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『大江健三郎全小説11』続

2025-01-06 | 大江健三郎

 



大江健三郎全小説11


2019年7月10日 第一刷発行
株式会社講談社

 

--------(抜粋)
 
 
「自分のなかに『祈り』と呼ぶほかないものが動くのを感じてきた。生涯ただ一度書きえる、それを語りかける手紙。その下書きのように、この小説を書いた。故郷の森に住んで、都会の「僕」の師匠(パトロン)でありつづける友。かれは事故のようにおそう生の悲惨を引き受けて、荒あらしい死を遂げる。かれは新生のため、また自分のもう一つの生のために、大きい懐かしさの場所をつくらねばならない(著者『懐かしい年への手紙』)


【収録作品】
河馬に噛まれる
懐かしい年への手紙
キルプの軍団

──理想郷の建設・学生運動


--------
 


・懐かしい年への手紙

第一部
第一章 静かな悲嘆(グリーフ)

僕 妹 ギ―兄さん オセッチャン(ギー兄さんの妻)

---


年をとる、そして突然ある逆行が起る。非常に荒々しい悲嘆というものが自分を待ちかまえているかも知れぬと、Kちゃんよ、きみは思うことがないか?


---

隠遁者ギー セイさん(オセッチャンの実の母親)

---

——「時ハ過ぎ行ク」だからね。困って逃げだしたい気分の時も、その場にじっと残っておれば、「時ハ過ぎ行ク」で、いつまでも困ったままじゃないよ!


---

W・B・イェーツ


第二章 カシオペア型のほくろ

バッハ『平均律クラヴィア』

僕はギ―兄さんに再会してイェーツの詩の記憶を揺さぶられる。

オユーサン


第三章 メキシコの「夢の時」

マルカム・ラウリー『活火山の下で(アンダー・ザ・ヴォルケイノ)』

---


現実にメキシコ・シティーで暮らしながら、一方では四国の森のなかの「夢の時(ドリーム・タイム)」、あるいは「永遠の夢の時(ジ・エターナル・ドリーム・タイム)」を経験しているようである。それが僕の奇態な両義性の内実であったのだ。


---


第四章 「美しい村」

柳田国男の文章から選び出した「美しい村」


第五章 死すべき者の娘とは見えず

アサ 「メイスケサン」

谷間と在の昔語り
僕は森のなかの土地の神話や歴史の伝承を勉強するよにと示唆された。


第六章 「懐かしい年」

ヒカリ

---


——ヒカリさんが、健常な生まれ方をしていたならば、かれらは兄弟ともに、見るから愉快な若者になっただろうね。
——僕は、そういうふうに考えたことはないよ、ギー兄さん、オユーサンともそういう話をした記憶がない。障害がなかったなら、というふうにはね。


---


第二部

第一章 父祖たちが家郷と呼んだ谷間から離れることはないものと/むなしくたてた子供の誓いを思っている‥‥‥

ギー兄さんの「千里眼」


第二章 キウリと牛鬼、イェーツ

「千里眼」の責任


『われらの狂気を生き延びる道を教えよ』

『大江健三郎全小説4』 - ◆BookBookBook◆

 

『大江健三郎全小説4』 - ◆BookBookBook◆

『大江健三郎全小説4』2018年12月10日第一刷発行株式会社講談社この全集の中でも難解そうな「父と天皇制」五十歳で亡くなった父について描こうとしていた大江さん。尾崎さん...

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第三章 〔naif〕という発音のあだ名

再び結ばれた僕とギー兄さんの師弟関係

学生時代のナイフ事件
結構根性あるじゃない?大江さんの意外性

ディケンズ『荒涼館(ブリーク・ハウス)』


第四章 原紙がわかっても問題は難かしい

受験に失敗

「壊す人」の森から生まれ森へと還る筋道が見えた。


第五章 性的人間

題名がダブる・・
まぁこちらは下ネタ系です。

 

『大江健三郎全小説3』完読 - ◆BookBookBook◆

 

『大江健三郎全小説3』完読 - ◆BookBookBook◆

『大江健三郎全小説3』2018年7月10日第一刷発行株式会社講談社今回の読書会は、幸福な若いギリアク人からです。最近は三時間近く語っていることが多い。あっという間のこの...

