢みる・・・・・これらの、自由をおしつぶされる悲鳴と救済をもとめる叫び声を、時にはユーモラスにあげている男たちが、僕にとっての「同時代」なのです(著者・『みずから我が涙をぬぐいたまう日』)
 

【収録作品】
走れ、走りつづけよ / 生け贄男は必要か / 狩猟で暮らしたわれらの先祖 / 核時代の森の隠遁者 / 父よ、あなたはどこへ行くのか?/ われらの狂気を生き延びる道を教えよ / みずから我が涙をぬぐいたまう日/月の男(ムーン・マン)/ 水死

──父と天皇制

 
著書について

大江健三郎
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞、94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。
 
 
 
--------
 
 
 
・水死


--------(抜粋)

ノーベル賞作家、生涯の主題
「父、水死」に立ち向かう。

まさに小説としての面白さを平易な文章で達成した、新しい代表作

終戦の夏、父はなぜ洪水の川に船出したのか?
母が残した「赤革のトランク」には、父親関係の資料が詰まっているはず。
それらを手がかりに、父のことを小説に書こうとする作家・長江古義人
過去を持つ若い劇団女優との共同作業を通じて、
自らの精神の源流としての「深くて暗いニッポン人感覚」を突きつけられる長江
そして、やがて避けようもなく訪れる、壮絶で胸を打つクライマックス!

初めて読む人にも、もう一度読んでみたい人にも、新しいOeがここにある。


--------

 

第一部  「水死小説」
   序章   冗談
   第一章  「穴居人(ザ・ケイヴ・マン)」来たる
   第二章  演劇版『みずから我が涙をぬぐいたまう日』のリハーサル
   第三章  「赤革のトランク」
   第四章  冗談はつらぬかれた
   第五章  大眩暈


 第二部  女たちが優位に立つ
   第六章  「死んだ犬を投げる」芝居
   第七章  余波(アフタマス)は続く
   第八章  大黄(ギシギシ)
   第九章  「晩年の仕事(レイト・ワーク)」
   第十章  記憶あるいは夢の訂正
   第十一章 父は『金枝篇』に何を読み取ろうとしていたか?

 第三部  こんな切れっぱしでわたしはわたしの崩壊を支えてきた
   第十二章 コギーの伝記と憑坐(よりまし)
   第十三章 「マクベス問題」
   第十四章 あらゆる手続きが演劇化される
   第十五章 殉死

--------

 

 

 

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夏目漱石『こころ』大江健三郎の最後の作品にこの『こころ』が引用されていた。実は本箱に未読本として持っていたので、これを機に読んでみた。--------(抜粋)あなたはそ...

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この『水死』に演劇の一場面として出てくる、夏目漱石の『こころ』
内容を知りたいため途中離脱して読んでみて正解
読書会では先生に対して突っ込みどころ満載で、時代の流れを感じる一作

 


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『大江健三郎全小説4』

2024-04-24 | 大江健三郎

 



2018年12月10日 第一刷発行
株式会社講談社

この全集の中でも難解そうな「父と天皇制」
五十歳で亡くなった父について描こうとしていた大江さん。
尾崎さんの解説「復元された父の肖像」にあるように「父」を主題としている。

今まで以上に難解で、正直うんざり気味にもなった一冊
なので再読はしたくない(苦笑)


--------(抜粋) 
 

「今度の中篇集で、癌か狂気してか死の床にある男が、子供のころ父親と加わった、天皇の名のもとの反乱を再現しようとする。また、月への打ち上げを恐怖して、宇宙船基地を逃げた男が、現人神(アラヒトガミ)に救われることを夢みる・・・・・これらの、自由をおしつぶされる悲鳴と救済をもとめる叫び声を、時にはユーモラスにあげている男たちが、僕にとっての「同時代」なのです(著者・『みずから我が涙をぬぐいたまう日』)
 

【収録作品】
走れ、走りつづけよ / 生け贄男は必要か / 狩猟で暮らしたわれらの先祖 / 核時代の森の隠遁者 / 父よ、あなたはどこへ行くのか?/ われらの狂気を生き延びる道を教えよ / みずから我が涙をぬぐいたまう日/月の男(ムーン・マン)/ 水死

──父と天皇制

 
著書について

大江健三郎
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞、94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。
 
 
--------
 
 
 
・走れ、走りつづけよ

 
--------(抜粋)
 
外部からおそいかかる時代の狂気、あるいは、自分の内部から暗い過去との血のつながりにおいて、自分ひとりの存在に根ざしてあらわれてくる狂気にとらわれながら、核時代を生き延びる人間の絶望感とそこからの解放の道を、豊かな詩的感覚と想像力で構築する。「万延元年のフットボール」から「洪水はわが魂に及び」への橋わたしをする、ひとつながりの充実した作品群である。
 
--------
 
「狂気」とは?
主人公の「僕」と従兄には30代から発狂したという祖父がいた。

米国のグラマー女優ベネロープ・マンダリンの交通事故死

血は争えないのか・・
 
 

