田口ランディ
『キュア』★★★+
『座禅ガール』からSWON
もっと浸りたいと未読本を読む読む。
記憶では『富士山』(2006年)までは読んでいた。
このあたりから宗教臭が強くなった感があり疎遠に。
さてその10年のブランクを(『馬鹿な男ほど愛おしい』は別) 越えて楽しもう。
癌について考えさせられる。
お友達に乳がんが発見されたこともあり、 幼き頃の祖母を思い出す。
+「死」
自分の身体の異変を感じない感じられない。
人間の身体の不思議…
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もうすぐ、世界は終わるかもしれない。
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「あたしね、ナイトメアってのを経験してわかったの。 人間には太古の記憶が残ってるのよ。人間にとって一番古い記憶、 それはね恐怖なの。 あたしたちの祖先はよっぽど怖い思いをして生き抜いたのよ」
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テレビをつけっ放しの部屋なんて最悪だよ。 電磁波といっしょに照射されたむごたらしい感情に被爆しているの とおんなじだ。
じわっと酒が胃の入り口を焼いている。 少しひりひりするがこの感じがたまらない。
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ガン細胞は黒いのだと確信していたことを思い出して可笑しい。 ガンは黒くない。白いんだ。
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どんな子供も、いつかは大人になり、そして老いて死ぬ。
時が経てばすべての生き物は死んでいく。そうだ。 人は生き続けていれば遅かれ早かれガンになる。 細胞は常にガン化し、 免疫隊はそれをモグラ叩きのように潰しているが、やがて、 免疫の力も衰え、ガンは増殖を始める。人間には二種類しかない。 ガン患者か、これからガンになる者。ガンって何なのだ。 いくら切っても時間が経てば再発する。放射線で焼いても、 必ずまた出てくる。
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百年後にはこの群れのすべての人間が、 たぶんこの世に存在しないだろう。 たった百年も生きられない僕らの命の尊厳とは何だろう。 笑いたくなってきた。
大切なのは遺伝子。その通り、 誰かが言ったように僕らは遺伝子を運んでいる単なる乗り物だ。
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ほんとうのことは、隠しておかにゃいかん。 ここでオマエが見たものは誰にもしゃべったらいかん。 人はみんな、自分が信じたいものしか信じんからの。 それでいいんじゃ
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ガン患者はどんなときに、 自分がガンであることを自覚するんだろう。
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「そもそも人間の身体ってのが、 ものすごくエレクトリックにできているんだ。 あんまり知られてないけどな、 人間は生きているだけで大量の電気を出している。 激しく運動した状態では瞬間最大にして電子レンジと同じだけの電 磁波を出していたりするんだ」
「電子レンジ?」
「ああ。人間の電磁波はそれぞれ固有でね、 だから犬はその電磁波を感知して飼い主が戻って来るのを予測した りする。よく、飼い主を玄関で待っている犬がいるだろう? あれはずっと犬の嗅覚が優れているからだと思われてきた。 実は違うんだ。 犬か感知しているのは飼い主固有の電磁波だったんだよ。 それは実験によって証明されている。そして、 人間の電磁波は残留するんだ。その人間が座った場所に、 約三十分は測定可能な状態で残る。だから、 電磁波に対して過敏な感受性をもっている人間なら、 三十分前にそこに誰が居たのかを言い当てることも可能だろう。 それは霊感とか超能力じゃない。 科学で証明可能な人間の能力なんだ。」
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「細胞の老化にストレスは強く関わっています。 老化した細胞が時としてガン化しますが、 大きくならずに消えてしますこともあります。 細胞がガン化しては消える・・・・・・、 それが日常的に身体のなかで繰り返されているんです。しかし、 長期間の心理的ストレスは神経伝達組織を老化させます。」
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ガン細胞には人間が本来もっている免疫機能が働かない。
それは、ガン細胞がもともと自分の細胞だからだ、
ガンについてはまだ解明されていないことが多い。
わからないから決定的な治療法がないんだ。
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「どうしてガンってガンって名前なの?」
「英語ではcancer。蟹って言うんだ」
「蟹?」
「そう。ガン細胞が増殖すると、 どんどん周りの血管を集めて大きくなる。 その形が蟹の足に似ているところからそう呼ばれるようになったら しい。」
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感情はエネルギーだ。見えないエネルギーだ。 干渉しあいながらお互いの中に蓄積していく。
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切った医者は腸がなくても人は生きられると言いました。 しかしねえ、先生。 腸がない人間ってのは人間じゃないみたいでした。 腸ってのは大事ですね。腸がなくなると人間は心を失ってしまう。 そう思いましたね。
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そうだ、みな、助かりたいのだ。 ガンという宿業から逃れたいのだ。
人間には二つの道しかない。死ぬか、生き果てるか。
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