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第六章 性的入門の別の側面

二組の性関係
正直うんざり・・


第七章、第八章 感情教育(エデュカシオン・サンチマンタール)(一)(二)

---


処女作は、作家の行く末を示している


---

ギー兄さんの言葉
『死者の奢り』は批判され、『奇妙な仕事』は賞めてくれた。
何だかめずらしく本気モードの自分史
ある意味ナゾ部分が解消された感


第九章、第十章 根拠地(一)(二)

ギー兄さんと繁さん(新劇女優)・・今は女優じゃなく「俳優」 時代を感じる。
デモ隊「安保闘争」に加わったギー兄さんが騒動に巻き込まれる。

Kちゃんは暢気坊主


第十一章 事件

P434-436 『個人的な体験』抜粋


第三部

第一章 さていと聖なる浪より歸れば、
    我はあたかも若葉のいでて新たになれる若木のごとく、
    すべてあらたまり/淸くして、諸々の星にいたるにふさはしかりき

ギー兄さんが獄中にいた10年間
直接連絡を取らず疎遠になっていたが、それでもどこかで繋がっていた。

「事件」


第二章 自己(セルフ)の死と再生(リザレクション)の物語

メキシコ帰りに成城学園の家にギー兄さんが現われた。

ダンテ『神曲』


第三章 臭いたてる黒い水

黒い水 人殺し

黒い水と言えば、新天地への移住に際しての大岩塊の爆破での黒い水


第四章 「懐かしい年への手紙」

最終章・・
ギー兄さんへの爆破に対する語り。
プロフェソールFB

ギー兄さんの死

家族の団らんする姿を夢想する平和な時間

---


ギー兄さんは草原に横たわっている。いくらか離れて、オセッチャンと妹は草を採んでいる。そしていつのまにか僕もまた、ギー兄さんの脇に寝そべっているし、ヒカリとオユーサンも草採みに加わった様子だ。陽はうららかに揚の新芽の淡い緑を輝やかせ、大檜の濃い緑も夜来の雨に新しく洗われて、対岸の山桜の白い花房が揺れている。時はゆっくりとたつ。

あらためてギー兄さんと僕とは草原に横たわって、オセッチャンと妹は青草を採んでおり、娘のようなオユーサンと、幼く無垢そのもので、障害がかえって素直な愛らしさを強めるほどだったヒカリが、青草を採む輪に加わる。陽はうららかに揚の新芽の淡い緑を輝やかせ、大檜の濃い緑はさらに色濃く、対岸の山桜の白い花房はたえまなく揺れている。



ギー兄さんよ、その懐かしい年のなかの、いつまでも循環する時に生きるわれわれへ向けて、僕は幾通も幾通も、手紙を書く。この手紙に始まり、それがあなたのいなくなった現世で、僕が生の終りまで書きつづけてゆくはずの、これからの仕事となろう。


---

威厳ある老人は端折る。
ラストは美しく描かれている。
失速せずにがんばりが伝わる結びである。

 


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『大江健三郎全小説11』

2024-12-16 | 大江健三郎

 

大江健三郎全小説11


2019年7月10日 第一刷発行
株式会社講談社

 

--------(抜粋)
 
 
「自分のなかに『祈り』と呼ぶほかないものが動くのを感じてきた。生涯ただ一度書きえる、それを語りかける手紙。その下書きのように、この小説を書いた。故郷の森に住んで、都会の「僕」の師匠(パトロン)でありつづける友。かれは事故のようにおそう生の悲惨を引き受けて、荒あらしい死を遂げる。かれは新生のため、また自分のもう一つの生のために、大きい懐かしさの場所をつくらねばならない(著者『懐かしい年への手紙』)


【収録作品】
河馬に噛まれる
懐かしい年への手紙
キルプの軍団

──理想郷の建設・学生運動


--------



・河馬に噛まれる
8話に分けて掲載(1983年11月~1987年10月)
第11回川端康成文学賞受賞作

河馬に噛まれる

「河馬」「河童」似てない?そう「河童(カッパ)に噛まれる」かと思っていた。
まさかのカバ!?・・ってことはアフリカ?そう連想する。

想像通り、ウガンダの国立公園で日本人の青年が河馬に噛まれたと言うニュースからスタート
もうどんな始まりでも驚かない(笑)
長年大江さんを読んでいると、納得してしまう。
そのニュースを掲載した新聞を偶然目にしたのが浅間で、そこから広がる
「浅間山荘事件」
「左派赤軍山岳ベースリンチ殺人」



