ロバート・A・ハインライン
訳 矢野徹
『月は無慈悲な夜の女王』★★★
ハードSF
読書会の課題本でした。
ハインラインの代表作と言われるのは『夏への扉』です。
この『夏への扉』はSF好きなら押さえてるよねって感じらしい。
あまり得意じゃないSFも、最近は進んで手に取っているので本の厚さに意欲が湧く(笑)
図書館で10人待ちだったので、Amazonポチッ
大容量のP686!!レンガ本SFです🌕vs🌎
--------(抜粋)
2076年7月4日、圧政に苦しむ月世界植民地は、地球政府に対し独立を宣言した!流刑地として、また資源豊かな植民地として、月は地球から一方的に搾取されつづけてきた。革命の先頭に立ったのはコンピュータ技術者マニーと、自意識を持つ巨大コンピュータのマイク。だが、一隻の宇宙船も、一発のミサイルも持たぬ月世界人が、強大な地球に立ち向かうためには…
ヒューゴー賞受賞に輝くハインライン渾身の傑作SF巨篇
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第一章 本物の思索家
「わたし、ホテルを予約していたの‥‥‥ゴスタニーツァ・ウクライナ。どこにあるか知らないの。ここへ着いたのが遅かったので、まだ行ってなかったのよ」
「~小さなきっちりした結婚、地球虫スタイルね。」
「革命は以前にも成功しているわ。レーニンはほんの一握りの仲間とやったのよ」
「レーニンは権力の真空状態を突いたんだよ。ワイオ、もし間違っていたら訂正してくれ。革命が成功したのは‥‥‥政府が腐敗してしまったか消滅してしまったときだけだ」
「あなたは悲観論者だわ」
「いいや、現実主義者だ。悲観論者になどなったことは一度もないさ。少しでも可能性があると思う月世界人はほとんどいないね」
「~わたしはずっと前から男の人に失望するのはやめているの、男の人がそうじゃないからとか、思いどおりのものにならないからって」
「マニー、あなた、この計算機は生きているって言うの?」
「どういう意味だい?かれは汗をかかない、トイレにも行かない。だが、考え、話すことができ、自分を意識している。かれは生きているのかい?」
彼女はうなずいた。
「わたし、生きているってことがどういうことか、はっきり言えないわ。何か科学的な定義があるんでしょう?感受性があることとか、そういうこと。それに繁殖してゆくこと」
「マイクには感じる心があるし、いらいらさせられることもある。繁殖の点では、そういうふうには設計されていないが‥‥‥そう、時間と材料と非常に特殊な助けがあれば、マイクは自分を繫殖させることもできるよ」
「~わしはそいつの首に、地球の殺し屋世界でイスタンブール・ツイストと呼ばれている処置を施してやったよ。そいつは仲間の後を追ったわけだ」
「革命家にとって、報道手段は必要不可欠のものなのだ」
「新しい同志が増えるたびに、あなたがよりいっそう、裏切られやすくなるということなのですぞ。ワイオミングお嬢さん、革命は大衆を同志にすることで克ち取られはしないのだよ。革命は、ごく少数の人々は実行することのできる科学なのです。それは正しい組織を持ってるかどうか、とりわけ、意思の疎通いかんにかかっているのですよ。そして、歴史における適当な時期に、実行するのです。正しく組織されており、うまく時期が合っておれば、それは無血革命ということになるのですな。無器用に、あるいは時期尚早なときに行なわれると、その結果は、内乱、群集による暴力行為、追放、恐怖(テロ)です」
組織とは、必要以上に大きくあってはいけないのですよ‥‥‥
常に裏切り者は存在するものですからな。
三つの細胞
八方美人主義者
「マイクは公平な本物の思索家です‥‥‥いまにわかりますよ」
「革命とは金が必要なんだよ、お嬢さん。そしてそのひとつの方法は革命分子が警察のスパイになることだよ。そういう一見したところの裏切者の何人かが本当はわれわれの味方だということもあるうるからな」
「わたし、そんな連中、信用できないわ」
「さあ、そのとおり。それが二重スパイの困ったところなんだ。かれの忠誠心が‥‥‥あるとしての話だが‥‥‥果たしてどちら側に属しているのかはっきりさせることがね」
革命は遊戯(ゲーム)だ―—かれに仲間ち才能を示す機会をかれに与えてくれる遊び(ゲーム)だったのだ。
マイクは論理的思考を行なった。¨戦争¨とは何か?ある本は戦争を、政治的結果を達成するための力の使用であると定義している。そして¨力¨とはエネルギーをひとつの物から他の物へ移す行動である。
戦争においてこのことは¨兵器¨を使ってなされる―—月世界は何も持っていない。
月世界を見ろ。何が見える?