・生け贄男は必要か


巨漢の男善太郎 「善」と呼ばれる男

魯迅の『狂人日記』

*岩波版『魯迅選集』

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「自伝っぽぃ」
 
---
 
 
 
・狩猟で暮らしたわれらの先祖か
 
 
「山の人」 流浪する一家 「当たり屋」
 
---
 
「しかし新たに人肉ですね」
「指・・・流浪一家」
 
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・核時代の森の隠遁者


---冒頭

きみは「自由」をもてめて森を抜けだし、地方都市から大都市へとなおも「自由」をさがしもとめて跳びだしてゆき、そしてついにはアフリカへまで出かけたのだが、「自由」は見つかったかね?ぼくはアフリカどころか森の奥の谷間にじっと住みついているばかりだが、しかもなお、ぼくもまたなにをさがしもとめて生きてきたかといえば、それは「自由」なのだ。

---

合言葉は「自由」!!

 

・父よ、あなたはどこへ行くのか?


難解も難解で、どうにも理解しがたい。

***蹶起
 
---

お父さん!お父さん!あなたはどこへ行くのですか?
ああ、そんなに早く歩いて!僕らは迷子になってしまいました、この不信と恐怖の土地で。
僕ら、すなわち僕と息子とは、それぞれの躰いちめんについている枯草や乾いた泥をはらいおとし、湧き水で涙と汗に汚れた顔を洗い、それから電車の駅にむかって歩きはじめた。
 
---

ブレイクの詩句 父の伝記を書こうとする試み。



・われらの狂気を生き延びる道を教えよ


何だか仰々しい題名
つい構えてしまったけど、イーヨー登場でほっこり

大江さんとイーヨーのルーティン
排骨湯麺とペプシ・コーラ
 
---
 
―—イーヨー、排骨湯麺とペプシ・コーラおいしかった!
 
---
 


・みずから我が涙をぬぐいたまう日


--------(抜粋)
 
天皇に殉じて割腹、自死を遂げた作家の死に衝撃を受けた、同じ主題を共有するもう一人の作家が魂の奥底までを支配する<天皇制>枷をうち破って想像力駆使して放つ”狂気を孕む同時代史”の表題作

―全く異なる二つの文体により、
現代人の危機を深刻、ユーモラスに描く中篇小説


--------

「遺言代執行人」


大江さんはこの作品について「『みずから我が涙をぬぐいたまう日』は、その前に書いた『われらの狂気を生き延びる道を教えよ』という小説をつないで、自分のなかで父親的なものがどういうかたちをとっているかを考えようとした。父親的なものというのは、僕には神秘主義的にいえば天皇制そのものにつながっています。」

そう天皇制について考えさせられる作品



・月の男(ムーン・マン)


最初に雑誌に掲載された時は『死滅する鯨の代理人』
「鯨」

--------(抜粋)


宇宙船基地よりの逃亡男が日本の現人神による救済を夢見る「月の男」

―全く異なる二つの文体により、
現代人の危機を深刻、ユーモラスに描く中篇小説


--------




今回はここまで。
残りは中編の『水死』です。

 
「年譜やっと1997年まで来ました。
 62歳 伊丹十三って自殺なんですね。」

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大江健三郎『不満足』

2024-02-14 | 大江健三郎

 

大江健三郎
『不満足』


前回の読書会で再読するかもしれないと言った『不満足』


--------(抜粋)

P149
---

―—鳥(バート)、おれは怖かったんだよ!

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菊比古が何に怖がっていたのか、怖かったのかが気になる・・
前後を読み直してもはっきり分からず。
再読するかもしれない。

--------

 

『大江健三郎全小説3』完読 - ◆BookBookBook◆

 

『大江健三郎全小説3』完読 - ◆BookBookBook◆

『大江健三郎全小説3』2018年7月10日第一刷発行株式会社講談社今回の読書会は、幸福な若いギリアク人からです。最近は三時間近く語っていることが多い。あっという間のこの...

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たくさんの物語があり再読する機会は稀だけど、今回再度直近で読んでみて、
気づかなかった点や引っかかりについて着目することにより、主人公達の動向を自然と意識
ただ納得するかと言えばあまりはっきりとはしていない(笑)
集中力はもとよりこの難解さをどう読み解くか。
確かに少しずつ慣れてきたとは言え、毎度苦笑させられるある意味おもしろい作品群です。

 

 

 

この全小説3には「大江健三郎年譜」が付いていて、少しずつ読み進めている。
作成はもちろん納得の尾崎真理子さんです。

現在1990年(平成2年) 大江健三郎55歳まで。

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1994年度のノーベル文学賞を大江健三郎に授賞すると発表
授賞理由は「詩的な想像力によって、現実と神話が密接に凝縮された想像世界を作り出し、
読者の心に揺さぶりをかけるように現代人の苦境を浮き彫りにしている」

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それと巻末
「政治少年死す」若き大江健三郎の「厳粛な綱渡り」ある文学的時代精神の“考古学”
日地谷=キルシュネライト・イルメラ
(この方はドイツ人日本文学研究者)

こちらもまだ未読
中々読書に集中出来ない日々。。










💚💚💚



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