「河馬の勇士」と愛らしいラベオ

ウガンダの国立公園で、日本人の青年が河馬に噛まれたニュース
その地方紙の記事を基に主人公がひとつの短編を書いた。
この短編をテレビ・ドラマをつくりたいという話が持ち上がる。

テレビ・ドラマや映画化する話
これも大江さんの十八番 結局その話は頓挫するパターン


---

名前もしおり、ほそみ、さびという三副対と対比できるような、三つ一組の美学用語のひとつなのであった。

---

つい出てくる名前の意味を考えてしまう。

このラベオとは、河馬にまとわりつく魚のこと。



「浅間山荘」のトリックスター

ウィリアム・ブレイクの引用

「浅間山荘」の出来事
その事件全体から革命運動というレベルを越えた時代の精神を理解する。



河馬の昇天

「鑑賞世界名詩選」シリーズ
深瀬基寛署『エリオット』
このエリオットが主人公の書架から失われていた。

アフリカから手紙が届く。

例の河馬に噛まれた青年の元に日本から若い女性が訪ねて来た。
『河馬に嚙まれる』と『エリオット』のなかにある詩のひとつに類似点があるとのこと。

「河馬の勇士」と石垣ほそみ
そこで起こる論争

『エリオット』で「河馬」のくだりを読む。
《河馬に羽生え湿地帯より/天翔りゆくをわれは見た、/天使はまはりをとりまいて/神の賛美の合唱に余念がない。》

・・もう訳が分からない。。



四万年前のタチアオイ ★★★★

中国を旅した際の回想
そこに同行した女優のY ・S(吉永小百合)!!
タカチャンに繋がるタチアオイ



死に先だつ苦痛について

---


障害のある息子が二十歳になった機会に、母親に再会させようと森のなかの谷間の村に連れて帰った。その際、息子は祖母の年齢を聞いて、——八十歳になりましたか!ああ、大変なものだなあ!八十歳になったのでは、もう死ぬのではないでしょうか?大変なことだなあ! と申しのべた次第を、ひとつの短編に書いた。


---

元気を出して、しっかり死んでください!

イーヨーのインパクトある一言

タケチャンの死

『個人的な体験』からの引用

『大江健三郎全小説5』完読 - ◆BookBookBook◆

 

『大江健三郎全小説5』完読 - ◆BookBookBook◆

『大江健三郎全小説5』株式会社講談社2018年10月10日第一刷発行残二作『個人的な体験』と『新しい人よ眼ざめよ』です。--------抜粋障害者の息子との共生を描く作品群。「ぼ...

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サンタクルスの「広島週間」

カルフォルニア大学のサンタクルス校

---


英語版『何とも知れない未来に』を底本に、それも原爆被災の経験を持つ女流作家たちの短編をめぐって話すことから始めるのが、Thiman Lecture Hall というところで行われる「広島週間」の、実質的第一日目の講演に向けて、さだめてきた方針だった。


---



生の連鎖に働く河馬

北軽井沢にある別荘での出来事
例の河馬に噛まれた青年(河馬の勇士)と石垣ほそみとその母

巳年じゃないけど蛇の描写に目がゆく🐍

---

かつは当の草地のベルトの特別の一縷が「蛇の国」と呼ばれて、子供らはそこに近づかなかったのである。ある春先、僕は同年輩の子供らと俘虜のように列を組まされ、「在」から出てきた高等科の屈強な連中に追い立てられてそこへ昇った。せわしなくふりかえると、谷間の全域に彎曲する姿をあらわす川がくっきりと見てとれた。それはいかにも「大いなる蛇」のかたちをしていたのである。足もとの浅い草叢では「蛇草」が丈をそろえて、谷間から吹きあげる風に、腎臓型の小さな花穂をシャラシャラ鳴らせていた‥‥‥


---

その描写からカルフォルニア、サンタクルス大学キャンパスへ繋がる。
「ガラガラ蛇草」🐍
夢想

---


——あの人は強い人間ですからね! 河馬とも戦いました!