アダム・セレーネ(マイク)(セレーネはギリシャ語神話の女神 ローマ神話の月世界[ルナ]にあたる)
「月世界に自由を!」
おれは良心に眠ってしまえと言った。歴史を通じてあらゆる戦争を賄うためにあらゆる政府が行ってきたごまかしにくらべればつまらないことだ―—そして、革命とは戦争じゃあないのか?
かれが¨真実ならざる資料¨と呼ぶ小説からいろいろな思い付きを得たのだ。
エドガー・アラン・ポー
マイクは詩を書きはじめた。
ベイカー街少年探偵団に光栄あれ!
子供というものは謎めいたものやおもしろいことは何だって喜んでやるものだ。
かれらの遊戯のいかに多くのものが相手を出し抜くことに基いているかを考えるとわかる。
マイクが詩を書きはじめたとき、おれは笑っていいのか泣いていいのかわからなかった。
¨団子鼻・道化師(シモン・じぇすたー)¨
アルヴァレスは科学的な探偵ではなかった。
一本腕の男はそうあっさり変装できるものではない。
革命が安全なものだなどと言える者はないだろう。
同志クレイトンは若い日本人だということがわかった―—それほど若くはない。かれらはみな若く見え、突如として老人になるのだ。かれは純粋な日本人じゃあなかった―—マレーと他の民族だ―—だか日本人の名前を持っており、家庭の中は日本人の礼儀作法だった。
¨義理¨とか¨義務¨がそれを支配しており、かれがワイオに多くの義理を感じていることはおれの幸運だった。
「~新入りが一年生きれば、そいつは永久に生きられるって言葉があるぐらいなんだ」
「マイク、おれたちのカモかもしれないぞ」
「そうかもしれないな、マン」
「急がなくちゃあいけないんだ、バイ」
ひとつの必須条件は地球上に援助者がいることだった。
本物の人間(デインカム・コパー)
―—財産のあるところ、心もありだ。
完全な夕食のように、革命というものはすべてがうまくいくように¨料理¨されなければならないのだ。
教授が計画した無血のクーデターではない。
第二章 武装した暴徒たち
低酸素症は気づきにくいもので、酸素が不足しているなどと気づかぬうちに気を失ってしまうものだ。
女というのは驚くべき生物なんだ―—甘く、優しく、おとなしく、そしておれたちより遥かに残忍であるのだ。
「だめだよ、ワイオ。わしも同様に暴力を使うのは残念に思うがね、敵を相手にする場合、取るべき方法は二つだけだよ。殺すか、友人にしてしまうかなんだ。その中間にある方法はいずれも、未来に禍根を残すことになる」
¨無料の昼食などというものはない¨
仕事に戻れ、忍耐強くあれ、われわれに時間をくれ。
「~どのような文章であろうと完全なものはないということを、どうして認められないのです?」
¨船酔い¨
「戦争?いったいどうしてあなたは¨戦争¨などということを言い出されるのです、教授?」
星間戦争
¨主権¨とは北アメリカで大きな意義のある言葉であり、¨七月四日¨は魔法の力を持つ日付けだった。
「マヌエル。問題いかんせんによってわしは自分自身さえ信用していないよ」
たぶんおれは¨無知¨で¨頑固¨なのだろう―—
―—心臓刺激剤、人工呼吸、マッサージ。やっとかれは瞬きをし、おれたちを見ると微笑して「帰ったね」とささやいた。
月世界には豊富な食料が、豊富な仕事が、豊富な金があり、人々は困っていなかった。¨ビール、賭博、女、そして仕事¨はいつものように続いていた。
「~明らかなものを信用せず、伝統的なものは疑うのです‥‥‥なぜかといえば過去において人類は政府という鞍を置かれたとき、ろくなことをしていないからです。」
「馬鹿げているいることのように見えるからというだけの理由で、そのアイディアを捨て去らないでください‥‥‥そのことを考えてみるのです!過去の歴史において、有名であるが故に選ばれた政府は公然たる圧政者たちより良くなく、あるときはずっと悪かったのです。」
黄金律(キリスト山上垂訓中の一部、人にしてもらいたいと思うことは、あなたがたも人にしなさい)
「政府とは人類が逃れることのできない病気かもしれぬとね。」
偽善
第三章 無料の昼飯はない!(タンスターフル)
¨圧力服お断り¨
「ぼくも地球虫をやっつけたいんです!」
「ここがきみたちの場所だ、しっかり守っているんだ。もしここへ地球虫がやってきたら、そいつはきみらのものだ。きみらをそいつのものにするんじゃないぞ」
月世界の全土にわたって侵略者たちは死んでしまった。
¨空気の中を歩いている¨
--------P583 ブランク 🌎🌕🌞
ハードSFにあたまがついてゆけなくなった(^▽^;)
集中力と共に想像力を維持するのが難しい。
最後は惰性で読み終わった感
うーーーん私にはまだまだ巨匠SFはツラかった!