森山康平
『はじめてのノモンハン事件』
先日読んだ特攻隊の話
そしてお騒がせなロシア・ウクライナ問題
半藤一利さんが亡くなり思い出した『ノモンハンの夏』
“日ソ戦争”を「ノモンハン事件」と片付けられ葬られたこと。
その諸々な流れで手に取ったのがこの本
知るきっかけとなったのは村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』
(わたしが24歳の時に衝撃を受けた本です)
まず関東軍の傍若無人ぶりにあっけに取られたのは言うまでもありません。
(満州国側)
世代的に戦争を知らない。
おじいちゃんもおばあちゃんも生きていて、戦争の話題は出たことがなかった。
なぜにノモンハン事件が気になるのか・・
--------(抜粋)
太平洋戦争が勃発する直前の1939年に起きた、満州国とモンゴルの国境紛争であるノモンハン事件――。
戦闘の規模から言えば、事実上の“日ソ戦争”にもかかわらず、1万9千人もの戦死傷者を出した大苦戦の内実は国民に知らされることなく、あくまで“事件”として内密に処理され、闇に葬られた。
なぜ日ソは満蒙の地で激突したのか? なぜ関東軍と参謀本部は決裂したのか? なぜ現場指揮官に苛酷な責任追及がされたのか?
本書は、「最初の『日ソ大衝突』となった張鼓峰事件」「『国境線は自ら決めよ』――満州国とモンゴルの紛争」「モンゴル領内での死闘――ハルハ河を左岸へ渡河」「『劇的に勝つ』――ソ連軍、八月大攻勢への入念な準備」「玉砕か撤退か――ノモンハン戦の運命が決まる」「停戦とその後――世界は第二次大戦に突入した」など、今なお戦史のベールに包まれた“草原の死闘”の真相に迫る。
この戦争を知らずして、昭和史は語れない。
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この時代の日本人は一体何を考えていたのだろうか・・
征服に次ぐ征服
色々な方向から色々な書籍を読まないと一辺倒になる恐れもあるけど、
強きも強気で恐ろしい。そう思わずにはいられない。
今のどちらかと言うの静か~で存在感がない日本、
静観している日本は戦争に負けたことによって何かを学んだのだろう。
もし・・の話はしたくないけど、戦争に負けていなかったらどんな思想を持っていたか。
今の自分はもっと違う考えを持っていたのでは?
東条英機 出てくる出てくる。
日本軍の強圧的な中国への浸食の進行
巻頭あたりに大きな地図とノモンハン近辺の地図がほしいところ。
(色々なPの地図を何度もにらめっこよ・・(^▽^;))
関東軍内でも割れる「慎重派」と「積極派」
「徹底膺懲を主張」この膺懲とは、うち懲らすこと、征伐して懲らすこと、鉄槌をくだす等
「無意味な消耗」
「火炎瓶で戦車をやっつけろ」 捨て身感半端なし・・
戦車は第一次世界大戦(1914-18)で初めて登場
日本の歩兵部隊が戦車と戦ったのはこのときが最初だった。
新聞が報道する景気のよい話 (嘘だらけ・・)
関東軍の強硬路線 参謀本部としては、当面の主要な戦争である日中戦争に専念したかった。
「三角山」が吹き飛ぶ
大隊長が自ら銃を撃ち、手榴弾を投げる末期的状況
部下たちは、もはや玉砕を望んでいた。
自決の強要
当時の日本軍は、どうしてこう死ぬことばかり教育してきたのか、今日ではなかなか分かりにくいが、とくかくそうであった。
自決 自決 自決
戦争は命を的にして戦うのだが、戦争が終わってからも、自分の命を捧げなければならないというのが当時の日本軍だった。なんと命を軽んじ、無駄にする考え方が根深かったのであろうか。
捕虜となり生還した者 「将校は全員自殺したんではないでしょうか」
帰還者には事実上箝口令がしかれ、ノモンハン事件そのものを語ることが禁じられた。
ノモンハン事件は事実上、日本軍の大敗で終焉したのだった。
---------参考文献
・アルヴィン・クックス著「ノモンハン 草原の日ソ戦 1939」(上・下、1989年、朝日新聞社)
・スチュアート・ゴールドマン著「ノモンハン 1939 第二次世界大戦の知られざる始点」(2013年、みすず書房)
・アントニー・ビーヴァー著「第二次世界大戦 1939-45」(上・中・下、2015年、白水社)
・半藤一利著「ノモンハンの夏」(1998年、文芸春秋)
・秦郁彦著「明と暗のノモンハン戦史」(2014年、PHP研究所)
・防衛庁防衛研修所戦史室「戦史叢書 関東軍〈1〉 対ソ戦備・ノモンハン事件」(1969年、朝雲新聞社)
・ジューコフ著「ジューコフ元帥回想録 革命 大戦 平和」(1970年、朝日新聞社)
・ジェフリー・ロバーツ著「スターリンの将軍 ジューコフ」(2013年、白水社)
・大木毅著「独ソ戦 絶滅戦争の惨禍」(2019年、岩波新書)
・辻政信著「ノモンハン」(1967年、原書房)
・マクシム・コロミーエツ著「ノモンハン戦車戦 ロシアの発掘資料から検証するソ連軍対関東軍の封印された戦い」(2005年、大日本絵画)
・古是三春著「ノモンハンの真実 日ソ戦車戦の実相」(2009年、産経新聞出版)
・D・ネディアルコフ著「ノモンハン航空戦全史」(2010年、芙蓉書房出版)
・岡崎久弥ら著「近現代東北アジア地域史研究会 ノモンハン事件80周年記念シンポジウム 発表資料」(2019年)
・川畑博信著「ノモンハン戦記」(2008年)
・鎌倉英也著「ノモンハン 隠された『戦争』」(2001年、NHK出版)
・田中克彦著「ノモンハン戦争 モンゴルと満洲国」(2009年、岩波新書)
・シーシキン他著「ノモンハンの戦い」(2006年、岩波現代文庫)
・牛島康允著「ノモンハン全戦史」(1988年、自然と科学社)
・扇廣著「私評ノモンハン」(1986年、芙蓉書房出版)
・田中雄一著「ノモンハン 責任なき戦い」(2019年、講談社現代新書)
・井置正道著「ある軍人の生涯 ノモンハンの草原に自決した父 井置栄一を偲ぶ」(2006年)
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