---

自分の生への決意表明
 

 

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ギュンター・グラスとの往復書簡

2024-12-11 | 大江健三郎



大江健三郎全小説を通して巻末に収録されている解説等はあったが、
双方の往復書簡は初めてで、本人の本音が聞ける内容となっている。

『大江健三郎全小説10』収録
(『大江健三郎往復書簡 暴力に逆らって書く』朝日新聞社 2003年5月発行より)


・ギュンター・グラスとの往復書簡

ギュンター・グラス - Wikipedia

---冒頭


大江健三郎様
あなたも私同様あらゆる方面からアンケート攻めに遭っているのではないでしょうか、つまり、五十年前、まず最初にドイツにとって、次に日本にとって、第二次世界大戦が無条件降伏という形で終わりを告げたあの日々のことを、短い言葉で、あるいは比較的長い文章で思い起こしてほしい、というアンケートです。アクチュアルな問題に対して、このような形で機械的に反応することは、私の気持ちになじみませんので、あなたに手紙を書くわけです。なぜなら、あなたも私も同様、戦争時代の子どもであり若者のひとりであるからです。私たちはふたりとも、戦後を終わらせることはできないことを、ひしひしと感じずにはいられません。あなたも私も、ドイツ人と日本人によって引き起こされた犯罪が長い影を投げかけているのを、年とともにますます意識するようになりました。


---



おもしろいのは双方遅れた返事の言い訳をしているところ(笑)



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『大江健三郎全小説10』完読

2024-12-03 | 大江健三郎

 

大江健三郎全小説10


2019年6月10日 第一刷発行
株式会社講談社

 
 
--------(抜粋)
 
 
人類は荒廃した地球から百万人を新しい惑星に送り出したが、10年後その大船団が戻ってくるという(『治療塔』)
宇宙移民に失敗した朔ちゃんと残留者リッチャンに驚くべき知性を示す子供が生まれるが、地球の荒廃がさらに進んだため、謎の治癒力を持つとされる「治療塔」探索のため再び宇宙に旅立つ(『治療塔惑星』)
さらに著者初のファンタジー・ノベル『二百年の子供』を収録
時空を超えたSF的空想力!

【収録作品】
治療塔
治療塔惑星
二百年の子供

──時空を超えたSF的試み


--------

・二百年の子供

2003年 中央公論社新書
2003年1月~10月毎週土曜の読売新聞朝刊に掲載
(週休二日制の実施された時期)
作者にとって一度きりの新聞小説 ファンタジー・ノベル



---


なぜ、ファンタジーを書こうと決めたのか。連載前に大江は次のように同紙への寄稿で述べていた。
<ファンタジーについての、私の定義は、いまを生きているところから自由になって、いろんな「時間」と「場所」を行き来する物語です。それをやる人物、時には案内役もつとめるのは、子供たちです。/かれらの出かける世界は、「しっかり書いてある」のでなければなりません。どんなに不思議を想像にみちていても、ユーモア沢山でもけっこうですが、とくに案内役の子供はしっかりしていることが必要です。自分の足でまっすぐ立ち、自分の目と頭で、よく見て考える、生き生きした子供でなければなりません>

<私のファンタジーの舞台は、森のなかですし、登場する「三人組」の子供たちも、これまで書いてきた家族の子供たちとつながっています。それぞれの困難をなんとかしのいで、げんきに成長してゆく子供たちを見守ることが、私にはなによりの、人間についての学校でした。/私はこの作品で、そのように書きなれた子供たちが、「新しい人」になってゆくシーンを作り出そうとしています。/過去の「時間」の子供たちにリレーする。そのバトンタッチを書きたいと思うのです。>


---


兄の真木(まき)
妹のあかり
弟の朔(さく)

そして🐕ベーコン

タイムマシンに乗って~♬


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『大江健三郎全小説10』

2024-11-28 | 大江健三郎

 



大江健三郎全小説10


2019年6月10日 第一刷発行
株式会社講談社

 
 
--------(抜粋)
 
 
人類は荒廃した地球から百万人を新しい惑星に送り出したが、10年後その大船団が戻ってくるという(『治療塔』)
宇宙移民に失敗した朔ちゃんと残留者リッチャンに驚くべき知性を示す子供が生まれるが、地球の荒廃がさらに進んだため、謎の治癒力を持つとされる「治療塔」探索のため再び宇宙に旅立つ(『治療塔惑星』)
さらに著者初のファンタジー・ノベル『二百年の子供』を収録
時空を超えたSF的空想力!

【収録作品】
治療塔
治療塔惑星
二百年の子供

──時空を超えたSF的試み


--------



・治療塔

1989年7月~1990年7月 岩波書店「へるめす」連載
(元々は・再会、あるいはラスト・ピース)✌

近未来SF
でも私的には古臭さがどうしても否めない。
翻訳の傑作のSF(例えば『星を継ぐもの』など)と比べてしまう。
しかし不幸にも原子力発電所事故は現実に起こってしまった・・

大事だと思ってP130上部6行目付近に貼った付箋
今読みかえしてみてもよく分からない(^▽^;)。。

---


―「治療塔」で死人までよみがえらせられた上で、地球に帰還した人間が大出発時より一万人下廻ったことを、どう説明されますか?あなた方はいまにいたるまで正確な数字は公表できずにいるのじゃないですか?


---

違うな・・古い地球に帰りたい地球ノスタルジー🌎
(『ぼくの地球を守って』FB)

治療塔から見た「神」を語る。



・治療塔惑星

1991年1月 岩波書店「へるめす」連載

治療塔の続編
リツコが書く、宛先のない手紙である。
(長過ぎる永遠に続く手紙・・このパターン多し)

---


原爆ドームは人類の「治療塔」だったのじゃないか、


---

そこにこの物語の全ては繋がる。



イェーツの詩"The Tower""The Second Coming"

ウィリアム・バトラー・イェイツ - Wikipedia

 


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『大江健三郎全小説8』完読

2024-10-26 | 大江健三郎

 



大江健三郎全小説8

 

2019年4月10日 第一刷発行
株式会社講談社

 

--------(抜粋)

 

「古代から現代にいたる神話と歴史を、ひとつの夢の環にとじこめるように描く。場所は大きい森のなかの村だが、そこは国家でもあり、それを超えて小宇宙でもある。創造者であり破壊者である巨人が、あらゆる局面に立ちあっている。語り手がそれを妹に書く手紙の、語りの情熱のみをリアリティーの保障とする。僕はそういう方法的な意図からはじめたが、しかしもっと懐かしい小説になったと思う(著者・『同時代ゲーム』)

【収録作品】
M/Tと森のフシギの物語
同時代ゲーム

──森の神話

 

著書について

大江健三郎
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞、94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。
 

--------

 

・同時代ゲーム

再読してみて、さすがにこれだけ大江さんを読み込んできたこともあり難なく読めた。
理解出来たか出来ないかは別として、最初読んだ時の難解さは解消され、パターンも読めてきたところもある。

「壊す人」

「村=国家=少宇宙」

 

 

 

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大江健三郎『同時代ゲーム』???読書会課題本ある意味ホットな作家さんなのでチョイス大江健三郎と言えば、ノーベル文学賞作家です。大江健三郎-Wikipedia--------(抜粋...

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超ハードカバーをバッグに入れて通勤読書で読む。
本当は家で集中して読みたいんだけど・・時間に追われている。
本編は結構前に完読していても、巻末の解説に苦戦


クリストファー・ラムズホトム-イシャウッド
・境界線を越える作家:大江健三郎の『同時代ゲーム』とポストコロニカル日本

---

このような「第三空間」について書くマジック・リアリスト作家たちは、植民地支配者の文化の均一性に抵抗するために、第三空間に生ずる「リミナリティ」、「ハイブリディティ」という手法をたびたび使っている。文化的差異は、文化の豊富な多種多様性から生じる意味や価値観の「不統一性」に対面しているからこそ、文化の「調和した」全体性は消却せざるえない。

---

こんな文面が永遠・・・(^▽^;)
日本人より難しい日本語を知っていて、全く持って意味不
もっとやさしく解説して?

それでも読み進めてゆくと、登場人物達の名前の由来が紐解かれている。
『古事記』『日本書紀』との繋がり

マジカルな出来事ね。




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『大江健三郎全小説8』

2024-09-21 | 大江健三郎

 



大江健三郎全小説8

 

2019年4月10日 第一刷発行
株式会社講談社

 

--------(抜粋)

 

「古代から現代にいたる神話と歴史を、ひとつの夢の環にとじこめるように描く。場所は大きい森のなかの村だが、そこは国家でもあり、それを超えて小宇宙でもある。創造者であり破壊者である巨人が、あらゆる局面に立ちあっている。語り手がそれを妹に書く手紙の、語りの情熱のみをリアリティーの保障とする。僕はそういう方法的な意図からはじめたが、しかしもっと懐かしい小説になったと思う(著者・『同時代ゲーム』)

【収録作品】
M/Tと森のフシギの物語
同時代ゲーム

──森の神話

 

著書について

大江健三郎
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞、94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。
 

--------

 

・M/Tと森のフシギの物語

生まれ育った四国の谷間の村の神話と伝承
それを日々祖母から聞かされていた僕が大人になって綴った物語

M/TのMとは?Tとは?

---


M/T。このアルファベットふたつの組合せが、僕にとって特別な意味を持つようになって、もう永い時がたちました。ある人間の生涯を考えるとして、その誕生の時から始めるのじゃなく、そこよりはるか前までさかのぼり、またかれが死んだ日でしめくくのでなしに、さらに先へ延ばす仕方で、見取図を書くことは必要です。あるひとりの人間がこの世に生れ出ることは、単にかれひとりの生と死ということにとどまらないはずです。かれがふくみこまれている人びとの輪の、大きな翳のなかに生まれてきて、そして死んだあともなんらかの、続いてゆくものがあるはずだからです。

 

---

Mとは英語のmatriarchの頭文字
女家長といった意味を持ち、谷間の村の神話を象徴する「オシコメ」(大醜女)がその存在を代表する。

Tとは英語のtricksterの頭文字
〈手ぎわのいいやつ〉賢くすばしこい「童子」たちを指す。
谷間の村の史料に残る「亀井銘助」(メイスケサン)
何度も村の危機を救った特別な童子である。

---


祖母が昔話を始めようとしてこう言います。——昔のことなれば無かった事もあったにして聴かねばならぬ。そして僕が力をこめて―—うん!と誓言することで、知らぬうちになにか恐ろしい事態に巻きこまれていっているのではないか?そのように子供の僕が恐れた心の動きの、確かな筋みち。

 

---

 

第一章 「壊す人」

海から川をさかのぼって、森に囲まれた水甕のかたちをした盆地に到り、新しい村を創設したリーダーだった若者
本来の名を忘れられてしまい、伝説的な人物なのに「壊す人」
幾度も大規模な壊すことを行なったが所以
壊す人を巡っては村の創設から現在に至るまでの旧い歴史に刻まれている。
不死であり、巨大化したりと人を翻弄する人でもある。
聖なる「死人の道」創設にも関わっている。


第二章 オシコメ、「復古運動」

大女の「オシコメ」
「押し込められた人」と勘違いしていた僕は、大学生の時に見た絵巻にある一節から醜い女ということを考え、そこではじめて「オシコメ」とは「大醜女」だったのではないかと思い到った。
「オシコメ」と若い衆が指導した「復古運動」それははっきりとした目的を持ち、大恐音時代の期間を通して、住みかえという仕方で谷間と「在」の社会を造りかえた。それは森のなかの盆地の人びとの暮らしを、「壊す人」にひきいられて新天地を創造した時代のやり方に戻す、という運動であった。


第三章 「自由時代」の終わり

「オシコメ」を森のきわの穴に幽閉した後、若者たちと長老とで村を運営してゆくことになり、自由時代の到来という本当の平和で安穏の日々を指す。
しかし幕末が近づき一揆が起り、平和な「自由時代」は終焉を迎える。
そこに登場するのが「亀井銘助」(メイスケサン)である。
銘助が獄中で命を落とし、銘助母が励まし二重戸籍を村に提案、実行に移された。


第四章 五十日戦争

昭和に入り、太平洋戦争を控えた頃、森の中の小さな村の軍隊が氾濫を起こした出来事
それは二重戸籍のカラクリを正すためにやって来た、大日本帝国軍隊との紛争である。
「壊す人」が村の老人たちの夢に現れ指令を出す。
五十日戦争は村側の無条件降伏により終結となる。


第五章 「森のフシギ」の音楽

---


広大な森のなかの谷間と「在」について、その言いつたえをひとり記憶し・やがて書く―—考えてみれば、この書くという着想は僕ひとりのもので、祖母も長老たちも、ただ僕に話を聞かせ・記憶させようとしただけじゃなかったか、ともあらためて気がつくのですが――

---

息子のイーヨー(光さん)が後頭部に大きな瘤を持って生まれたことと、
地元の川で溺れて岩礁で頭を挟まれて傷を持つ「僕」
そして、頭に刀傷があった盆地の英雄「亀井銘助」(メイスケサン)

 


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『大江健三郎全小説9』完読

2024-07-07 | 大江健三郎





大江健三郎全小説9


2019年5月10日 第一刷発行
株式会社講談社

--------(抜粋)

 

危機にある男を励ます女―『「雨の木(レイン・ツリー)を聴く女たち』
大きな悲哀を負った女性の再生―『人生の親戚』
障害を持った兄との生活を通して家族・社会・時代、人間の未来を考える妹―『静かな生活』
美しい国際派女優をめぐる過去の事件と新たなもくろみ―『臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』
女性的なるものの力に宿る希望と再生を主題にした4つの傑作長編小説

【収録作品】
 「雨の木(レイン・ツリー)」を聴く女たち
 人生の親戚
 静かな生活
 臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ


──女性的なるものの力

 

著書について

大江健三郎
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞、94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。
 


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抜粋した最後の『臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』
こちらは改題され『美しいアナベル・リイ』となっている。

・美しいアナベル・リイ
(文庫化に伴い『﨟たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』より改題)

「新潮」新潮社 2007年6月1日

 

『人生の親戚』から約20年を経た2007年
大江小説に2人目の主人公「サクラさん」=「サクラ・オギ・マガーシャック」
高齢なアメリカ国籍を持つ俳優
主人公「私」=「長江古義人」

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《私は十七歳の時、創元選書『ポオ詩集』でこの詩を発見し〈実在する、私にとってはまさにそのような少女に会うことがなかったとはいわない〉、占領軍のアメリカ文化センターの図書館で原詩を写した。日夏耿之介訳は次のようである。「わたの水阿のうらかげや/二なくめでしれいつくしぶ/アナベル・リイとわが身こそ/もとよりともにうなゐなれど/帝鄕羽衣の天人ども/ものうらやみのたねなりかし。」》


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「アナベル・リイ」とはエドガー・アラン・ポーの詩の中の永遠の少女の名である。

 


子役の幼女を盗撮してチャイルド・ポルノにしていることが発覚、警察沙汰になり消滅した一本の映画企画があった。
その映画に携わった仲間と美しき国際女優が30年の時を経て再び、私の前に現れた。
老作家である「私」に、頓挫した映画の企画を再度復活させようとシナリオの依頼をしてきた仲間「木守」
国際女優「サクラ」を主人公にしてクライストの『ミヒャエル・コールハースの運命』を原案として、映画の企画が進む中、「私」の故郷である四国の山奥で起こった一揆の指導者メイスケ母とが重なり、それを知ったサクラは大いに乗り気になり、「私」の妹で四国の村に住む「アサ」とコンタクトを取り、伝承を取材しながら役作りを進めてゆく。
子役の幼女が「サクラ」であり、映画を成功させようとする彼女の再生の物語
ポオの美しい詩篇、枕草子、農民蜂起の伝承が破天荒なドラマを彩る。

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ビデオ・カメラは、紅葉の色濃く照り映える林に囲まれた、女たちの群集に分け入る。サクラさんの嘆きと怒りの「口説き」は高まって、囃しに呼応する人々は波をなして揺れる。その声と動きの頂点で、沈黙と静止が来る。「小さなアリア」がしっかりそこを満たすなかに、サクラさんの叫び声が起り、音のないコダマとして、スクリーンに星輝く‥‥‥


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ラスト

 


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『大江健三郎全小説9』

2024-06-17 | 大江健三郎

 



大江健三郎全小説9


2019年5月10日 第一刷発行
株式会社講談社

--------(抜粋)

 

危機にある男を励ます女―『「雨の木(レイン・ツリー)を聴く女たち』
大きな悲哀を負った女性の再生―『人生の親戚』
障害を持った兄との生活を通して家族・社会・時代、人間の未来を考える妹―『静かな生活』
美しい国際派女優をめぐる過去の事件と新たなもくろみ―『臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』
女性的なるものの力に宿る希望と再生を主題にした4つの傑作長編小説

【収録作品】
 「雨の木(レイン・ツリー)」を聴く女たち
 人生の親戚
 静かな生活
 臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ


──女性的なるものの力

 

著書について

大江健三郎
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞、94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。
 


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抜粋した最後の『臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』
こちらは改題され『美しいアナベル・リイ』となっている。



・静かな生活

ノンフィクションのようなイーヨー物語
大学三年生の「私」こと妹の「マーちゃん」
その弟の「オーちゃん」 架空の人物と言っているけどそうとは思えないエピソード

注意深く兄のイーヨーを支える妹のマーちゃんの語り。
家族の絆、兄弟姉妹の繋がり。

イーヨーあっての大江家って感じがする。


--------(抜粋)


困難な現実を乗り越え希望される「静かな生活」
家族と人生の、そして人間の真実を描く純文学連作小説。
障害を持った兄との関係を通して、家族と社会、現代という時代、人間の未来に切実に対峙していく女子大生のマーちゃん。現実の困難さの向こう側に希望される、穏やかで静かな生活
現代人の魂の行方を人間の優しさとともに描く純文学連作小説



精神に機器を感じて外国滞在を決意した作家の父に、妻が同行する。残された三人の兄弟妹の日常
脳に障害を持った長男のイーヨーは”ある性的事件”に巻き込まれるが、女子大生の妹の機転でピンチを脱出、心の平穏が甦る。家族の絆とはなんだろうかーーー。
<妹>の視点で綴られた「家としての日記」の顛末に、静謐なユーモアーが漂う。大江文学の深い祈り。


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静かな生活

この惑星の棄て子

案内人(ストーカー)

自動人間の悪夢

小説の悲しみ

家としての日記


全6話構成(標題と同タイトル有)



巻末に伊丹十三の一文が掲載
「静かな生活」映画化について

!?映画化されているのね。観てみたい。

大江文学を読むまで大江健三郎と伊丹十三が同級生で、
大江さんと伊丹十三の妹が結婚していたことは知らなかった。

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すでにして村落共同体の土の匂い、大量死のモチーフ、ミソロジカルな時間、グロテスクな哄笑といった、大江文学の特徴が既にして見て取れるのがいかにも興味深い。

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想像力というのは、何か夢のような幻想的なものを紡ぎ出す力ではなく、惰性化した思考や価値観に一撃を加え、われわれの世界観に罅割れを生じさせるような力であるわけですから、

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『大江健三郎全小説9』

2024-06-10 | 大江健三郎

 



大江健三郎全小説9


2019年5月10日 第一刷発行
株式会社講談社

--------(抜粋)

 

危機にある男を励ます女―『「雨の木(レイン・ツリー)を聴く女たち』
大きな悲哀を負った女性の再生―『人生の親戚』
障害を持った兄との生活を通して家族・社会・時代、人間の未来を考える妹―『静かな生活』
美しい国際派女優をめぐる過去の事件と新たなもくろみ―『臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』
女性的なるものの力に宿る希望と再生を主題にした4つの傑作長編小説

【収録作品】
 「雨の木(レイン・ツリー)」を聴く女たち
 人生の親戚
 静かな生活
 臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ


──女性的なるものの力

 

著書について

大江健三郎
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞、94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。
 


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抜粋した最後の『臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』
こちらは改題され『美しいアナベル・リイ』となっている。



・人生の親戚



--------(抜粋)


悲しみ、それは人生の親戚
人はいかにその悲しみから駆け出すか
悲哀を負った女性の生涯に魂の救いを探る!

 人生の途上で堪えがたい悲しみに直面したとき、人はその事実をいかに受けとめ、その後の人生をどう生き得るか。 肉体に障害を抱えた長男と精神に障害をもつ次男、二人の息子を同時に自殺によって失った女性が、その悲惨を真正面から引き受け、苦しみの果てにたどりついた生の地平は。


第一回 伊藤整文学賞 小説部門受賞作


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主人公である倉木まり恵、まり恵さんの人生について。
知恵遅れの長男と事故で車椅子になった次男、その二人の子供が同時に自殺してしまう・・
救いのない状況から生き残った女性はどのようにして生きてゆくのか。
生きるということはなんと複雑で困難にみちていることか。
最後をメキシコで聖女のように迎えた女性の物語



同じ繰りかえし繰り返し
私的に「つまらない」「退屈」とメンバにメールしていた。。


心に響くか響かないか。


メキシコが舞台だとやはり浮かぶのが『同時代ゲーム』

O - ◆BookBookBook◆

 

O - ◆BookBookBook◆

大江健三郎『同時代ゲーム』???読書会課題本ある意味ホットな作家さんなのでチョイス大江健三郎と言えば、ノーベル文学賞作家です。大江健三郎-Wikipedia--------(抜粋...

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